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【読書】ピエール・ルメートル/死のドレスを花婿に

その女アレックスの原点


カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズを読み終えてもピエール・ルメートル熱は冷めやらず、単品ではありますが「その女アレックス」の原点と紹介されている本書を読みました。

女性が主人公、彼女が巻き込まれた事件の顛末ということでその女アレックスと比較されるのかもしれませんが、随分と趣は違いました。

おかげさまで今週も寝不足になりました

とある女性が精神障害なのか自分のしたことを忘れ、挙句の果てには殺人事件をも引き起こしてしまいます。逃亡の果てに行き着いたところで彼女を待ち受けていたのはなんと苛烈な事実だったことか!もうどんどん展開していくにつれ先行きが気になってしまって、目がしょぼしょぼで字が見えなくなるまで毎晩読んじゃいました。

四部構成、第一部から救いのない展開をどう持っていくのか、と思っていたら第二部、第三部、第四部と展開がガラッと変わり、テンポをあげてフィナーレに突き進むところ、ルメートルらしさ満載です。

でも第二部以降はこの本の大事なプロットをバラしてしまっては元も子もないので紹介できません。ぜひ読んでほしいです。

後書きに書かれていたことで腹落ちした2つのこと

一つ目は悲しみのイレーヌはかなり殺人事件がエグい描写でしたが、こちらは少ない目の事件にしつつ、精神障害なのか薬のせいなのか何が何だか訳が分からなくなっている主人公の心理描写に重きを置きつつ、一流のサスペンスに仕上がっています。

もう一つはルメートル作品はヒッチコック作品のような雰囲気がありますね。読んでいて読者が感じる何か、違和感?引っかかり?そういうのが後からきちんと回収されるのが気持ち良いです。見せた伏線はちゃんと回収してくれないと気持ち悪いですものね。

さて、手元に買っておいたルメートルさんの本はこれで読み終えてしまいました。またルメートルさんの別の作品に出会ったら紹介したいと思います。

おすすめ度:★★★★★(文句なしの星5つ!あ、でもルメートルさん作品はR18ですのでお気をつけを!)

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