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今年担当したデザインの授業とワークショップ(2023)


2023年の「デザイン教育」

2023年に担当したデザインの授業を振り返ります。昨年から引き続き担当した授業は適宜アップデートし、ワークショップをいくつか担当しました。そのほか教育関連のイベントや登壇も加えています。昨年の記事はこちら↓

某社企業研修 (Designshipとして)

Designshipで依頼を受けた企業研修のお手伝いをしました(詳細は非公表)。(3月某日)

デザインワークショップ(近畿大学)

近畿大学経営学部にて2,3回生向けに観察スケッチ」のワークショップと「サービスデザイン」の入門講義を行いました。春休み期間にも関わらず、廣田ゼミ30名のほか他学部(文芸学部、理工学部、国際学部、総合社会学部、薬学部)からのエントリーを含めて約60名の学生さんにご参加者いただきました。
観察スケッチでは、モチーフのお菓子のパッケージを学生60人がそれぞれの視点で観察してスケッチを描き、リフレクションでその意味を振り返りました。休憩を挟んで、主にデジタルサービスの分野を中心にサービスデザインの紹介をしました。(3月16日)

ワークショップの様子

医療デザイン大学 第二期 「医療とデザインについて UXデザインの視点で考える」

第4回「医療とデザインについて UXデザインの視点で考える」
医療デザイン大学第二期(主催:一般社団法人 日本医療デザインセンター)にて、第一期に引き続き講師を務めました。
医療とデザインの接点や、UXデザイン、サービスデザインについて事例を交えてお話しし、医療関係者を含む受講生のみなさんと議論しました。(4月16日)

グラレコ制作:医療デザイン大学(日本医療デザインセンター) 4月〜7月

デザイン・シンキング(ABS:青山ビジネススクール)

2022年度から青山ビジネススクールに新設された科目デザイン・シンキングの2年目です。今年度から授業枠が前期に移動しました。昨年度同様、デザイン思考のプロセスを始める前にマインドセットを変えるための表現ワークとして 観察スケッチ、インプロ、色による表現(色彩構成) をおこないました(インプロの担当はABSの黒岩教授)。
デザイン思考の課題ではプロセスに沿って、以下の様な学内の問題解決に取り組み、最後の15週目には時間をかけてリフレクションをおこなって授業での学びを定着させました。(4〜7月)

ABS デザインシンキング(2023)課題
あるチームのプロトタイピングより

Designship U (スタッフ参加)

学生向けのデザインシップ Designship U 2023 にスタッフとして参加しました。(5月13日)

拡張するデザイン -これからのデザイン人材の可能性を探る- by Designship Do

これからのデザイン人材について議論するトークイベントに登壇しました。(5月20日)

拡張するデザイン -これからのデザイン人材の可能性を探る- by Designship Do
トークセッション① これからのデザイン教育・デザイナー育成
登壇者:ゲスト 原川 宙(経済産業省デザイン政策室 室長補佐)、吉橋昭夫(Designship Do全体監修) 
トークセッション② 領域を拡張するデザイナーとは
登壇者:赤羽 太郎(サービスデザインコース監修,株式会社コンセント シニアサービスデザイナー)、田中 裕一(デザインマネジメントコース監修 Visionalグループ 株式会社ビズリーチ CDO)、増田 真也(デザイン経営コース監修,株式会社IRIAM 代表取締役 / 株式会社ディー・エヌ・エー グループエグゼクティブ)
Designship Doの活動紹介
白鳥友里恵(Designship Do代表)

関係を生み出すデザイン03 Business Origamiの可能性

トークイベント 関係を生み出すデザイン03 Business Origamiの可能性 に登壇しました。前職の多摩美術大学やビジネススクールでのサービスデザインの授業について話題提供し、教育実践の場におけるBusiness Origamiの様々な可能性について議論しました。(6月12日)

ABS企業向けセミナー 講義

ABS(青山ビジネススクール)と企業とのジョイントプログラムにて講師を務めました(詳細非公表)(6月17日)

Designship Do 全体監修

第一期・第二期に引き続きDesignship Do 第三期の全体監修を担当しました。このプログラムも3年目になりました。(7〜9月)
講義の期間はおよそ3ヶ月ですが、運営スタッフと共にカリキュラムの見直しや各コースの監修の方々との議論、ご担当いただく講師のリストアップと依頼、講師のみなさんとの講義内容についての打合せなど、開講までの準備に数ヶ月を費やしました。

各コースの内容を見てみると、デザイン経営コースでは主にプロダクト戦略組織戦略を学び、デザインマネジメントコースには プロダクトマネジメントチームマネジメントなどの講義が並んでいます。サービスデザインコースではサービスという無形のプロダクトをデザインする方法をプロジェクト形式で学びます。
Designship Doこれまでデザインスクールがあまり扱ってこなかったビジネス領域をフォローし、国内のビジネススクールにはまだ知見の少ないデジタルプロダクト開発とそのための組織マネジメントを扱った特徴あるカリキュラムを、毎年アップデートしつつ提供しています。

なぜそのデザインは使いにくいのか?ー認知の理論から学ぶUIデザイン(Designship2023にて)

Designship2023にて認知科学とデザインをテーマにした初心者向けのワークショップを担当しました。(10月1日)
レクチャーとグループワークの二部構成で、認知的なデザインの理論と、理論のデザインへの応用について学びました。

サービスアイディア創出 デザインワークショップ by Designship Do

世界デザイン会議東京2023Designship2023の合同企画としてサービスデザインのワークショップを行いました。

サービスアイディア創出 デザインワークショップ by Designship Do【世界デザイン会議東京2023 × Designship2023合同企画】
観光をテーマに、BusinessOrigami®️を使って地域のステークホルダーの関係性を描きながら新規サービスについて議論し、アイデア提案しました。(10月29日)

ワークショップの様子:BusinessOrigami®️を使ってステークホルダーの関係を描く

青山アクションラーニング MPP サービスデザイン(ABS:青山ビジネススクール)

マーケティング・プランニング・プロジェクト サービスデザイン
共同担当:黒岩健一郎 教授(ABS)・吉橋(非常勤講師)

青学でのサービスデザインの授業は4年目です。今年度から授業枠が後期に移動しました。テーマスポンサーとしてある企業様にご協力いただき新規サービス開発のプロジェクトを実施しています。
年明けに、企業の方を招いて最終プレゼンテーションを行います。(9月〜2024年1月)

聖マリアンナ医科大学 4年研究室配属 デザイン研究室

4年次の研究室配属としてデザイン研究室を担当し、5名の学生さんがデザイン思考の入門編を含むサービスデザインについて4週間かけて学びました(全8回)。
病院が現在導入しているあるデジタルサービスを題材として、ペイシェント・ジャーニーやステークホルダーマッピングなどを使いながらユーザー(患者さん)視点からの見直しを行って、改善提案や新たな施策の提言としてまとめました。
医大生向けに、最終のアウトプットの完成度よりもデザインの考え方やプロセスの理解と習得を重視した授業内容としています。(10月末〜11月)

聖マリアンナ医科大学 教育棟

おわりに

前職を辞めて以降は、美大や専門過程としてのデザイン学科以外でデザインを教える機会の方が多いのですが、それぞれの専門領域の文化とぶつかって創造的なマインドセットになかなか切り替わらないという場面に出会うことがあります。単一の授業や単発のワークショップだけでできることには限りがあるので、デザインやデザイン思考に触れたその先は、継続することはもちろんですがさらに包括的な取り組み(カリキュラム編成など)が必要になるんじゃないかと思います(本格的に導入する場合)。
サービスデザイン界隈(特にグローバル)では、数年前から組織変革を視野に入れたアプローチが志向されていました。デザイナーが組織変革まで踏み込むの?まじで?と思っていましたが、まさに創造的な組織文化をどう醸成するか、その重要性を身をもって感じた2023年でした(ああこういうことか!?といまさらながら)。組織文化を変えるためにカリキュラムごと新しくするのはめちゃくちゃたいへんですし(前職で似たようなことはやったけど)、教育がそれをどこまで担えるのかということも含めて、いろいろ悩ましいところです。
逆に、デザイン界隈以外でデザインを教えることで、デザインという分野や領域の持っていいるコアな特徴や特性に気づくこともあり、この領域の方には突き詰めると何を習得してもらえばいいのか?というポイントが見えることもあります。医大生の、全体把握と質問を重ねて分野の核心を掴んでから飛躍的に理解が進む、という学びのパターンを見て、こういうデザインの学び方もあるのか!と驚いたりしました。分野に固有のスキルかもしれませんが、基礎から順に積み上げていくだけがデザインの学び方ではないという気づきはこの先のデザイン教育になにか活かせるかもしれませんね。


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