でき太くん三澤のひとりごと その157
◇ 夏休みの思い出 その3
今回のコラムは、夏休みの時期に配信するということもあり、自分がかつて経験した夏休みの出来事について書き始めてみました。
まさか「その3」までいくとは思いませんでした。
いつも長くなってすみません、、、
構想の段階では、1回くらいで終わるかと思っていました。
しかし記憶というものは不思議なもので、書き始めるとそのときに感じたことが次々に引き出されてきます。
自分でも「よくこんなこと覚えているな」と思うほどです。
今回も実際に書いてみないと「その3」で終わるのか、はたまた「その4」までいってしまうのかわかりませんが、自分の記憶を頼りに書いていきたいと思います。
もう少し私のひとりごとにお付き合いください。
さて前回の「その2」では、ちょっとした知り合い程度の「てっちゃん」とサーフィンに行く約束を私はしました。
サーフィンの舞台は海。
当然、海に入る以上ある程度泳げないといけません。
ですがその当時の私は「かなづち」とまではいきませんが、ある程度平泳ぎができる程度。
泳げるかどうかといえば、ちょっと微妙です。
ですから当時の私は、サーフィンを初めて体験できるという喜びよりも「果たして無事に帰ってくることができるのか」という不安のほうが大きかったように思います。
約束の日曜日を迎える前日は、その不安のせいか、あまりよく眠ることができませんでした。
(本来なら、睡眠がしっかり取れていない状態で海に入るのは危険だと思います。皆さんはそういうことはしないようにしましょう)
当日は朝5時には起き、とりあえず海に行く準備をしました。
ウエットスーツも持っていませんでしたので、取り敢えず水着やタオルをリュックに入れ、いつものように自転車で塾に向かいました。
自転車に乗っていると、普段だとあまり目にすることはない早朝の東京の光景を見ることができました。
夏休みはいつも昼近くまで家でダラダラとしていましたから、、、
早起きして、朝顔や庭木に水やりをするおじいちゃん。
ラジオ体操に出かける小学生。
日曜日にもかかわらず、早朝から仕事に向かう様子のサラリーマン。
(もしかすると単なる朝帰りだったのかも)
普段あまり目にしない早朝の光景。
もしサーフィンで溺れ死んだら、こういう光景も見られなくなるのかなと想像すると、自転車のペダルがいつも以上に重く感じるのでした。
「ああー、サーフィンに興味があるなんて言わなきゃよかったな、、、」などと、この後に及んでも後悔している自分。
この時代にもしスマートフォンがあったら、きっと私は「今日熱が出てしまったので、サーフィンはいけなくなりましたm(_ _)m」とLINEをしていたと思います。
でも、昭和の時代にそれはありません。
自分の優柔不断さに後悔しつつ、重たいペダルをこいで20分。
とうとう塾についてしまいました。
塾の前には、いつも目にするてっちゃんの車が、もう停まっていました。
おそらく仕事でも使っているであろう大きなワゴン車。
約束の時間の6時よりも、10分ほど早い。
さすが昭和の仕事人。時間にはきっちりしています。
「もしかしたら今日は溺れ死ぬかも」という不安を抱えた心とはとは裏腹に、「おはようございまーす!今日はありがとうございまーす!」という爽やかな挨拶をする自分。
すると、「おう!おはよう!」と、私よりさらに大きな爽やかな声で挨拶をするてっちゃん。
私は心の中で「生きて帰りたい、生きて帰りたい、、、」と念仏のように言いながら、塾の駐輪場に自転車を停め、てっちゃんの車の助手席に乗りました。
当たり前のようにタバコ臭い車。
助手席からワゴン車の後ろを見ると、サーフボードが2つ。
ああ、、、もう後戻りできない、、、てっちゃんはやる気満々だ、、、
「今日は本当にいい天気だね。三澤くん、ラッキーだよね!」
ぜーーんぜん、ラッキーなんかじゃありません。
いっそのこと台風がきてくれたほうがラッキでした、、、
そうしててっちゃんは、意気揚々とワゴン車を千葉の海にむけて走らせていくのでした。
前日あまり眠ることができなかったということもあってか、車に乗ってしばらくすると、私は抑えようのない睡魔に襲われました。
てっちゃんはそれを気にすることもなく、私をそのまま寝かせてくれました。
ふと車が動かなくなったことに気づき、目を覚ますと、もうそこは海でした。
時刻は9時くらいだったと思います。
本当に広い海。
どこまでも続く地平線。
「本当に地球は丸いのか?」と思うほど、ずっと続く真っ平な世界。
こんなに広い景色を見るのは、いつ以来だろう。
サーフィンをしなくてもこの景色を見ることができただけで、ちょっと満足。
てっちゃんが連れてきてくれた海は穴場だったのか、夏休みだというのに海水浴客はほとんどいませんでした。
数組がサーフィンを楽しんでいる程度。
ここから私の初めてのサーフィンが始まります。
てっちゃんは、2枚のサーフボードを両脇に抱え、駐車場から浜辺へと歩きはじめました。
私が「ひとつ持ちますよ」と言うと、
「あ、大丈夫、大丈夫。これ、ショートボードだし、そんなに重くないから」とのこと。
その当時の私はショートボードの意味もよくわからないまま、「あ、そうなんですね」と返事を返すと、自分の荷物だけをもって、てっちゃんと浜辺へと向かいました。
浜辺に着くと、てっちゃんはボートを川の字に並べました。
三澤くん、まずはパドリングからテイクオフの仕方を練習するね。
まあ、ちょっとカッコつけてパドリングとかテイクオフとか横文字使ったけど、要は手で漕いで、波を掴んで、ボードの上に立つってことよ。まずはこの動きを身につけるために、ちょっと陸で練習してみよう。
まず、ボードの上に立つまでの流れをやってみせるね。
最初は、腕を伸ばして上半身をのけぞるようにするよ。
このとき、頭は下を向かないように注意してね。
ほら、ヨガのポーズでのけぞるような形あるじゃない?
あんな感じでグッとのけぞっちゃって。
そんで、自分が出しやすい足を前に出してくる。
このときに、足をボードの真ん中に乗せるようにするのがポイント。
のけぞってからそのまま足を前に出すと、ボードの脇の方に足が出てきてバランス悪くなって立てなくなるから、前に出す足とは反対の腕のほうにむかって足を出すようにしてみてね。
対角線上に足を出す感じかな。
そうすると、足が自然にボードの真ん中にくるようになるからね。とにかくボードの真ん中に足がくれば安定してくるからね。
そんで、もうひとつの足を出す時には体を横に向けるような感じで、ボードの上に立つ。
ま、簡単に言うとこんなとこかな。(ぜんぜん簡単じゃないし、、、)
ちょっとやってみるから、まずは見てみて。
1、2、3。1、2、3。と言いながら、てっちゃんは一連の動作を見せてくれました。
1でのけぞって、2で足を出し、3で立つ。
じゃあ、今度は三澤くんの番。
ちょっとやってみようか。
はい、それじゃいくよー。
はい、1。
いいねー!そういう感じ。
はい、つぎは2。
そうそう、そんな感じ。
でも、まだちょっとそのまま前に足を出している感じがするね。それだとバランスを崩して海に落ちちゃうから、もうちょっと反対側の腕のほうに、対角線上に足を出すような感覚でやってみて。
そうそう!それでいい。
はい、1、2、3。
いいねーー!その調子!
はい、1、2、3。
そうそう、それでいいよ。
だんだんよくなってきたね。
とても初めてとは思えないよ。なかなかいいんじゃん!
あとは、その動作を海の中でも冷静に行うこと。
最初のうちは海に入ると、この動作を落ち着いてできなくなっちゃうんだよ。だから、とにかく落ち着くことが大切だからね。
あせらないことだよ。
今日は沖まで行くつもりはないし、足がつくようなところで一連の動作の練習をするから安心してね。泳げなくても足がつくようなところで練習していれば大丈夫だからね。
「泳げなくても大丈夫」
なんで私が泳ぎが得意じゃないって知っているのだろう?
車中ではほとんど寝ていたし、てっちゃんには平泳ぎくらいしかできないということは話していないし、、、
なんでわかったのだろう、、、
塾長が話したのかな、、、
でも、塾長もそのことは知らないよな、、
そんなたくさんの「?」を頭の中で浮かべていると、
「それじゃ、これから着替えて、ここでやったことを海に入ってやってみよう!たのしいぞー!サーフィンはーー!」
こうして、てっちゃんのサーフィン初心者講座は、実際に海に入っての実践編へと移行していくのでした。
次回へつづく。
すみません、、、今回も短くまとめるつもりが長くなってしまいました、、、
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