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でき太くん三澤のひとりごと その135

◇ 私の過去 #2


このところ信州では雪が降る日が多くなっています。
例年では1月にかなり雪が降るのですが、今年はあまり雪が降らず、だれもが温暖化の影響だと思っておりました。

ところが、2月に入ってからはこれまで降らなかった分を調整するかのように雪が降っております。
3月になった今も、「これでもか!」というほど降っております。
通常業務と合わせて「雪かき」も仕事として加わり、体力的にはかなりきつい日々が続いております。

おまけに、2月は急に春になったかのような暖かい日が続いたことで、雪が一気に溶け、それが朝晩の冷え込みによって凍りました。
そこにさらに雪が積もると、木々に残っていた雪の重量がまし、冬に水分がなく脆くなっている木々は折れてしまいます。
その折れた木々が電線を切り、停電が起こる。

でき太の事務所は、2月下旬から停電が頻発しました。
これにより、学習材発送にも影響が出て、会員の方々にもかなりご迷惑をおかけしてしまいました。申し訳ございませんでした。

さて、前回のコラムでは私のはずかしい過去を紹介しました。
自分でも書いていて「何てはずかしい過去だ!」と思いますが、そこで経験したことは、きっと多くの方の参考になるのではないかと考えております。

学生時代に成績では底辺にいた私が、今のような仕事をしているのは、何かが「変わった」からです。

では、何が変わったのか。

結論から言えば、「自己像」が変わったのです。

「私は何をやってもダメ。勉強もダメ」と思っていたイメージから、「私はなんでもできる!」という「自己像」へと変わっていったのです。

私は中学3年生当時の友人に、ある塾を紹介されました。
「三澤くんが、多少でも高校に行ってみたいと思うなら今からでも勉強したほうがいい。ぼくの塾を紹介する」と言われたのです。
さすがに私も就職することには若干抵抗がありましたので、友人に誘われるまま塾に入ることにしたのです。それがいわゆる昭和のストロングスタイルの塾です。そこのカリキュラムと教育観によって、私は救われたのです。

その塾は、私のスタートラインから学習を始めてくれました。
私ができていないところ、わかっていないところから、ひとつ一つサポートしてくれました。

そこから私は「できた!わかった!またできた!」という成功体験を積み重ねていくことができたのです。
これまで何をやってもわからない、できないということの連続だった子が、「できた!できた!またできた!」という成功体験を何度も経験することができるようになったのです。

そうすると人というのは不思議なもので、成功体験に快感を覚え、どんどんのめり込んでいきます。
私はまず、英語、数学にのめり込んでいきました。

Aという問題が解けたら、つぎはBという問題も解いてみる。

Bという問題が解けたら、つぎはCという問題を解いてみる。

これはまるで、できなかった自分が本当にできるようになっているのかを確かめる作業のようでもありました。
問題ができるたびに「やっぱりできるんだ!」と安堵し、「できる自分」は現実なのだと確信するのです。

次第に塾でも私には難問が宿題として出るようになりました。
ラ・サール、開成などの過去問です。それまでは自分とは住む世界が違っていると思っていた学校の問題も、私は解けるようになっていきました。

そういう難問ができると、「これは本当に自分なのか?」と、自分に問いかけることもありましたが、これが嘘ではなく現実であるということを、そのあと数多く体験することになるのです。

まず塾に通い始めてから、私の成績はぐんぐん伸びていきました。

定期テストでは、とくに英語、数学において点数が伸び、一気に順位があがりました。
学校の先生からすれば、何か不正をしているのではないかと思われても不思議ではない伸びです。

この成功体験で得たことは、それまでの「ダメな自分」から、「自分はダメではない!できるぞ!」という「自己像」の変化です。
「僕はダメじゃない。勉強ができないわけではない。むしろ、できる!ぼくはすごいんだ!」というイメージへと変わっていきました。この「自己像」の変化は大きかったです。

定期テストが2度終わったころには、これは確信に近いものになっていたと思います。

こうなると不思議なもので、何をやってもうまくいきます。
もちろん多少の失敗もありますが、あらゆるものがどんどん良い方向へと進み、花開いていくのです。

勉強をすればするほど力がついてきますし、結果もついてきます。
ちょっと期待はずれの結果がでも、「つぎは絶対にうまくいくはず!」と、前向きな意識で再スタートできます。
考え方、行動もまるで変わってくるのです。

人はつまるところ、自分に対してどのような「自己像」を持っているかで現実が大きく変わってくるのです。

私がかつてそうだったように、勉強が苦手で、何をやってもうまくいかなくて、自分に自信がない子は「自己像」が、非常に悲観的であることが多いです。「自分はダメ人間だ。なんで自分なんかが生きているのだろう」と思っている子さえいるくらいです。

この「自己像」があるうちは、いくら塾にいっても、高額な家庭教師の先生にサポートをお願いしても、なかなか良い結果はでません。

逆にそれほど費用をかけなくても、その「自己像」を変えることができれば、必ず子どもは変わります。
私自身がそうだったのですから、これは間違いありません。

では、どうしたら子どもの「自己像」を変えることができるのか。

これは様々な方法があると思います。

一番シンプルなのは、私と同じような「連続の成功体験」です。

これまでの自分では経験できないような成功体験を、たくさん経験することです。
そうすることで「自己像」は変わってきます。
本当に子どもを自信のある前向きな姿勢に変化させていくには、学習プログラムにそういうメンタル部分のケアも盛り込む必要があるのです。

しかしながら、そこまで考えてプログラムを考えている指導者をあまり見たことはありません。
どちらかというと、定期テストの点数をあげるテクニックを戦略的に使い、目先の点数をあげることに長けている方が多いように思います。
子どもは自分の実力ではなく「戦略」で成績が上がったことはなんとなくわかっているものです。これでは「自己像」の変革までは起こらないのです。

「でき太くん」ができるだけ教えずに、お子さん自身の力で学習を進めていただくのは、「自分のちから」を使ってできた成功体験こそが「自己像」の変革につながるからです。「自分のちから」で得た成功体験から、子どもは本物の自信を得ることができるのです。

「自分のちからで学習して、この好結果がある」

と体験させてこそ「自己像」の変化につながっていくのです。

今、わが子がどのような「自己像」を持っているのでしょうか。
ここをしっかりとまわりにいる私たちは認識しておく必要があると思います。

そして、その「自己像」をどのように育んでいくか。
こういう認識を常に持ちながら、私たちは日々わが子と向き合っていく必要があると思っております。

子どもの「自己像」は「体験」と「環境」の影響を受けやすいものです。
大人と違って、自分で自分の自己像を変えるほどのテクニックはほとんどないといってよいでしょう。
その意味では、日々子どもと時間を共有することの多い私たち自身が、子どもをどのようにイメージしているかも、とても重要なものとなってきます。なぜなら、私たちの日々のイメージが「環境」を作っていくからです。

あなたは、わが子に対してどのようなイメージを持っていますか。

不良少年が、なぜ不良になるのか。
それは、まわりの大人が「不良」というイメージを持っている人が多いというのも要因のひとつなのです。

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