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Casieブランドリニューアルのすべて

こんにちは。Casie(かしえ) のあき(@akio165)です。

Casieは2020年4月13日にブランドのリニューアルを行いました。それに合わせて、ロゴのリニューアル/PVの発表/キーカラーの決定を行いました。

今回、新しいCasieのリブランディングに至ったきっかけから、新しいロゴやデザインになるまでの流れ・思いなどを、お話しさせていただきます。


0. ブランドリニューアルに至ったきっかけ

結論から言うと、ビジョンの再定義に基づき、新しいCasieが目指す世界観を構築することが一番の目的です。

ビジョン策定の打ち合わせに参加し、経営陣と価値観をすり合わせを行ったことで、作り込む世界観やブランドの方向性が見えてきました。

VISION:自分らしく生きる

Casieが目指すもの、それは「自分らしく生きる」という選択により人生の喜びや充実感を満たせる世界です。
人は誰もが生まれながらに自分の人生を自由に描くことを許されたアーティスト(表現者)。多様性が生み出す新しいイノベーションで世界に幸せを届けます。

1. 世界観の可視化とブラッシュアップ

決定したビジョンをもとに、Casieはどんな世界観のサービスなのかを可視化し、ブラッシュアップする作業に入りました。

まずは、Casieのイメージを言葉で落とし込みます

【Casieのイメージワード】
-フォーマル < カジュアル
-クラシック < モダン
-不変 < 変化
-資産 < インテリア
-一大決心 < 気軽
-難しい < 楽しい
-堅い < 柔らかい
-専門的 < 多様

ある程度言葉によるイメージができてきたところで、次に言葉のイメージを画像として落とし込みます。

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↑Casieらしいイメージボードの一部

同時に、Casieらしくないイメージも同様に画像として落とし込みました。

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↑Casieらしくないイメージボードの一部

言葉でも画像でもCasieらしくないイメージはどんなものかを明確にすることによって、世界観がより鮮明に浮かび上がってきました。

この時点で一度経営陣と打ち合わせを行い、方向性にズレがないか確認します。

世界観が固まってきたところで、次にブランドリニューアルの最大のポイントであるロゴのリニューアルに取りかかりました。

2. ロゴの制作

ロゴとして最低限必要となってくる機能要件を書き出し、このベースに沿ってロゴをデザインしていきます。

【ロゴの機能要件】
-ロゴはシンプルかつ、長期的に使えるものであること。
-色は無彩色であること。
-PC、スマホ、紙媒体、ダンボール、看板とあらゆる環境下においても対応できる形状であること。

ロゴの制作にあたってグラフィックデザイナーでsumikaさんやOKGOさんのグラフィックを手掛けた坂口拓さん(@taku_sakaguchi)に監修いただきました。

坂口さんから外部からの視点と、グラフィックの的確なアドバイスを頂きながらロゴの制作を進めていきました。

2-1. ビジョンと世界観をロゴに落とし込む

ビジョンが決まり世界観が定まってきましたが、あまりにも要素が多いのでロゴに反映させたい要素を3つに絞り込みました。

【ロゴに反映させたいこと】
・自分らしさを表現できること
・アートと暮らしを結ぶ存在であること
・上質さと気軽さの両立を表現すること

次にキーワード内の優先順位を決めます。

【キーワードの優先順位】
自分らしさ>アートと暮らし>上質と気軽さ

よりビジョンに近い言葉を重要視して、表現の優先度を決定しました。この3つの要素をもとにロゴを作り込んでいきます。


2-2. 自分らしさ

要素の中で、最も優先度の高い「自分らしさ」からロゴの造形を考えていきます。

ビジョンの作成にあたり、同時にメッセージも作成していたので何度も読み返します。

人は誰もが生まれながらに自分の人生を自由に描くことを許されたアーティスト(表現者)

自分らしさ・自由さの表現とロゴタイプとしての可読性をどう両立するか考えます。

自分らしさや独自性を表す表現がないか。様々なロゴタイプをリサーチしていた時に思い出したのが、幼少期から大好きなポケモン(ポケットモンスター)の海外ロゴ。

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↑ポケモンGO公式サイトより

ここでアルファベットの文字の上につけるアクセント符号と出会います。

「e」にアクセント。ここでコピーが浮かびます。

Casie「ie(家)」に「e(絵)で '(アクセント)」を。
「e(絵)」を飾ることでより自分らしい暮らしを。

ちょっと洒落っぽい感じになってしまいましたが、そもそもCasieのネーミングも洒落なのである種の統一感はありますね。笑

絵を貸す → 絵貸し →  Casie

Casieのネーミングは創業時に藤本が夢の中で出会ったそうです。

このアクセント符号を用いることで、ロゴに反映させたい要素の
・自分らしさを表現できること
・アートと暮らしを結ぶ存在であること
を表現することができました。

ちなみに、ポケモンの場合「e」にこのアクセント符号がつくのかを調べると発音の問題を解決するためでした。

英語の名称なのに「É」が使われているのは、英語の「e」の発音が「エ」ではなく「イ」に近い音になるから。

なるほど。このケースに当てはめるとCasieというスペルだと海外で「カシエ」ではなく「キャシィー」と呼ばれるようです。

海外でCasieを正しく読んでもらうには「Casié」が正しいようです。これで海外展開もバッチリです。

この時点でロゴは、シンボルは作成せずにロゴタイプのみで作り込んでいく方向性で固まります。


2-3. フォントの選定

アクセントの形が見えてきたところで、次にフォントの選定に移ります。

既存のフォントをベースに3つ目の要素である、「上質さと気軽さの両立」を兼ね揃えたフォントを作りこんでいきます。

まずは既存のフォントを洗い出していきます。

ロゴタイプ.002
↑打ち込んだフォントの一部

画面確認と同時に、機能要件を満たすか紙に印刷して確認を行ないます。

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打ち出したフォントの中からイメージに近いパーツを言語化しながら候補を絞っていきます。

その中で最終候補に上がったのが、Futura PTAvenir Next という2つのフォントでした。

スクリーンショット 2020-04-13 22.47.40

どちらもサンセリフ体のフォントです。サンセリフ体を採用した理由は3つあり、

・スマホのヘッダーサイズになっても視認性が高い
・フォーマルにもカジュアルにも受け取れるバランス感
・セリフ体と比較しアクセント符号がより目立ちやすい

といった部分でセリフ体よりも適していると判断しました。先にこの判断をすれば、フォントの選定がもっとスムーズだったなあ。と後から気づきました…

Futura PTAvenir Next は共通点の多いフォントです。
どちらもフォントの語源が未来を意味しており(Futuraはラテン語、Avenirはフランス語)、幾何学的な造形をしています。

似ているフォントですが大きな違いが1つだけあります。

Avenirは幾何学的な造形でありながら、小文字ではあえて幾何学ではない造形をしている部分があります。(他にもたくさんありますが…)

あえて幾何学的でない部分はヒューマニストサンセリフと呼ばれ、その名の通り人間味があります。

幾何学的な部分の造形の上質さやエレガント感と、ヒューマニスト・サンセリフの持つ人間味や親密感のバランスが、ロゴで表現したいキーワードである「上質と気軽さ」を演出するぴったりのフォントだと判断し、ロゴのベースフォントが決まりました。

この時点で創業者の翔さん(※Casieは全員名前で呼び合う)に改めてプレゼンを行い、GOサインをもらいロゴの大枠は固まります。

2-4. アクセントふたたび

ベースフォントが決まり、符号でアクセントをつける。ここまで決まればロゴは出来たも同然です。

…と当時の僕は思っていましたが、ここから沼にハマることとなります。

アクセント符号の形や角度を変えて「e」を強調するため、アクセント符号をひたすら手書きで書いていきます。

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↑当時のメモの一部

「アクセントをどんな造形にすればより効果的か?」
そんなことを考えながら毎日数百個のアクセント符号を書き続けます。

書く、書く、書く…もう何も書いても同じように見えてくるし、きらめくようなアイデアも思いつかない日々が続きます。この1週間はあまり記憶がありません。よっぽと思い詰めていたのでしょうか。笑

そんな時にふと思い返したのが、今まで使っていたロゴでした。

旧ロゴ

「i」の部分を筆のモチーフにしたこのロゴを改めて見た時に、「あれ、このロゴの魂を受け継げば良いのでは?」と思いつき、このロゴ一番の特徴である筆のモチーフをアクセント符号に採用することとなりました。

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↑採用した手書きの筆モチーフ

手書きのモチーフをスキャンし、イラレでパス化します。

「これで完成!!!!」

とはいかず、機能要件を満たしつつ、より良いロゴにする為ブラッシュアップします。

番外編. 旧ロゴとの別れ

※この章は少しデザインのリニューアルの話からは逸れるので、飛ばしていただいても構いません。

これまでのロゴは、3年前に事業をはじめた際に、クラウドソーシングサービスを通してデザイナーさんに依頼したものでした。

旧ロゴ

先ほども少し書きましたが、このロゴの最も特徴的な部分は「i」を筆で表現しているところです。

これには理由がありました。
Casieはサービスを始めてからの1年間、絵画のレンタルが1件もありませんでした。…本当に1件もなかったのです。なぜなら、レンタルするはずの絵が集まらなかったからです。

創業当初、「アートをレンタルするサービスを始めました!絵を預けてください!」と多くのアーティストさん達にお願いしに行きましたが、当時は全く絵画が集まりませんでした。

出来立てほやほやのサービス。ロゴもなく、何者かわからないメンバー達。アーティストさんから、我が子のように大切な存在である作品達を簡単に預けてもらえる訳がありませんでした。

そんな時に作成を依頼したのがこのロゴでした。アーティストさんにも伝わるよう、私達の熱意をロゴに込めて頂いたのです。

そんなロゴの効果もあってか、今ではアーティストさんの中でのCasieの認知も次第に広まっていき、毎日数十名ものアーティストさんから作品取り扱いの申し込みが来るまでに至りました。このロゴには感謝しかありません。

今までの思いを受け継いで、新たなロゴを育てていこうと思います。


2-5. ブラッシュアップ

ここまでくれば、あとは原石を磨き込むだけです。

毎日少しずつ着実に、時には一晩寝かせてみたりしながら進めていきます。

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文字に丸みを持たせたり、「i」の「・」の大きさを調整したり。

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時には印刷して、文字の大きさを変えて、色を変えて…

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サイトではヘッダーに表示されるのでスマホの画面で当てはめてみて。

スクリーンショット 2020-04-14 0.07.02


ここで悩んだのが、フォントウエイトとマージン。

ロゴを大きく表示するときには、細く広い方が綺麗に見えるが、
小さく表示するときには、少し太めで狭い方が綺麗に見える。

両者のバランスをみながらも、WEBで使用されるケースの方が多いと判断し当初予定していたウエイトよりも気持ち太めに設定しました。

このとき10パターン以上ウエイトを刻んで出力しましたが、悩めば悩むほどに沼に落ちていってしまうので、メンバーに意見を聞いたりしながら進めていきます。

ロゴの機能要件に当てはまるように、少しずつブラッシュアップしていきました。

スクリーンショット 2020-04-14 0.00.48

そしてようやくロゴが完成🎉

アートボード 1@3x
アートボード 2@3x


ロゴを用いたブランド画像とPVも合わせて用意しました。

アートボード 1 のコピー@3x-8

<追記 2022.8.12>
新しいPVができました!


3. これから

ロゴのリニューアルやPVのリリースなど、ブランドのリニューアルが大きくありました。しかし、まだまだブランドとして進めていくべきことがたくさん残っています。

Casieらしいブランドの基盤がようやくできた。といったイメージです。

Casieはまだまだ小さなスタートアップなので、デザイナーは僕しかいません。

ですので、一気にデザインを変えていくことは難しく、アジャイル型で優先順位の高いものからデザインを整えていきました。

しかしこれからは、(きっと)デザイナーが増え、様々な形でCasieの新しいデザインが産まれて来ることと思います。

その来るべきに時に備え、今は少しずつデザインのガイドラインを整備しています。

自分で言うのもなんですが、結構面白いサービスだと思います。まだまだ未完成な部分が多い分、大きなチャレンジができる環境です。

一緒に、世界に対するイタズラを仕掛けてくれるメンバーを募集しているので、もしご興味ある方はご連絡ください🙇‍♀️

それでは、また。



読んでくださりありがとうございます! サポート頂けたらイケてるアートをこうny…サブスクしようと思います!