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音楽で紐とく《にほん》

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日本にはとても優れた音楽様式があり、幾代の歳月を経て受け継がれているのですが、そうした文化が日常の生活で触れることができなくなったのは何故なのでしょうか。音楽を通してにほんの歴史…
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2020年11月の記事一覧

線香花火のように、繊細な音色

線香花火のように、繊細な音色

都心から約1時間。師匠が生まれ育った築100年以上の古民家で長唄を習うことができるということ。木や畳のぬくもりに、琴や三味線の音色が染み透ります。

「一度体験レッスンを受けてみたら」と師匠に誘われて古民家に訪れたのは、3月でした。師匠は、地唄、長唄と様々なにほんの音楽の歴史や、琴や三味線にまつわるお話しを丁寧に教えてくださいます。

「では、弾いてみましょうか」とおもむろに師匠の三味線を渡されま

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とうとうたらり たらりら

とうとうたらり たらりら

とうとうたらり たらりら
   たらりあがり ららりとう
ちりやたらり たらりら
   たらりあがり ららりとう

まだ観たことはないですが、能の「翁」の冒頭は、このような出だしで始まるそうです。

とうとうたらり、意味のない言葉を音に乗せて節をつけて歌うのは、何かのおまじないかのように、聴くものを彼方に引き寄せます。

それは、さかのぼって、経文に旋律や節をつけた声明や、雅楽の乱声の流れにたどり

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いないいないばぁ

いないいないばぁ

にほんの音楽の源流のひとつとして雅楽があります。何故だか、雅楽は神社で行われる様式と思い込んでいましたが、お寺の法要や供養でも、唄や舞といった雅楽が演奏されることもあるのだそうです。

きっと昔は、もっと自分の中に唄や舞が入り込んでいたのでしょう。地元でお祭りやお祝い事があれば、唄をうたい、踊ったり、というのは、ある種の信仰心のようなものが誘発されるかもしれません。獅子舞がうちを訪ねて厄払いしてく

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