言葉の行く末
言葉。
頭の中に浮かび、誰かに伝達したい時に使う共通の暗号。
時には目で見える文字になり、
時には耳で聞こえる音声になり、
感情や意志を伝えることの方法の一つ。
時代とともに生まれて、変化し、失われていく運命。
そんな運命の中、昔から現在まで長く使われている言葉もある。
そんな艶やかな言葉に触れるために一冊の本を買った。
『美しい日本語の辞典』 小学館
少しめくってみると、確かに紛れもなく辞典だが、読み物として面白い。
それほど今の自分の使っている言葉に飽きがきているのか。
ほんの少しだけ紹介しよう。(一部抜粋)
〜花鳥風月〜
自然の美しい風物。また、それを鑑賞したり、材料にして詩歌などを創作したりする風雅の遊び。
花で和らぎ、鳥と戯れ、風を感じ、月を愉しむ。
自然豊かな響き、好きです。
〜随喜の涙〜
心からありがたく思って流す涙。嬉しくて流す涙。うれし涙。「随喜」とは仏教語で、他人のなす善をみて、喜びの心を生ずることの意。
あまり涙を流す方ではないけれど、想像するだけでどこか温まる。
〜懇ろ〜
心をこめてするさま。熱心であるさま。親身であるさま。丁寧であるさま。
また、特に男女間で、心が通じ合って、間柄が親密なさま。
ねんごろ。ただ、ただ、響きがいい。
〜愛でる〜
心がひかれ、すばらしいと思う。感動する。ほめる。熱中する。また、いとしく思ったりかわいく思ったりする。愛賞する。愛する。対象に心がひかれ、感動したり、愛したりする気持ちが起こるのをいうのが原義であろうか。
人生を愛でたい。
・
・・
・・・
このような前向きな言葉ばかりではないけど、どこか懐かしく、最近では聞かなくなった言葉が綴られている。
そもそも辞典なんていうものは、小学生の時に嫌々開いて以来記憶がない。
歳を重ねるごとに、日常は仕事に追われることが多くなり、新しい言葉を記憶する時間が限られるようになる。
手っ取り早く新しい言葉を脳に記憶させるには、小説を読むことが最適だろう。
時には時間を忘れ、小説でも読んでみると、未だ見ぬ言葉に出会うことができるかもしれない。
去りゆく言葉、生まれる言葉、この先の言葉の行く末を見守るとともに、美しい日本語を忘れることのないようにしたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?