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Palazzo Pubblico(シエナ市庁舎)@シエナ_20231024

イタリア・トスカーナにあるシエナの市庁舎で、今は美術館として機能しているPalazzo Pubblico。珍しい扇型をしたカンポ広場(Piazza del Camp)に面しており、高い塔はマンジャの塔(Torre del Mangia)と呼ばれています。

palazzo pubblico

Sano di Pietro(1405–1481)が15世紀に描いたカンポ広場で説教する聖ベルナルディーノの後ろには当時の市庁舎が伺えます。ピンク色で鮮やか。その後もう一階層建て増しされたことがわかります。

Sano di Pietro《Predica di san Bernardino in Piazza  del Campo》Museo dell'Opera

聖ベルナルディーノはシエナ出身のフランチェスコ会修道士で、多く説教を行ったことで有名です。彼は説教する際に上記絵画にもあるように「IHS」と書かれたモノグラム(キリストに関連するモノグラムをChristogramと言うみたい)を掲げていたそうです。これはギリシア語でΙΗΣΟΥΣ (イエス)の頭3文字をとったものとされ、Palazzo pubblicoには現在でも掲げられています。

IHSの文字

中に入ると、Sala di Balia(Sala di Priori、最高行政会議の間?)があり、ここにはSpinello Aretino(スピネロ、c1350-c1410)の《Storie della vita di Alessandro III(教皇アレクサンドル3世の生涯)》と題される一連のフレスコ画があります。正面の上は《教皇アレクサンデル3世の戴冠》その下は、《フリードリヒ1世の教皇アレクサンデル3世への服従』》など。

Sala di Balia

次はSala del Concistoro(枢機卿の間)。ここで結婚式が行われていたらしい。天井画は16世紀にDomenico Beccafumi(ベッカーフミ、1486-1551)にによる古代ギリシア・ローマを讃えるお話が描かれています。シエナはローマ建国に関わるロムルスとレムスの伝説を引き継ぐ場所だと自分達は考えているので、こういうのを描かせたのでしょうかね。(実際には古代ローマとは全然関係ない)

Sala del Concistro

突然現れるフレスコ画。ここではフレスコがをどうやって剥がして現在美術館に保存されているかなどお話を聞きましたが、忘れちゃった。たしか左は剥がした後にその下から出てきた下絵だったはず。

なんかもう部屋のレイアウトとかとは全く関係なく、突然絵が現れるのが面白かった。この矢に刺されまくってる人は聖セバスティアヌス。ハリネズミのようにめちゃくちゃに矢を射られても死ななかった人で、黒死病の守護聖人として考えられています。昔黒死病は天から降る矢のような災いであると考えられ、それを耐え抜いた人だからと言う意味で。割と平気だぜ、ってドヤ顔してるのが面白い。

聖セバスティアヌスと聖母子

次に礼拝堂。政府高官たちが外に出なくてもいいように、市庁舎内にも礼拝堂を設置しているとのこと。中央の絵画は、大聖堂にあったやつが捨てられそうになったから持ってきた的な話をしてた。それにしてもつぎはぎ感。

礼拝堂

礼拝堂横の椅子の背面に描かれた(彫られた?)受胎告知。大天使ガブリエルからの言葉がフキダシ形式で描かれることが多いことから、ガブリエルは左側にいるの場合が大半だけど、こちらは逆。なんか実がついた枝を持ってる。羽も真ん中が穴空いてるみたいで、面白い。

そして、the Sala del Mappamondo or Sala del Consiglio(世界地図の間)に抜けるとシエナ市庁舎の目玉、シモーネ・マルティーニ《マエスタ》があります。本サイズでしか見たことなかったので、こんなに壁一面だとは思いもよりませんでした!(壁の写真もみたことあるけど、こんなに大迫力とは!)

Simone Martini《Maestà》1315

シモーネの生まれた日時ははっきりしていないけど、本作品は多分ドゥッチョの工房で修行をしてアッシジのサン・フランチェスコ聖堂下堂のステンドグラスなどをデザインした後に、31歳1315年に描いた現在確認できる最初期の作品。

Simone Martini《Maestà》部分

やっぱり写真じゃ全然リアルが表現できないけど、本当に輝く女王としての聖母と聖人たちだった。

そして反対側にはこれまた切り貼りされた絵が複数。今回一番面白かったのは、一番上のシモーネ・マルティーニ《グイドリッチョ・ダ・フォリアーノ騎馬像》。こちらはシモーネを代表する作品として残っていますが、米研究家ゴードン・モランによって15世紀に描かれたものではないかという疑問が呈されているとのこと。グイドリッチョは傭兵隊長でこの後裏切るのに視聴者に描かれているのはおかしいとか、投石機などこの時代にないものがあるとのこと。ただ、シエナの研究者は信じたくないためにもう締め出したのよ!と教えてもらいました笑

Simone Martini《Guidoriccio da Fogliano at the Siege of Montemassi》

そしてその奥の扉には、今回最も見たかったけど見れないことを事前に聞かされていたアンブロージョ・ロレンツエッティ《善政と悪政の寓意と効果》の壁画があった・・・現在修復中でそのカケラもみれずに残念。

ここは全然解説がないので、ちゃんと見るならガイド必須でした。アンブロージョが見れる時にまた訪れたい。

おしまい

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