見出し画像

景色を変える仕事をしよう

私は、ライフテーマに「ベンチャー企業における意思決定層の多様化」を掲げているのだが、これは、景色を変える仕事なのかもしれないと思うようになった。

10%以下の女子比率が30%を超えた日

兼務しているみんなのコードは、コンピュータクラブハウス加賀(加賀市)、ミミミラボ(金沢市)、てくテックすさき(高知県須崎市)という施設を運営している。子どもたちが3Dプリンタなどのデジタル機器を利用して自己表現ができる場所だ。

テクノロジー分野も、ジェンダーギャップが確認されている領域である。

各施設の利用者を見てみると、やはり男の子が多い傾向がある。この課題を認識した上で、各施設が、子供に接する社員やメンターの男女比率を工夫したり、女の子が利用しやすい企画の打ち出しや環境づくりを行っている。

そんな試行錯誤を重ねて、長らく利用者の女子比率が10%以下だったコンピュータクラブハウス加賀が、30%を越えるようになってきた

「女子率が初めて30%越えました!」という報告があった日、私はなんだか感激した。

すごいことだと思った。

景色が変わろうとしているのだと思った。

「景色」から伝わるメッセージ

こんな話を聞いた。

例えば、学校教育において、性別で差をつけようとしている先生は(ほとんど)いない。むしろ、生徒と平等に接しようとしている。

しかし、生徒が見ている「景色」は違う。

男性の先生が力仕事をしていたり、スポーツクラブの顧問だったり。管理職や理系科目の先生は男性が多かったり。そういう「景色」が、生徒に無意識のうちに役割分担意識を伝えていると。

「景色」がない。ないものはない

会社も同じだ。

例えば、意思決定層に女性が少ない。なんなら全くいない。

「フラットなカルチャーだから大きな問題はない」「ダイバーシティは性別だけではないですよね」という話になることがある。

私自身、フリー・フラット・オープンというベンチャーカルチャーで働いてきた。事業部門にかなり権限が移譲されていたから、経営陣に多様性があろうとなかろうと、自分の責任の範囲で働く上でまったく困らなかった。

しかし、いざ経営陣の多様性に取り組もうとした場合、「景色」が発するメッセージは大きい。

いくらフラットなカルチャーだからと言って、「意思決定層に女性がいないという景色」が発してきたメッセージは変えられない。「管理職になりたいと思っている女性が少ない」という話になるけれど、会社に景色がないのだから当たり前である。

景色を変える仕事をしよう

先日、ひょんな流れで、大学院の先輩からこんなコメントをいただいた。

上り詰めて初めて後進の人の足場が出来ます。一度こじ開けたら、そこまでは後進もスイスイ登ってこれます。ルートを沢山確保してあげる事が結果的に効果大です。道が出来ている事を当たり前に思ってくれる環境を作る事が杉之原さん世代の使命です。

一朝一夕に変わることはないし、変わっている実感も持ちづらいけれど、歩みを止めずにいたいと思った。

景色を変える仕事をしよう。

そういう意思決定をしよう。


*関連記事


この記事が参加している募集

多様性を考える

よろしければ、スキボタンやシェアで支援いただけると嬉しいです!