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流れの悪いとき

素晴らしい秋晴れだった。

午前中に洗濯やら掃除やらを終わらせて
ふとパスタが食べたくなったので
駅前のイタリアンに行くことにした。

でも着いたら今日は予約で満席だという。
今までそんなこと一度もなかったのに。

朝からみかん一個しか食べてなくて
私はとても空腹だった。

じゃあタノンカレーでパッタイでも食べるか・・・
と一瞬思ったけど、

そういえば隣駅に気になるカフェがあったので
天気もいいし、午後のセッションまであと2時間あるし、
自転車で10分の距離なので行ってみることにした。
 

素晴らしい秋晴れ。
私は幸せに自転車をこいでいた。

ちょっと、タイヤの空気が少ないことに気付いて
「パンクしたらいやだな」って思った。

そしたら、たぶんそれから5分もたたないうちに、
本当にパンクした。

自転車がパンクするって、人生初めて。
まさかこんなタイミングで。
 

とりあえずカフェまで転がしていって、
帰りはタクシーでも拾えばいっか。

そう思って進み続けたけど、
今度はカフェが見つからない。

素晴らしい秋晴れ。
こんなにことごとく流れが悪い日は久々だ。
 

あきらめて、最寄りの自転車屋さんまで
15分自転車を転がしていくことにした。

あともうちょっと、というところで
後輪が回らなくなって、
仕方ないので後ろのタイヤを持ち上げて歩いた。
 

自転車屋さんは大盛況で、
パンク修理まち5台。直るのは夜になるらしい。
自転車をあずけて、とりあえず一度帰ることにした。

Google Mapで調べたら、
徒歩23分で帰れるというので、歩いて帰ることにした。
だって素晴らしい秋晴れだから。
 

帰り道、別の行きたいと思ってたイタリアンがあったので
ラッキー、寄ろう!と思ったら、臨時休業だった。

こんな日はもう、無事に生きのびることだけを
目標に過ごすのがいちばんだ。
 

それでも私は機嫌が良かった。
だって素晴らしい秋晴れだから。

セッション開始まであと1時間ある。
そうだ、タノンカレーでパッタイ食べよう。
 

営業確認するためにインスタを見たら
11月は限定メニューが大好きなマッサマンカレーだった。

ラッキー!と思ってお店に入ったら
マッサマンは売り切れ。

やっぱりね。
こんな日は、こんなだよね。
私はいつもの美味しいパッタイを食べた。
 

今日最初にパッタイ食べようと思ってから
1時間が過ぎていた。
宇宙に溶けて消えたような、不思議な1時間。

セッションには問題なく間に合った。
なかなかいいセッションだった、と思う。
 

「ずっといい状況が続けばいいのに」
と願ってしまうのは、人間の性(さが)。

でも快晴の日もあれば雨降りの日もあって
自転車がパンクするとか
予期せぬハプニングが起こる日もある。

だからずっといい状況が続くことは
幸せかもしれないけれど、
続かせようとコントロールしだした瞬間
私たちはとても不自由になる。

コントロールを手放して、
一見よくないと思われる状況を
安心して過ごすことができる力こそ
私たちに自由と強さを与えてくれるのだと思う。

それがいい流れだったのか、
悪い流れだったのかなんて、
後になってみなければ分からないし、
大きな目で見れば真に悪い流れなんてない。
 

今日は人生初のパンク記念日。
なかなか素敵な一日だった。


さて、自転車をとりに行ってきます。





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