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一枚のメモ

【マッキーからのメッセージ -8-】

一週間に二回ほどの割合で、妻が病院に足を運んでくれる。洗濯した着替えを持ってきてくれるためだ。

コロナの影響でゆっくりと面会はできないけど、わずか10分ほどの荷物の受け渡しの時間が、僕にとってはとても待ち遠しく感じる。

その10分の間にいろいろな話したいことがあるんだけど、いざ、ねえさんを前にすると何も言えなくなってしまう。

頭の中がいっぱいになってしまい、うまく発音しようと考えるほどに「えーと、えーと」と言葉が出てこない。伝えられずに悔しくて涙が溢れてしまう。

そんな中、さらなるコロナ対策で完全面会中止になってしまった。わずか10分の会える機会さえ奪われてしまったのだ。

落ち込んだ。初めて声を上げて泣いてしまった。


今日は最初の荷物の受け渡し日。

ねえさんが14時に洗濯した荷物を持ってきてくれる。交換で汚れた荷物を渡すのだ。

バスタオル、パジャマ、靴下などを袋に詰めた。1階の受付に12時までに出さなくてはいけない。ほどなく用意は出来た。

そうだ! ただ渡すだけだけど、何かいつものお礼を言いたい! そこらじゅう探したけど使用済みのプリントの裏くらいしか見つからなかった。

「ありがとう! ねえさんへ」

たった一言だけ、書くことができた。
左手で書いたかっこ悪い文字、
だけど気持ちを込めた文字で。


9月22日


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