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スペインとチュース

今回、7回目のスペイン、2ヶ月半の滞在のほとんどをチュースの家周辺で過ごしたことで、ようやくスペイン?アストゥリアス?の文化らしきものがわかってきた。
そして、チュースと私の喧嘩の原因は、人間性というより、文化的な違いかもしれないという、今更な結論が導きだされそうだ。

例えば、アルコール問題。
チュースは呑んべいだ。前にも書いたけど、記憶を無くすほど呑んでしまうことも多々ある。今回は、酔っ払って転倒して肋骨のヒビが入った(泣) 以降は、そこまでひどく飲むことはなかったけど、基本的に飲み出したらしつこい。
さて、
チュースの娘の友達たち(30代後半) とおしゃべりをしていた時、子供を持ちたくない理由について、友達Aは
「子供を持ったら、酔っ払い親父に孫を見せるという義務が生じるから子供は持ちたくない。」と言った。
なんでも、彼女のお父さんは酒が入ると暴れて暴力をふるうようになってしまい、子供の時何度も殴られた思い出があるらしい。酒が入らなければ、普通の大人らしいけど、酔っ払うと手がつけられない。この前も、実家に帰った時、妹の子供もいたのに酔っ払って、大変だったらしい。妹はよくあんな親父と平気で過ごせるなあと言う。
それをきいていた、もう友達Bが、実は自分も母親と絶縁しているという。理由はやはり、アルコール依存症。去年、その母親が住んでいる市町村?から?母親を養う義務があると言われ、大変だったらしい。最終的に、母親はアルコール依存で、自分を放置したから、自分は母親を養う義務はないという長い手紙を市役所?に書き、ことなきを得たという。

そんな話を聞きながら、私は恐る恐る、スペインではアルコールの問題ってよくあるの?と聞いてみた。
2人とも、アキコは何を言っているんだ的な勢いで、肯定してきた。確かに、どんな小さな村でも、バーがあって、いつも人であふれている。バーがみんなの社交場になっていて、主役はアルコール様だ。
人とおしゃべりする為にはアルコール。人の輪の真ん中にはアルコール。
(そして、アルコールはチリよりも安い感じがする。)
さらに、チュースの世代1960年前半生まれは、彼らの思春期に、フランコ独裁政権が終わり、ドラッグが大量に入って来て、さらにひどいことになっていたらしい。チュースも若い時ドラッグにハマり、山暮らしのスタイルに出会わなかったら、道でのたれ死んでたかもしれない。

酔っ払いピエロ

私はアルコールが全然飲めなくて、その楽しさやほろ酔いの心地良さがわからない。だからお酒の量がコントロールできないなんて、情けないと簡単に思ってしまうけど、アルコールに溢れた社会で育ったら、そうなってしまうのかもしれない。
そう思うと、チュースは酔っ払って暴力をふるうわけではないし、まあ、許容範囲なのかもしれん、と思った。

予定は未定問題。
日本で生まれ育った私は、予定を立てるという習慣がある。予定を立てたいのは、なぜかと聞かれたら、準備をしておきたいから。例えば、友達が来る予定があれば、買い物をしておくし、一泊ででかける予定なら、荷物だってそれなりに持ってでかけたい。
チュースは予定を立てる習慣があまりない。
チュースに言わせたら私はアルコール依存ではないけど、「予定を立てる依存」かもしれない。これもケンカネタの一つ。
今回、チュースの村の人たちの様子を見ていて、夏休みだったこともあるけど、誰も予定なんて立てないんだな、と思わされたことが多々あった。チリの友達の方がよっぽど予定がしっかりしているように思えたほどだ。
チュースの家の前で行われた飲み会の中で、飲み会の予定が実行されたのは多分2回くらいしかない。残りの15回くらいは、気がついたら人が集まってきて、飲み会になっただけだ。そうすると、いつでも人に何かを振る舞えるように、買い物も必要以上にしておく必要が出てくる。これも、私たちのケンカの原因の一つ。買い物の量。私は必要な分だけ買えばいいと思ってるけど、チュースは違う。ビール、肉、卵は必要以上にないと気が済まなくて、さらに、あったら容赦なく消費してしまう(特にビール)

唐突に始まったある日の飲み会

リスク管理問題。
日本で生まれ育った私は、(こう見えても)いつもリスクを気にする。でも、リスクを考えるということは、常に未来の心配をするということだ。チュースはそれがあんまりない。
例えば、違反駐車。私を送る為にバスターミナル前の荷物の積み下ろしスペースに駐車した。そこに駐車していいのは5分が限度。その5分だって、運が悪ければ、市の人が回って来て、違反駐車の罰金を取られたりする。でも、運が良ければ、30分停めてても、誰も来ない時だってたくさんある。
他の駐車スペースを探すのは時間がかかるし、料金も発生する。ならば、ターミナル前の荷物積み下ろしスペース(それも結構広いので、人の迷惑にはなりにくい) に停めてしまって、荷物の多い私に付き添ってくれて、ついでに自分もトイレに行ったりサンドイッチを食べたりした方がいい、というわけだ。
でも、私はその間に駐禁取られたら、と思うと気が気でない。「駐禁取られたら、自分がお金を払うからいいじゃん。これは僕の判断と責任で停めているんだからごちゃごちゃ言うな」と、彼は言う。

リスク管理と言ったらオーバーだけど。まあ、あまり悪いことは考えない楽天的なチュースの思考は、チュースのものだけではなくて、若干酷い目にあった、という話は次回。

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