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パンつくりを学ぶこと

〜初めてのパン教室〜

最初は趣味の範疇で、「今日の料理」等の雑誌を見ながら自分で作っていたのですが、しばらくすると本では飽き足りなくなりました。

そこで、仕事帰りや週末に辻学園のパン教室やお菓子の専門学校に通い始めたのが最初です。

パン教室は半年間、月に1回くらい通ったと思います。当時はお菓子の方を本格的に学んでいましたが、どちらも上手になっていくことが楽しかったです。出来上がったものを近所の方やお友達にあげたりして、自分が作ったもので誰かが喜んでくれるということがとても嬉しかったです。

〜ホシノ天然酵母パン種と国産小麦との出会い〜

そんなある日、実家で姉が焼いてきたパンを食べる機会がありました。国産小麦を使った天然酵母パン。見た目はただ丸くて、「無骨なパンだな。私の方が上手だわ。」とか内心思って、食べたら、びっくりするほど美味しい。思わず「何これ?」と声に出してしまったほどです。

これがホシノ天然酵母パン種と国産小麦との出会いでした。

早速姉に材料やホシノの起こし方等を教えてもらい、何度か自分で作ってみたものの、あまりうまくできない。そこで、ホシノ天然酵母パン種のパン作りを教えてくれるところを探しました。

当時、町田と神宮に一ヶ所ずつしかなかったのですが、両方に行ってみて、自分の好みだった神宮のトゥルナージュというパン屋さんで学ことを決めました。

私が受けたのは、3ヶ月で6回x2日という短期セミプロ集中講座のような講座だったと記憶しています。

3ヶ月なのでパン作りの工程がわかった程度でしたが、パンのメニューは30種類くらいあり、セミプロというタイトル通り、仕込む量はパン教室のレッスンの量より多かったです。

また、最終の講座ではお店のパンを全部自分たちで焼いて、販売するという課題がありました。そこでお店を開いてパンを売るというシュミレーションができましたね。

〜喫茶店のつもりがパン屋へ!?“理論”の壁〜

実はその頃、すでに脱サラして、喫茶店を開こうと思っていました。

パンについては、ランチに付ける丸パンを1日に20個くらいや焼ければいいなくらいに考えていました。夜は調理学校に通っていました。

けれども、いざ喫茶店のつもりでお店を開いたら、パンが好評で、どんどんパン屋と言わざるをえない感じになっていきました。

ここで壁となったのは、パン作りについての理論的な事を一切学んでいないため、応用が効かなかったことでした。

営業しながら、試行錯誤を繰り返す毎日。

時間はない、技術はない、体力もない。さらに途中で子供を出産。とにかくどうにかして、美味しいパンを産み出そうと毎日四苦八苦していました。

冷蔵発酵、生地冷凍、成形冷蔵発酵など、習ってはいないけれど、やってみたらできた。そしてそれをお客さんが美味しいという。でも、どうしてそうなるのか?は分からない。

途中からパン教室も始めたのですが「こうやれば、こうなる」というケーススタディは山ほど持っていても、理論的なことがわからないから生徒さんへの説明ができない。

自分でもこれではダメだな、と思っていたところに、春よ恋が長雨による穂発芽で、うまく発酵しなくなってしまうというピンチ。

問屋さんに色々な粉を出してもらい、いろいろ試作をしてみたけれど、理論的なことが分からないから、どうしたらいいかがわからない。

もし出来るならその頃の自分に、教えてあげたいくらいです。

お店を切り盛りするのに精一杯で、1日18時間も働く日々。どこかへ習いに行く余裕もないし、修行した経験もないので、頼れる先生もいない。苦しかったです。

今なら、穂発芽した小麦も上手に使うことができると思うし、ポリパンには最適だと分かるのですが・・・。

〜「日本パン技術研究所」との出会い〜

自分の知識不足を痛感する日々の中で、とある方のご紹介で「日本パン技術研究所」が主催する「発酵種アドバンス」という講座に参加しました。

そこで今まで疑問に思ってきたことが、「ああああ!そうだったのか!そういうことだったのか!」というワオ体験をして、もっと学びたいという思いが強くなりました。

この時のワオ体験は、まずは自分で実践を積んだからこそのものでした。そういう意味で、がむしゃらにやった経験も無駄ではなかったように思います。

その後、お店を一旦お休みにしたのを機会に、時々講習会にでるようになり、2015年には「日本パン技術研究所」の100日コースで分子レベルの話から理論を徹底的に叩き込まれました。

3ヶ月毎日朝から晩までびっちり講義と実習があり、とても大変でしたが、パン屋さんやるよりは楽だなあと感じましたし、とっても勉強になりました。

同級生に加工会社、製粉会社の方がいて、化学のことなどいろいろ教えていただいて本当にありがたかったです。
また、シェフ主催の講習会などにも時々参加しました。それぞれのシェフ独自の考え方や、材料やパンに対する姿勢など、とても勉強になります。

〜理論的なことを学ぶ意味〜

私はパン屋としても、パンを教える立場としても、理論的なことは、知っていて損はないと思います。

例えばシェフから学ぶ時も、なぜその手法なのか?や発酵や酵素の影響などを理論的に捉えることができるか否かで学びの深さが違います。

また、理論的なことがわかっていると応用が効きます。

それは、パン作りだけではなく、発酵食品や料理などにも応用が効くようになります。

特にパン作りを教えたいと思っている方は理論的な勉強はとってもオススメです。その作業はなぜそうするのか、なぜその材料をつかうのか、代替えなら何を使えるのか?等を教えてあげることができるし、レシピも自分で自由に変更できるようになります。

とはいえ、学びには終わりがなく、私自身今でも分からないことは沢山沢山あります。きっと100%になることはないのでは?一生学びですね。

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