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「副菜どうしよう」の救世主

さーて、あと一品をどうしよう。

主婦なら誰でもぶつかったことがある 〝あと一品問題〟。
昨日の私もそうであった。メインと汁物は決まったものの、あと一品、副菜がどうにもまとまらない。
うーん、どうしようどうしようと、冷蔵庫をのぞいたり、仕事に戻ったり、子どもと話したり、スマホを触ったり、もう一度冷蔵庫をのぞいたりしたが、何のアイデアも降りてきやしない。ちくしょう。一汁一菜で良いと土井善晴さんは仰るし、私も大いに賛同しているのだけど、そうはいかないのが現実だ。一汁一菜の食卓では、夫も子ども達も「物足りない」と表情を曇らせるに違いない。

そのとき、玄関のチャイムが鳴った。インターホンの画面にうつっているのはママ友のKさん。いつもアポなし突撃訪問で最初は面食らったが、なんだかんだ面白い話をして帰っていくので今や楽しみになりつつある。今日はどんな話かなと外に出たら、「忙しいときにごめんね、林田さん(仮名)から五目豆が届いてーー!」とビニール袋を手渡された。

林田さん特製の、五目豆だ。
ヨーグルトの空きパックに丁寧に注がれたであろう五目豆は、まだ少し熱が残っていて、手のひらに温かさがじわじわ広がる。同時に、私の心もポカポカしてきた。さっき、「副菜のアイデアが降りてこない」と愚痴ったところだったけど、アイデアどころかブツが届いた。こんなにありがたいことがあろうか。

林田さんは、地元の園芸ボランティアのリーダー。御年、81歳。Kさんと私が月に二度のペースでお手伝いしているご縁で、林田さんはよく差し入れをしてくださるのだ。原付を猛スピードで飛ばしてきて(誇張ではないです)、「これ、みんなに配ってー!いつもありがとうー!」と大量の美味しいものを置いていく。
今日いただいた五目豆は、もう何回目だろうか。我が家の子どもたちも大好きだが、他のおうちのお子さんも一度に平らげるという。中には、「偏食の息子が、家で初めて大豆を食べました」という報告もあって、おばあちゃん特製五目豆のファンが確実に増えてきているのを感じる。

そのほかにも、
・フルーツが盛りだくさんのヨーグルトデザート(卵黄、生クリーム、砂糖、ヨーグルトを混ぜているそうだ。めちゃうま!)
・バナナケーキ(タルトタタンのバナナ版という趣。レシピをいただいて私も作ってみた。めちゃうま!)
・豚汁(角材みたいな具材がゴロゴロ入っていて、栄養も満足度も高い。めちゃうま!)
・中華風サラダ(唯一、酸味が強いと子どもたちは少し苦手意識があるみたい。わがまま言うな!)
と、林田さんの料理が我が家の食卓に並んだ回数は数知れず。

しかも、「今日は困ったな」という窮地に、届くことが多い。林田さんは夕食の救世主なのであります。だから、私たちも林田さんや園芸ボランティアの救世主となるべく、通い続けるのだ。

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