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オンライン授業へのシフトに関する備忘録

新型コロナウィルス感染症の影響が長期化することを見越して、オンライン環境を整えてみました。うちの大学は3/31現在ではオンラインシフトという決定はなされていないのですが、非常勤先の慶應SFCからオンラインの要請が来ているのと、逆にオンライン環境があれば静岡からでもいろいろできるなと思って、備えることにしました。

ラッキーなことに、オンライン授業に関しては既に経験があります。まず1つめは、2007-2010年に担当した、慶應ビジネススクールのオンライン授業(MBA本科ではなく文部科学省委託事業「地域起業家養成研修」プロジェクト)。カリキュラム作りからティーチング、営業まで一通り経験でき、現在の人材育成スキルはこのときに培われたものが多いです。この授業はすべてオンラインだったので、オンラインで実施するときのカリキュラムの作り方、教材の扱い、受講生への配慮、ティーチング作法などを一通り習得しました。このときはまだまだ機材の選択肢が少なく、Polycomというシステムを用いており、クライアント側にも設備が必要でした。

また2018-2020年は、このときにご一緒した先生にお声がけいただいて、名古屋商科大学の「オンラインMBA入門」に講師として登壇しました。このときはZoomとGoogle Classroomという受講生側の整備がほとんど不要なシステムを利用していましたが、講師側には2,3千万円をつぎ込んだハードウェアや、授業中に技術的サポートをしてくれるスタッフ二人という体制でした。

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さすがに一教員の立場ではここまでの設備投資や人件費はまかなえませんが、この2つの経験があったおかげで、何に配慮しなくてはいけないかという当たりがつけられたこと、オンラインで講師をする上での最低限の所作が身についていたことはとっても助かりました。例えるならば、回らないお寿司の味を知っているからこそ、回るお寿司の楽しみ方が分かるって感じでしょうか。

オンライン環境としては、以下をそろえました(元からあったものもあります)
・快適なWifi環境
・内蔵カメラ付き12.5型ノートブックパソコン
・Zoomの年間契約
・ワイヤレスマウス
・吸着式ホワイトボード(セーラー万年筆どこでもシートが最高。これがあれば自宅でもホワイトボードが使えます)
・27インチ 4K ディスプレイ(Zoomで26人以上の参加者を1画面で一覧するためには解像度4Kが必要)
・スタンディングデスク(私は授業は立っていたほうが集中力が高いので)
・ワイヤレスのイヤホンマイク(講師の動きを制限されないように)
・ポータブルホワイトボード(nu boardやバタフライボード。備え付けホワイトボードよりも参加者が見やすい)

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ちなみにカメラは、パソコンの内蔵カメラがそれなりに性能がいいのでそれを利用していますが、目線の高さを合わせるために(受講生が見下ろされてる構図にならないように)パソコンは台に乗せて使用します。外付けカメラで画質に拘るのもありですが、高画質で送っても受講生側の環境次第では見にくいし、受講生が何をしっかり見たいかというと講師の顔以上にホワイトボードだと思うので、手元のポータブルホワイトボードを使えば代用できるとも思います。私は授業の構造を物理的に見せながらディスカッションを組み立てるというテクニックを使いますので、ホワイトボードを背負いたいタイプだけど、この場合でも授業中は文字はちゃんと読めないという前提でやり、あとで写メって受講生に送ります。

Zoomのアカウントを2つ使って、1つはパソコン(参加者の確認と資料共有用)、1つはiPhone(カメラとマイクとして使用)として使うという方法も試してみましたが、受講生数とアカウント数がずれることでブレークアウトルームが直感的に設定しにくくなりました。操作を任せられるスタッフがいるとかセミナースタイルならいいけど、ケースメソッド授業のようにインタラクティブな授業だとそういう周辺作業に集中力をそがれるのが辛いため、1アカウントでなんとかすることにしました。

それからオンライン授業に関しては、通常の大学の授業では無申請で使用できる教材が、要申請になります。著作物利用のルールが変わるためですが、素晴らしいまとめを作って下さった方がいるので載せておきます。

[大学] オンライン授業における著作物利用の注意

また、こちらのクリエイティブコモンズに基づいた教材は、学校でケーススタディをするなどお金のやりとりが発生しない状況下においては自由に無償で利用することが出来ます。 

慶應SFC電子教材配信プロジェクト

3月中に、いくつかオンラインのディスカッションやらセミナーやらをやってみたのですが、オンラインは意外といろいろできるし、オンライン特有の付加価値もあると感じています。一方で、オンラインの経験が重なれば重なるほどリアルに会いたくなる(オフラインの付加価値が高まる)とも感じていますので、せっかくなのでこのバタバタをしばらくは理想的なオンラインとリアルのブレンドを考える期間として活かそうと思います。転んでもタダでは起きないぜ。

トップ画像は、研究室のオンライン授業環境を本格的に整えるにあたり全体のイメージ図を描いてたところ、いつの間にかムスメに落書きされていたものです。先生がニコニコしてていいね!

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