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13 心と身体と生きる意思

13 心と身体と生きる意思

☆さまざまな臨床経験を通じて


日々の臨床は、さまざまなお悩みに一緒に解決していく道をさぐることになります。

このなかで、自転車操業的なその日暮らしと、日々をバックアップしてくれる体力の余裕資金があることの違いは非常に大きく、人生を左右するものだということを実感しました。

健康面で、人生の課題ができたときの選択肢は、

・まっすぐに、西洋医学に舵を切るべき方
・東洋医学や、漢方、鍼灸などの手入れが必要な方
・食事の改善、生活改善が必要な方
・目の前の体調だけではなく、余力の積み増しが必要な方、
・時間とタイミングが必要な方

いろいろな要素が、現在の『不調』につながっているのだなと実感するようになりました。そしてまた身体だけではなく、心の不調も身体とひとつとなり私達の健康に大きな関係性をもつことも実感できることです。

そしてもう一つ、『生きる意思』がその人の人生にとても大きな課題となっていることも痛感するようになりました。この『生きる意思』は東洋医学で言うところの『肝、肝気』の概念と重なります。肝が据わるのキモが『肝』なのです。

☆生きる選択:食事と『生きる意思』


食事は生きるということに直結します。
しかしながら、食の選択には色々な思想信条、好み、環境が影響します。
この選択の結果であるお身体を東洋医学的な四診の目を通じてみることは非常に興味深いことです。

私達には、それぞれ生まれ育った文化があります。
家庭があり、環境があり、その中で生まれ育ちます。
このなかで、『生きる意思』も大きな影響を受けて育ちます。
そして『生きる意思』で選択します。

  • いつも精一杯がんばりたい

  • 困難がおきても前に進む

  • 勝負にはつねに勝ちたい

  • 誰かと一緒にいたい

  • いつも自分が頑張らなくてはならない

  • やりたいことは精一杯やりたい

  • すっきりできる事が好き

  • この味が好き

  • この人が好き

  • 面倒くさいことはイヤ

  • 子どもが欲しい

  • 怖いことはいや、

  • やったことがないことはいや

などなど

私達はさまざまな価値を持ち、『生きる意思』がその道の歩き方を決めています。

そして時にこの『生きる意思』は、心と身体をもつ私達の心身の器を越えた選択をしたり、無理を重ねる選択もします。

どうやって、この生きる意思が、心と身体をもつ私達を調和のある形で運転手となってくれるのでしょうか?

生きる意思と、心と身体の課題の乖離をよく見かけることも、臨床では多くありました。いや、自分の意思と、身体の課題が調和できていることのほうが少ないために、鍼灸にいらっしゃるということも多いのかなと感じています。

『生きる意思』とともに、人生をよりよく過ごすことの大切さを痛感します。

☆心と身体と生きる意思

東洋医学の世界では五臓で身体の状態を捉えます。

五臓:肝、心、脾、肺、腎

この五臓は1つの身体を5つの観点でみていくということです。そして主に身体のありようをみていきます。

また、同じように5つにわけるときに、対応する感情として五志が考えられています。

  1. 肝→怒、

  2. 心→喜、

  3. 脾(胃腸)→思(思い悩む)、

  4. 肺→悲、

  5. 腎→恐

感情は、身体と直接的な関連性をもっていると考えられています。
さまざまな出来事によってもたらされる感情と、その影響のある臓腑という
考え方はなかなか面白いものです。

そして、これにくわえて、私は、生きる意思ということを考えます。

基本的にこの意思は、肝とつよく関連性を考え、身体の気の昇降出入に大きな影響を与えると考えています。

その上で、私はこの生きる意思が、私達の人生の選択においてさまざまな局面であらわれ、強い影響をもっていると感じます。

つまり、心と身体のある私達を、この生きる意思が方向性を示唆するのです。

☆心と身体の運転手

 この図は認知行動療法を考えるときにつくりました。

心と身体の運転手『生きる意思』

そしてまさに生きる意思とは、この運転手なのです。

☆心と身体の運転手である『生きる意思』


私達は心と身体をもち、さまざまな出来事がある人生を生きています。

この運転手が、『生きる意思』であり、生き方を選択していくのです。

この運転手である『生きる意思』、身体の状態や感情を乗り越え、人生を歩んでいきます。

人生を豊にし、楽しくし、幸福にしてくれるのが『生きる意思』です。

しかしながら、面倒くさがったり、捻くれてみたり、突き進みすぎたり、中途半端にやめてしまうのもこの運転手である『生きる意思』です。

  • 暴走してしまったり、逆走したり、

  • はたまた意味のないレースをしたり

  • 高すぎる山を目指したり、

  • 道のないところを走ろうとしたり、

  • 自分の車(身体そのもの)のパワーにあわない運転をしたり、

  • せっかくの車の性能を生かし切らない走りをしたり。

心と身体の運転手である『生きる意思』と調和をとって生きることは非常に大切なことです。

私達は、この五臓の観点から身体を考え、感情を考えて養生します。

☆人生の『生きる意思』をもつ運転手さん


人生は心と身体で運転していきます。
人生の道をドライブする、その目標と、自分の車の性能をしっておくことはとても大切です。

たとえば、妊活という目標があり、車の性能をあげるために体力の余裕資金を積み増さなければならない状態。
しかしながら、多くの予定を入れないと満足や安心ができない心(『生きる意思』)である場合があります。

このときに、身体と余剰資金の関係をしり、しっかりとご自身の生きる意思をもち、賢明な運転者となり、人生をドライブしていく覚悟をもち、実行することが必須です。

その結果、歩む道の目標にむかってしっかりと前に進み、新しい人生の扉を切り開いていった方と多くの時間を共有させていただきました。

女性の人生の波に乗ろう!



妊活はときにご自身のいまある生活パターンをかえ、体力の余裕資金を貯める必要があることもあります。

これは難しい、

でも、それが達成できると、目標である妊娠にも自然と到達できることがある。そしてその後も、体力の余剰資金があるおかげで、出産も順調にのぞめ、子育ても無理がなく過ごせます。

余剰資金がないと、出産時のトラブルが引き起こされ、産後の1ヶ月は気をテンパらせてなんとかなっても、その後にどーんと産後のトラブルであるメンタルやリウマチ、喘息など虚損病を発症してしまうなどということもおこってしまいます。大きな違いです。

上手な人生の運転手であることは、いろいろなことがある、人生の荒波を受け止め、乗り越えていくおおきな助けになるのです。

自らの心と身体をしっかりと認識し、よいドライバーとなって、人生を歩んでいきたいものですねえ。

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