妊娠中の運動、どこまでOK?
妊娠中、経過がよければ
「ごろごろばかりしてるのもなんだかね…」
とは気になりつつも
「何すればいい?」
「どれくらいすればいい?」
「そもそも妊娠中て動いていいの?」
などなど
いろんな不安、疑問を持たれるかと思います。
そこで、今回は、そんな疑問にお答えするべく
妊娠中の運動の進め方
についてまとめてみました。
それではどうぞ!
目次
1 運動しないことのリスク
2 いつから始めたらいいの?
3 どうやって始めたらいいの?
4 どんな運動をしたらいい?
5 どれくらいの負荷をかけたらいい?
6 運動しないほうがいいときって?
7 運動を中止すべきとき
8 妊娠中の運動にまつわる不安なこと
1 運動しないことのリスク
妊娠期間の運動不足で生じるリスクはこのようなものがあります
筋肉や循環器系の活動低下
過度体重増加
妊娠糖尿病
妊娠高血圧症
静脈瘤および深部静脈血栓症
呼吸困難感または腰痛などの身体的な訴えの増加
妊娠中の体の変化に対する精神不安定
2 いつから始めたらいいの?
「妊娠初期から妊娠後期まで」
つまり悪阻がおさまってから、出産前でお腹がせり出し動きづらくなるまでという、妊娠期間のほとんどを通して運動することは推奨されています。
3 どうやって始めたらいい?
普段の生活の中で運動習慣のない方は
1回15分 週3回 から開始
1回30分 週4回 までアップ
していきましょう!!
アスリートで産後すぐに復帰しなきゃいけないって方はこの限りではありません。
医者の指示のもと、専門のトレーナーや療法士に運動処方してもらうのがベターです。
4 どんな運動がいい?
いわゆる「有酸素運動」と言われるものがベター
ウォーキング、軽いジョギング、スイミングなどは気軽に取り組みやすいですね。
大きな筋肉をつかったヨガやピラティスなど自重での運動もおすすめです。
注意点はこちら↓
<避けたほうがいいこと>
①バランスを要求される動きがあるもの
②長時間の仰向けでのエクササイズ
③高温多湿での運動
④息むような動作
⑤転倒リスクのあるスポーツ
⑥立ちっぱなし(心拍出量の低下のため)
⑦水分と栄養(妊娠後期で+300kcal)はしっかり取る
①バランスを要求される動きがあるもの
激しいコンタクトスポーツやヨガやピラティスのなかでのバランスを要求されるポーズは転倒のリスクも高まります。
転倒した場合には胎盤の損傷や胎児外傷の可能性も。
②長時間での仰向けでのエクササイズ
また、妊娠の経過に伴って子宮が大きくなると仰向けのとり続けることで子宮の重みで背骨の右側を通っている大きい静脈を圧迫し、一時的な意識障害や吐き気、動悸、気分不良を引き起こすことがあります。
③高温多湿での運動
ホットヨガや真夏で炎天下の運動では、発汗が促され脱水を起こしやすい状態となりますので注意しましょう。
④息むような動作
⑤立ちっぱなし(心拍出量の低下のため)
⑥水分と栄養(妊娠後期で+300kcal)はしっかり取る
5 どれくらいの負荷?
妊娠中は非妊娠時に比べ安静時の1分間あたりの心拍数が10~15拍増加します。
一方で、非妊娠時と比べ、ホルモンの影響で運動をしても心拍数が上がりにくい状態になっています。
そのことも考慮して妊娠中に運動を行う際の目標とする心拍数が設定されたものがこちらです。
年齢によって目標値は変わってきます。
20歳未満 1分間で140~155回(10秒間で23~26回)
20~29歳 1分間で135~150回 (10秒間で22~25回)
30~39歳 1分間で130~145回 (10秒間で21~24回)
40歳以上 1分間で125~140回 (10秒間で20~23回)
分かりやすい方法に「トークテスト」というものがあります。
名前のごとく、運動中に楽に会話ができれば適切な運動強度で運動できており、会話ができないようであれば負荷を下げるべき。
妊娠中の女性はボルグスケール12~14の目標評価が推奨されます。
6 運動しないほうがいいとき
絶対NG!
・破水
・早産
・妊娠高血圧症
・子宮頚管無力症
・子宮内胎児発達遅
・多児妊娠(3児以上)
・妊娠28週以降の前置胎盤
・妊娠中、後期の持続的な出血
・コントロールされていない1型糖尿病、甲状腺疾患、またはその他の深刻な心血管、呼吸器または全身の障害
以上のような診断が下りているときの運動は絶対禁忌です。
できれば控えた方がいい場合
・過去の自然流産
・過去の早産
・軽度/中等度の心血管障害
・軽度/中等度の呼吸障害
・貧血(Hb <100 g / L)
・28週以降の双子以上の妊娠
・栄養失調または摂食障害
・極端なやせ(BMI<12)
・その他の重要な病状
7 運動を中止する基準
・過度の息切れ
・胸痛
・てんかん発作
•痛みを伴う子宮収縮
•破水
•膣からの出血
•めまい
•頭痛
•ふくらはぎの痛みまたは腫れ
•胎児の動きの減少/早産
8 妊娠中の運動にまつわる不安なこと
一番気になることはやはり、運動することがお腹の赤ちゃんにとって悪影響を及ぼさないかってことかと思います。
妊婦さんを対象とした研究はデータ数も少なく「絶対です」とは断言することはできませんが、妊娠中に運動することが早期妊流産、出生時体重、早産率などへ強い影響を及ぼすことは示されていないというのが一般的な見解となっています。
また、妊娠初期の運動で体温が上がることで胎児に奇形が生じるといったことは現在の研究では証明されていません。
また、妊娠初期に運動の習慣があった女性は、その後の妊娠中も継続して運動を続けることができていたと述べられています。
まとめ
妊娠中は運動しないリスクのほうが大きい
禁忌がない限り運動したほうがよさそう
1回15分で週に3回から
おしゃべりできるくらいの楽な運動でOK
運動のリスクや中止の基準もちゃんと知っておく
参考文献
・JOINT SOGC/CSEP CLINICAL PRACTICE GUIDELINE
・ The effects of maternal exercise on early pregnancy outcome. Am J Obstet Gynecol 1989;161:1453–7.
・ Effects of aerobic and strength conditioning on pregnancy outcomes. Am J Obstet Gynecol 1987;157:1199–203.
・Maternal exercise during pregnancy,physical fitness,and fetal growth. Am J Epidemiol 1993;137:1105–14.
・Training in pregnant women:effects on fetal development and birth. Am J Obstet Gynecol 1998;178:280–6.
・.Exercise during pregnancy and pregnancy outcome.Med Sci Sports Exerc 1995;27:634–40.
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