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ふしぎな魚の物語


あるところに、貧しい漁師とその妻が住んでいました。ある日、漁師は海に出かけて、大きな魚を釣り上げました。魚は金色に輝いており、とても美しいものでした。漁師は魚を持ち帰ろうとしましたが、魚は人間の言葉で話し始めました。

「お願いだ、私を釣り上げないでくれ。私は幸せをもたらす魚だ。私を持ち帰れば、あなたの願いは何でも叶う。ただし、一つだけ条件がある。私が話す物語を聞いて、一言も口をきいてはならない。もし口をきいたら、私は海に帰ってしまう」

漁師は驚きましたが、魚の言葉を信じて、魚を持ち帰ることにしました。家に帰って妻に魚のことを話しました。妻も魚を見て喜びましたが、魚の条件には不安を感じました。

「本当に願いが叶うのかしら。魚が嘘をついているかもしれないわ。それに、物語を聞いていても一言も口をきけないなんて、つまらないじゃない」

「心配するな、妻よ。魚は嘘をつかない。私たちは貧しいから、このチャンスを逃してはならない。物語は面白いものだろう。一言も口をきかなければいいだけだ」

漁師は魚を鍋に入れて火にかけました。魚は熱くなっても死なずに、物語を話し始めました。

「私の話は、遠い昔のことだ。ある国に、美しい姫とその恋人である王子がいた。二人はとても仲が良くて、結婚することになった。しかし、姫の父である王は、王子を気に入らなかった。王子は隣国の王子で、王はその国と敵対していたからだ。王は姫に別の相手を見つけるように命じたが、姫は王子を愛していたので、従わなかった。王は怒って、姫を塔に閉じ込めた。王子は姫を救い出すために、塔に忍び込んだ。しかし、王の兵士に見つかってしまった。王は王子を捕らえて、処刑することにした。姫は王子の命を助けるために、王に懇願した。王は姫の涙に心を動かされて、王子に一つの賭けを持ちかけた。」

魚はここで話をやめて、漁師とその妻を見ました。二人は魚の話に夢中になっていました。魚はにやりと笑って、話を続けました。

「王は王子にこう言った。『お前に一つのチャンスをやろう。お前が私の出す問題に答えられたら、姫と結婚させてやる。しかし、答えられなかったら、お前は死刑だ』王子は賭けに応じた。王は問題を出した。『私は今、手にこのリンゴを持っている。お前にはこのリンゴを二つに割ることができるか』王子は考えました。リンゴを割るのは簡単だと思いましたが、王がそんな簡単な問題を出すはずがないと感じました。王子は何か罠があるのだと思いました。王子はどう答えたと思う?」

魚はまた話をやめて、漁師とその妻を見ました。二人は魚の話に興味津々でしたが、口をきくことはできませんでした。魚はさらににやりと笑って、話を続けました。

「王子は王にこう答えた。『私はそのリンゴを二つに割ることができます。しかし、その前に、王様に一つお願いがあります。王様はそのリンゴを私に投げてください』王は不思議に思いましたが、王子の願いを聞き入れました。王はリンゴを王子に投げました。王子はリンゴを受け取りましたが、そのまま二つに割ることはしませんでした。王子はリンゴを高く空に投げました。すると、リンゴは空中で爆発して、無数の欠片になりました。王子は王にこう言いました。『王様、これでリンゴは二つ以上に割れました。私は王様の問題に答えたのですから、姫と結婚させてください』王は驚きました。王はリンゴに火薬を仕込んでいたのです。王は王子がリンゴを割ろうとしたら、爆発して王子を殺すつもりでした。しかし、王子は王の罠を見抜いて、逆に王を出し抜いたのです。王は王子の機転と勇気に感心しました。王は王子に謝って、姫と結婚させてやりました。王子と姫は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」

魚は話を終えて、満足そうに笑いました。漁師とその妻は魚の話に感動しました。しかし、妻はつい感想を口にしてしまいました。

「なんて素敵な話なのでしょう」

すると、魚は鍋から飛び出して、海に帰ってしまいました。漁師とその妻は魚を失ってしまいました。二人は後悔しましたが、もう遅かったのです。二人はまた貧しい暮らしに戻りましたが、魚の話は忘れませんでした。二人は魚の話を子どもや孫に語り継ぎました。そして、その話は口伝えで広まっていきました。それが、このふしぎな魚の物語なのです。

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