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日常を取り戻す 中国茶のある生活

noteを始めたきっかけが心筋梗塞からの生還のため、どうしても各マガジンの書き出しは入院中のことになる。

もう一つの入院中の不満は飲み物だった。1日1500ml。自分で時間と飲んだ量も記録してナースのチェックを受ける。不自由だ。ICUではPETボトルの緑茶で過ごした。命の危機にあるときは水分が取れるだけでありがたいのだが、一般病棟に移り食事や行動が自由になると不満が出てくる。なんと強欲なことか、と自らにあきれる。日常に少しでも戻したい。それは私にとっては中国茶のある生活だ。20年ほど前からしばしば楽しんでいたが、昨年一念発起。中国茶を深く知り、その良さを人に伝えたい思いで中国茶エキスパートの資格を取ったのだ。それ以来、自宅にいるときは中国茶専用の茶道具で、外出先ではチャトルというお茶専用のボトルに茶葉を入れて肌身離さず持ち歩くようになった。そんな毎日の突然の中断。心筋梗塞に最悪のストレスを溜めてしまうのでは、と恐ろしくなった。

ナースにケトルの持ち込みを打診すると、電気ポットを持ち込む患者もいるので大丈夫でしょう、と見て見ぬ振りをしてくれることになった。早速、妻に連絡。ケトルとお気に入りの武夷巌茶とキーモン紅茶をチャトルと一緒に持ってきてもらう。届いたセットで早速巌茶を淹れる。豊かな干し草の香り、アタックに感じる収斂味と余韻のほのかな甘さに安心し、癒された。一歩ずつ回復に近づける自信が湧いてきた。6,000年前、茶の葉を利用するようになったのは薬草としてと伝えられている。それを実感・体験できたのは収穫だった。


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