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なぜ今医療DXなのか。岸田総理の庄内視察で見た医療の新時代

「政府が進めとる医療DXとかマイナ保険証とか、なんの意味があるのかようわからん。」

地元に帰るとよくこんな疑問をぶつけられます。
医療データがデジタルに繋がった先にどんな社会が拓かれるのか。
私たち市民にどんなメリットがもたらされるのか。
その具体的なイメージを探りに、岸田文雄総理と一緒に全国でも先進的な取り組みが進む山形県酒田市に視察に行って参りました。

雄大な鳥海山麓で育まれる医療DXの芽生え

古くから日本海有数の湊町として栄えた酒田市

5月19日(日)早朝。

酒田の地に降り立つと、まず目に飛び込んできたのは雄大な鳥海山の姿。山頂には残雪が輝き、麓には田植えシーズンを迎えた美しい水田が広がります。この豊かな自然に囲まれた地で、どのような医療DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいるのか、大いに興味をそそられます。

医療DXとは、わかりやすく言えばデジタル技術を活用して全国の施設間で医療や介護のデータの連携を図り、サービスの効率化と質の向上を図る政府のプロジェクトです。少子高齢化が進む日本において、限られた医療資源を有効に活用し、便利で持続可能な医療提供体制を構築するために欠かせない取り組みです。

そうした中、全国でも先進的な医療DXを実践している酒田市の取り組みは、大変注目されています。特に、地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」を中心とした、地域内の医療・介護の緊密な連携の取り組みは、地域包括ケアシステムのモデルケースとして高く評価されています。

電子処方せんが拓く薬局の新たなかたち

最初に訪れたのは、イオン薬局酒田南店。店内に入ると、「電子処方せん対応施設です」の大きなポスターが目に入ります。

電子処方せんのモデル事業地域として先行導入が進む酒田市

対応してくださった薬剤師の渡邉さんは、電子処方せんのメリットについて詳しく教えてくれました。

「患者さんの待ち時間が減りました。重複投薬や併用禁忌のチェックが自動化され、患者さんの安全確保にもつながっています。処方内容を手入力する手間が省けるので、ヒューマンエラーも減りました。何より薬剤師の業務効率化につながっています」

今では受け付ける処方せんの40%以上が電子化されているとのこと。一方で、電子処方せんに完全移行するためには、まだ課題もあるそうです。

「電子処方せんに対応していない医療機関もあるので、その場合は従来通り紙の処方箋を受け付ける必要があります。まずは使ってみるということが大事。便利さを実感すれば、きっと抵抗感はなくなるはずです。」

電子処方せんの導入はまだ始まったばかりですが、渡邉さんの力強い言葉から、我々が目指す医療の未来への手応えを感じました。

地域一丸となったマイナ保険証活用の先進事例

続いて向かったのは、日本海ヘルスケアネットの中核を担う日本海総合病院。

岸田総理も到着され、エントランスへ。入るとすぐに「マイナンバーカードをお持ちの方」「お持ちでない方」「車椅子の方」の3色に分かれた専用レーンが引かれています。大きな液晶パネルでわかりやすくマイナ保険証の利用の仕方が紹介され、操作に不慣れな高齢者の方にも、職員の方が丁寧に対応されているそうです。

マイナ保険証利用率、電子処方せんの発行数など、いずれも全国でもトップクラスを誇る同院ならではの光景です。

岸田総理からそれぞれの参加者に取り組みの実情や課題について質問

意見交換では、地元の加藤鮎子こども政策担当大臣、吉村美栄子山形県知事も加わり、地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」の関係者の皆さまとの活発な議論が行われました。

代表理事の栗谷義樹氏からは、地域が一丸となって連携に取り組む背景について、「庄内地域は高齢化・人口減少が全国よりも先行しており、医療・介護・福祉の連携なくしては地域の健康を守ることができない」との危機感が出発点だったと熱い思いをお話し頂きました。

日本海総合病院の島貫隆夫理事長からは、地域での電子カルテの情報共有システム「ちょうかいネット」に加え、オンライン資格確認、電子処方せんの導入で、「医療の安全性と生産性の向上」につながっているとの成果が紹介されました。

メモをとりながらじっと関係者の発言を聞いていた岸田総理。

「人口減少が進む地域の将来への危機感を共有し、先進的な取り組みを進めて頂いている」と感謝と敬意を述べた上で、「こうした取り組みを全国に広げる努力をしていきたい」との力強い決意表明で会は締め括られました。

医療DXが導く、誰もが安心して暮らせる社会へ

酒田市の先進的な取り組みの視察を終えて、改めて医療DXの意義を実感しました。

病院での受診情報、薬剤情報、健康診断の情報、介護情報などがデジタル化され一つのデータベースで繋がることで、私たち国民や社会にさまざまな恩恵がもたらされることが期待できます。

例えば、視察でも度々話題に上った「医療の質の向上」は真っ先に挙げられるメリットの一つです。医師や薬剤師が、患者の過去の医療情報等にアクセスできるようになれば、診断の精度が上がり、飲み合わせの悪い薬の処方を減らすことなどが期待できます。手続きが迅速化すれば、患者の待ち時間も短縮できます。

「利便性の向上」も大きな利点です。マイナポータルを開けば、自分の診療・薬剤・医療費・健診情報を手元で確認することができるようになりました。民間のPHRアプリを使ってジョギング記録や睡眠情報と組み合わせるなど、自分の健康情報を自分が管理し、利用できる新しい時代が始まります。

デジタル化により「より効率的な医療」が進めば将来の国民負担の増加を抑えることもできますし、疲弊する医療現場の人手不足に対応する「働き方改革」にもつながります。さらには集積された世界最高クラスの医療・介護データは、「創薬力強化」など新たな日本のイノベーションを生む武器にもなり得ます。

医療DXの実現がもたらす多くのメリット

「医療DXのメリットがわかりにくい」

こうした根強い声を真摯に受け止め、私たち政府としても、丁寧にわかりやすい説明を繰り返し、先進的な取り組みの支援を通じて、デジタル化の恩恵の実感を全国に広げていきたいと考えています。

医療DXは、私たち一人ひとりの健康と暮らしに直結する身近な課題です。医療関係者、自治体、そして国民の皆さまと一緒に、丁寧に、着実に、デジタル時代にふさわしい新しい医療のかたちを創り上げていければと思います。

そんな未来に向けた小さな一歩として、皆さまにお願いです。

次回、医療機関に行った際には、ぜひマイナンバーカードを使ってみてください!

ご協力よろしくお願いします!

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