突然の別れ

桜も散りかけたある日、彼女が突然、

「ワタシ、ソロソロ デル」

「え!? 1年じゃなかったっけ?」

彼女から1年と聞いていた僕は急な「退室宣言」に面食らってしまった。
どうやら1年日本にいることはいるのだが、その間は日本各地を旅したりするそう。
残念な気持ちになるも、彼女の今後を考えてもそのほうがいいだろう。

「そっか、じゃあ日本楽しんで!」

とカラ元気な返事を返した。

そして迎えた退室日。僕はいつも通り家で仕事をしている。彼女が荷物を抱えて来る。

「いよいよだね。。」

「ワタシ、コノイエガスキデス。 マタ、トウキョウ モドッテクル。
ソノトキ、ヘヤ アイテルカ シリタイカラ レンラクサキ オシエテ♪」

ずっと同じ家に暮らしてたので今まで必要性が無かったからか、この時初めて連絡先を交換。

そして、いよいよ出発。

彼女は、来たときと同じように大きなバックパックを背負っていた。

「荷物、お持ちしましょう!!」

そこは日本男子たるもの親切にせねばなりません。ということで、その大きなバックパックを背負って2人で駅へ。

改札を通って去っていく彼女。

その背中を見つめる。

「Bon voyage!」

不意に出たフランス語。

笑顔で去る彼女。

今度は言い間違いしなかった。

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