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【海外事例紹介#005】Guta Cafe - ヴェトナム・サイゴン

フランス語の「gout (味・スタイル)」から来たヴェトナムのスラング「gu」と、ヴェトナム語の「ta (私達の)」を組み合わせたGuta Cafeは、サイゴンを中心としたコーヒーチェーン。

制作年:2020年
制作: M — N Associates(ヴェトナム・ホーチミン)

ロゴ

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サイゴンで最も一般的なカルチャーであるストリートコーヒーは、サイゴン市民だけでなくヴェトナム人全体にとっての習慣となっており、そこにはいつも、小さくてどこにも置けて、すぐに小さなコーヒーショップができてしまう「プラスチック製の椅子」がありました。
ストリートコーヒーが好きな人の一日はたいてい、どこか適当な場所にプラスチックの椅子を置き、コーヒーを飲みながら新聞を読みことから始まります。飲み終わると共に、彼らは一日の仕事へと向かうのです。

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カラーパレット

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ヴェトナムどこに行っても見ることができる、社会保障のプロパガンダのポスターからインスパイアされた青と黄色をブランドカラーとしました。このカラーチョイスは、ポスターのスローガンで謳われているように「すべての労働者の友である」とするGuta Cafeの最も大切な役割を担っています。

カスタムタイプフェイス

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プラスチックの椅子とヴェトナム語の発音記号をフィーチャーしたカスタムタイプフェイスは、お店の名前GutaにちなんでFONTA(our font)と名付けられました。

アプリケーション

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意見

最初にロゴの椅子に腰掛けているおじさんのグラフィックを見たとき、僕は思わずニンマリしてしまった。絶妙に緩いのだ。ロゴ、カラー、タイプフェイスと、いずれも現地のストリートカルチャーに根付いていたものをヒントに開発されたアイデンティティは、余計なものを足さず、かといって“余分なものを削ぎ落とす”みたいなデザイナーの変な力みもなく、ただただ自然で心地よい“緩さ”を感じさせてくれたのだ。
優れたアイデンティティは、人格を表すと思っている。みな、誰かを思い浮かべるとき、その人の声だったり仕草だったり身につけているモノだったりにその人“らしさ”を見出しているはずで、アイデンティティも、ブランドにとってそうあるべきなのだ。本件は、そんなヴェトナムのストリートカルチャー“らしさ”が詰まっている気がする(僕は行ったことがないけれど)。

まとめると、余計な論理立てからではなく観察によって見出したプロセス、アウトプットのブランド“らしさ”、そしてシンプルでありながらも(確固たる意味があるゆえに)オリジナリティがあるという満点のブランディング事例だと思う。

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