桂 彰宏

上場企業を主顧客にホワイト500認定と健康経営戦略をサポート。東京大学医学部医学科卒、…

桂 彰宏

上場企業を主顧客にホワイト500認定と健康経営戦略をサポート。東京大学医学部医学科卒、医学博士、産業医。研修医時の同級生の死、過酷な医療現場で自らが体調を崩した経験から、全ての働く人の健康を守り高めることを決意。30社、1万人を超える社員の健康増進と7社をホワイト500に導く

最近の記事

何を食べるか、腸で考える

脳の報酬系が誤作動している ジャンクフードやアルコールなど現在多くの魅惑的なものが世の中には存在しています。かくいう私も甘いケーキやスナック菓子が大好きで、よく食べていた時期があります。嗜好品として楽しむことは問題ないのですが、いざやめようと思ってもなかなかやめられない方も多いのではないでしょうか。これらは食べ物をみて、食べることで活性化する脳の報酬系に私たちが騙されている結果とも言えます。 腸の判断は優れている 生物としてのヒトの原点に立ち返ると、生きることが最優先で

    • 法令遵守→CSR→健康経営へ

      社員の健康管理の企業の取り組みの変化社員の健康について話し合う、衛生委員会・安全衛生委員会ではどのような内容で議論がされていますか?一昔前までは、労災の有無、時間外労働時間に季節によって定期健康診断のお知らせくらいだったテーマが、ストレスチェックを起点にコミュニケーションを促進する取り組み、食生活や運動機会の増進など、随分増えたなと感じられているかもしれません。実は社員の健康管理の企業の取り組みが、ここ20年で大きく変化しています。 法令遵守からCSR(企業の社会的責任)へ

      • 避けるべき2つのストレスとは?

        適切なストレスと避けるべきストレスがあるストレスチェックが実施され始めて5年以上経ち、企業で年々ストレスへの関心が高まっており素晴らしいと思います。その一方、ストレスは私達にとって悪いものでとにかく避けるべきであるというニュアンスを感じます。結論から申しますと、ストレスには適切なストレスと避けるべきストレスがあります。元来ストレスは生物が生存確率を高めるために発達した機能と推察されており、ストレス反応のおかげで、脳が処理する情報の学習・記憶化が促進され、以降の反応速度が上がり

        • 健康経営はダイバーシティの基盤となる

          ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは外面の属性(性別、年齢、障がい、国籍など)と内面の属性(ライフスタイル、価値観、職歴など)の「違い」を受容し、良いところを活かすことです。すべての生物にとって多様性は命を繋ぐ根幹であり、世界的に見て企業におけるダイバーシティの取り組みは歴史を重ねつつありますが、インクルージョンについてもここ数年で急速に普及しています。さて、日本人である私たちはこれまでダイバーシティ&インクルージョンをどれくらい意識してきたでしょうか。 企業の皆

        何を食べるか、腸で考える

          衛生委員会を健康経営推進委員会へ

          衛生委員会とは 常時50人以上の従業員を使用する事業場では、労働安全衛生法により毎月1回以上、衛生委員会を設置することが義務付けられています。業種によっては一定の規模ごとに安全委員会の設置も求められるため、衛生委員会と統合して「安全衛生委員会」としている事業場もあるかと思います。衛生委員会の目的は、労働災害と危険・健康障害を防ぎ、健康の保持・増進について、労使一体となって調査審議することです。毎月の調査審議の内容としては 労働災害の有無 所定外労働時間 休職者数 職場巡視

          衛生委員会を健康経営推進委員会へ

          食品工場での健康経営

          本社と工場の隔たり 多様な企業の健康経営の取り組みに関わる実感として、本社と工場(全国事業場)の隔たりがあります。たとえば、朝食提供、社員から構成される運動部といった素晴らしい取り組みが本社にとどまり、工場の社員の方から「そんなことをやっていたんだ」と驚かれることもあります。もちろん本社でまず小さく取り組み、効果的な取り組みを全事業場に広げていくことは費用対効果の観点から現実的で良いのですが、いつまでも業務パフォーマンスが高まる優れた取り組みを本社だけにとどめてしまうことは

          食品工場での健康経営

          SDGsを無視する企業が失う4つの意義

          企業とSDGs SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2015年9月の国連サミットで加盟国193カ国の全会一致で採択されたもので、17の世界的目標、169の達成基準、232の指標からなる持続可能な開発のための国際的な開発目標です。2030年までの目標達成に向けて残り10年をきり、今後世界的な潮流としてさらに加速することが予測されます。先に結論として企業がSDGsに取り組む理由を述べるならば「選ばれる」ため

          SDGsを無視する企業が失う4つの意義

          女性活躍推進企業「えるぼし」認定

          女性活躍推進法とは 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」)とは、就業を希望しながらも出産や育児などの事情が重なって就業できていない女性が多いことを背景に、女性が活躍しやすい社会の実現を目指して、内閣府から2015年9月に内閣府から公布・施行され、2019年5月に改正案が成立、6月に公布されています。女性活躍推進法に基づき、常時雇用する労働者数が301人以上の事業主は、 (1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析 (2)課題解決の数

          女性活躍推進企業「えるぼし」認定

          職場の生産性低下「片頭痛」

          片頭痛とは 日本人の約4割が頭痛に悩んでおり、慢性頭痛で受診が最も多い頭痛が片頭痛です。脳の血管が何らかの原因で拡張することで周囲の三叉神経を刺激し、刺激で発生する炎症物質がさらに血管を拡張することが原因で、有病率は8.4%で女性に多いとされています。片頭痛の特徴としては、 拍動性 光や音に対する過敏 体の動きで増悪 吐き気や嘔吐 片側性(40%は両側性) が挙げられます。 職場の生産性を著しく低下させる 片頭痛は職場での社員の生産性を著しく低下させます。武藤孝司氏

          職場の生産性低下「片頭痛」

          2021年4月1日適用!改正THP指針

          THP指針とは THP(Total Health Promotion)指針とは1988年に厚生労働省が策定した「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」のことで、労働者の心身両面にわたる健康づくりを推進するための取り組みです。2021年2月に改正され、4月1日から適用されています。新型コロナウイルス感染症の影響からも企業と働く社員の心身を取り巻く環境が大きく変化しており、大変意義のある新しい指針です。では、改正にあたりどのような点を留意すれば良いでしょうか。 3つ

          2021年4月1日適用!改正THP指針

          健康経営の継続フォロー

          健康経営の継続フォロー(3回目以降) 健康経営エキスパートアドバイザーは、1回目の訪問でヒアリングシートに沿って診断し、2回目の訪問で健康経営診断報告書をもとに、課題と対策案を提示し支援計画を策定します。3回目以降の訪問では策定された計画に基づいて、具体的なサポートをしていきます。同じ専門家が支援する方がスムーズですが、健康経営の取り組みは多岐にわたっており課題の内容によっては1人の専門家では対応しきれないこともありますので、産業医、労働衛生コンサルタントや社会保険労務士と

          健康経営の継続フォロー

          健康経営診断報告書

          健康経営診断報告書の目的とポイント 健康経営エキスパートアドバイザーはヒアリングから1ヶ月以内を目安に健康経営診断報告書を企業に報告します。1ヶ月以内という速やかな報告の意図として、健康経営に対する経営者や担当者のモチベーションを削がないことと、仮に法令が遵守されていない場合に先に指導や勧告が入ってしまわないようにするためです。この報告書は、ヒアリングシートと実際の面談で得た情報をもとに、健康経営の実践に向けた具体的な助言と提案をまとめたものです。目的は、企業に自社の健康課

          健康経営診断報告書

          健康経営ヒアリング〈後編〉

          ヒアリングのポイントと流れ ヒアリングで最も意識することは「企業としてなぜ健康経営に取り組むのか」という点です。すべての経営者、特に中小企業の経営者の方々は、健康経営よりも優先順位の高い経営課題をたくさん抱えているケースが多いといえます。その中で気概を持って健康経営に取り組もうとする背景(経営者の考えや企業の置かれている状況など)をヒアリング側が意識して聴取しようとすることで、経営者や担当者の方により的確でスムーズに回答していただくことが可能となります。最初の流れとしては、

          健康経営ヒアリング〈後編〉

          健康経営ヒアリング〈前編〉

          ヒアリングの目的 健康経営エキスパートアドバイザーが企業の健康経営の実践をサポートする最初のステップがヒアリングです。サポートの目的は、一方的に健康経営の課題やその解決についての知識を押し付けることではなく、経営者自身に気づきを与えて実際の行動へと導くことです。私達も心当たりがあるように、人はみずから納得して初めて本当の意味で「行動」しますので、説得として外部から与えられるのではなく、自分の中にある答えに気づき納得していただくことが大切です。経営者の方に健康経営の構造の本質

          健康経営ヒアリング〈前編〉

          健康経営エキスパートアドバイザー

          健康経営エキスパートアドバイザーとは 健康経営に取り組む中小企業に対して、課題抽出・改善提案・計画策定等の実践支援を担う専門家を指します。経済産業省から委託を受けた東京商工会議所が構築した「健康経営アドバイザー制度」で認定を受けた人材で、健康経営アドバイザーが健康経営の普及を担うのに対し、健康経営エキスパートアドバイザーは企業の健康経営の実践を支援する役割が期待されています。健康経営エキスパートアドバイザー研修の応募には、健康経営アドバイザー認定者かつ、医師や労働衛生コンサ

          健康経営エキスパートアドバイザー

          業種・職種別の健康課題と対策

          仕事の特徴を意識した対策 産業医として毎年多くの社員の方々の定期健康診断結果を拝見させていただいていると「同じ企業内だから」、「同じ業種だから」といって健康課題がすべて同じではないことに気づきます。例えばIT企業のように屋内でパソコンに向き合って勤務するケースと建設業のように屋外で勤務するケースを比較してもわかるように、職場環境や業務内容によって生活習慣や身体に及ぼす影響が違ってきます。健康経営では健康課題を把握して対策を行いますが、仕事の特徴を意識することで効果的に健康課

          業種・職種別の健康課題と対策