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【56】切り口・構成が秀逸な哲学入門書『武器になる哲学』山口周

「哲学というジャンルと仲良くなりたいがうまくいかない」

読書は、物事を体系的に理解するのに適した手段だと信じていますが、こと哲学については繰り返し返り討ちに合ってきました

そんな連戦連敗の流れが少し変わったように感じたので本書について記録します

著者の山口周さんは、外資系コンサル会社などを経験し、「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」」「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式」など多数の著書があります

新しい着眼点を明瞭なロジックで書かれていて、読みやすく理解しやすかったので、すっかり「著者買い」するファンです


そんな著者が「ビジネスマンが使える哲学」をテーマにしたのが本書です

多くある哲学入門書との違いについて次のように書かれています

① 目次に時間軸を用いていない                    ② 個人的な有用性に基づいている                   ③ 哲学以外の領域もカバーしている

この着眼点が本書の肝だと感じました。多くの哲学入門では、教科書的に時系列に沿って(役に立つかは別にして)著名な哲学者を並べているものが多くあります

見たことがある哲学者の名前や有名なフレーズに触れることはできても、教科書の域を脱することは難しく、内容を暗記できるか、できないかという理解レベルに留まってしまいがちです

その点本書では、これらの特徴を取り払われており、良い意味で著者の偏り(個人的に役に立ってきたか、否か)が構成に反映されているため、格段に読みやすいです

これらの考え方に基づいて、以下の4つのカテゴリーにて哲学の入り口を紹介しています

①「人」に関するキーコンセプト                  「なぜ、この人はこんなことをするのか」を考えるために                           ②「組織」に関するキーコンセプト                 「なぜ、この組織は変われないのか」を考えるために                            ③「社会」に関するキーコンセプト                 「いま、何が起きているのか」を理解するために                              ④「思考」に関するキーコンセプト                  よくある「思考の落とし穴」に落ちないために

「哲学入門」に返り討ちにされてきた方にこそオススメできる内容です

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