2nd season 開幕!
4月上旬に長いような短いようなお酒造りが終わりました。今年はどのお酒も、搾った直後の段階ではなかなか良い味に持っていくことができたと思います。後は良好な熟成を期待して、米づくりでもしながらゆっくり待つことにします。
さて、昨年から始めた自社での米作りは2期目となりました。1期目で経験した失敗や、(1期目は生態系重視でしたが)農業と生態系のバランスを取りながら今年の米作りに取り組んでいこうと思います。そして今年は試作でしたが、来年は皆さまに自社米で造ったお酒を届ける予定です。
昨年の失敗
1.倒伏
原因は窒素過多と中干し期間が短かったことと考えています。
前者に関しては、規定量より少ない窒素を入れたつもりでしたが、生育中は葉色は濃いめの色で推移し、やや徒長のけっかとなりました。最終的な玄米のタンパク含量も7.9%と高い値になっていました。この米をお酒にした時、綺麗な麹を作っていたのでそれほどアミノ酸は高くなかったのですが、味わいが重めなためか、常温以下の温度では少し呑みづらいものになっていました(その分燗をつけると重さが押し味となって伸びていく点は良かったです)。
窒素過多なら中干しをしっかりして養分吸収を抑えれば良かったのですが、昨年はカエルがある程度成体になってから中干しをしようと考えていたので、稲が幼穂形成期に入っていた都合上、結果的に1週間程度しか中干し出来ませんでした。そのため土壌がそれほど固くならなかったので、穂が大きくなるにつれて稲が地際から倒れていくことになりました。
2.虫害
1期目はとにかくこの子たちが沢山やってきました。虫嫌いな方なら気絶してたかもしれません。農薬は使わないので少々は仕方ないですが、倒伏と併せて収量は20%ほど減りました。対策できそうな原因としては田植え時期と畦管理かなと考えています。
弊社がある地域では概ね5月中旬から下旬にかけて田植えが行われます。一方弊社は苗を購入する都合もあって5月1日に田植えを行いました。そのため他の田んぼよりも早く穂が出てきました。したがって穂ができる香りに誘因されるカメムシたちにとって自社の田んぼが格好の餌場となりました。
また田んぼの中継点となる畦ですが、昨年はやや粗放的に管理していました。理由は生き物が隠れ家として利用しているからというのと、カメムシ対策としてイネ科雑草だけ駆除しておけば何とかなると思っていたことです。しかし予想以上に雑草の生育は早く、気が付いたらあちらこちらにヒエというイネ科雑草が出穂していました。管理不十分でした。
今年の対策
1.苗づくり
遅い時期に田植えをしたいということに加え、どうせなら完全有機栽培をしようということで今年から苗づくりにチャレンジしています。床土に無肥料の土と鶏糞、珪酸資材を入れました。種籾は一箱90gの薄まきにしました。現在弊社屋上にて露路プール育苗という手法で成長中です。順調にいけば5月下旬に田植えをする予定です。
育苗なかなか難しいです。ムラが気になる。
2.早めの入水
こちらは昨年から引き続きですが、有機栽培ということで肥料の分解に時間がかかるということと、水辺を利用する生き物のために早い時期(今年は4/7)に入水しました。5/13現在では既にオタマジャクシも少し大きくなり、相変わらずウジャウジャと泳いでいます。
この早めの入水と遅めの田植えによって、カエルが成体になるまでの時間を確保しつつ、昨年よりも1週間ほど長く中干しを行おうと思います。
3.畦管理
結構悩んでいるのですが、今年もやっぱり畦は粗放寄りに管理しようと思います。理由はやはり生き物のためというのと、イネ科以外の背の低い雑草を繁茂させて背の高い雑草の発生を抑制できないかという試みをしたいと思っているからです。そのため草刈りは地面から10cm程度のところで行い、また背の高くなる雑草は地際で刈ろうと思います。
昨年からこっそりやっていましたが、今年少し成果が出てきているように見えます。
私感ですが、この2つの雑草の生息範囲が少し広くなったように思います。これらは草丈15cm程度にしかならず、花や種子を刈らないで置いておけば繁殖することが可能です。理想論ですが、このような植物だけ繁茂する畦にすることで、畦の景観を守りつつ草刈りの手間も省力化できる一石二鳥な手法じゃないかと思っています。ヘビイチゴ畑になったらそれはそれで面白い。
終わりに
今年も沢山の生き物と共にお米が育っていくのを見守っていきます。皆さまにお酒を届けることができるその日までどうぞよろしくお願いします。
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