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帰り道

 高校からの車中、父との間に会話はない。山に落ちる太陽が空を色づけ、雲にかかるグラデーションは昼から夜へ向かっている。赤から藍に変わる色合いを見ているうちに、張り詰めた心は解放されていく。昼間の出来事を振り返って思い出にした後、少し先のことを考え始める。周りから切り離された四角い静かな空間で、自分の言葉だけが頭の中に響いている。今日の夜は何をしようか。徐々に暗くなる世界の中でぼんやりと空を見上げながら、くだらない予定を立てる。次は体から離れて現実を遠くから見つめながら、平凡な暮らしが本当の幸せなのではないか、などと考える。呆けているうちに美しい景色はなくなり、夜が訪れた。しばらくして家に到着した。父に感謝の言葉を告げ、車を降りようとしたとき、父が言った。
「宿題やれよ。」
現実に連れ戻された僕は何も言わずにドアを乱暴に閉め、裏口に向かった。ドアを開ける。
「ただいま。」
日常がまた始まる。


noteに初めて投稿しました。これからどんどん投稿していきたいと思います!

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