"Desirable Body" Hubert Haddad , translated by Alyson Waters(Yale)

『すてきなからだ』 ユベール・アダッド
(仏語からの翻訳:アリソン・ウォーターズ)(イエール出版)

「問題を抱えた奇蹟の男」が主人公であるこのユーモラスな小説は、メアリー・シェリー(訳注:『フランケンシュタイン』の作者)の怪物を、現代のバイオテクノロジーの驚異を用いてアップデートしている。
 製薬会社の大物の息子であるセドリックは、ボート事故で四肢麻痺の状態になってしまう。セドリックの父親は名声に飢えたカダヴェーロ博士に金を払い、セドリックの頭をべつの男の身体に移植させる。
 生まれ変わったセドリックは自我の疑問に悩まされる――「もし身体と魂が同じ実体であるなら、彼の何が残るのだろうか?」――そして彼は、自分の身体の身元を特定するための探求に乗り出す。やがて、事態は製薬業界とシチリアン・マフィアの衝突へと発展する。
 諷刺たっぷりの誇張を含んではいるが、科学の進歩が人間の不死に対する渇望をどのように悪化させるのか、本質的で心をかき乱す疑問が取り上げられている。

The NewYorker [October 29, 2018]

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