"Scribe" Alyson Hagy(Graywolf)
アリソン・ヘイギー 『したためる』(グレイウルフ社)
このディストピア小説において、世界とは〝暴動の福音書〟だ。
子供たちの間で広まった伝染病と内戦によって、19世紀のアパラチア[訳注:アメリカ合衆国東部]を思わせるとある地域は荒廃してしまっている。暴力によって損なわれた社会ではもはや名ばかりとなった〝物書き〟は、人里離れた農場で暮らしており、その言語能力を活かして、日々の生活必需品を得ている。彼女は懺悔を必要とする者のために、〝その人の苦痛を書き出し、それきり胸の痛みを軽くすること〟ができるのだ。
見知らぬ男が現れ、彼女はその要求に応えようとする。だが、大惨事を引き起こしてしまう。物書きは自らの犯した過ちに立ち向かう。
華やかだが切り詰めた文体、順番に語られる散文の中で、ヘイギーは、筆舌に尽くしがたい暴力によって壊れた社会で、個人が贖罪できるわずかな可能性を探る。
The NewYorker [November 26, 2018]
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