トライアウト
この記事は、いよいよトライアウトについて書きたいと思います。
8月24日にカナダに渡り、約2週間の自主隔離を経て、私はオンタリオ州に向かいました。
私がトライアウトを受けた大学は
Nipissing University Lakers という Nipissing University のチームです。このチームはオンタリオ州にあり、トロントから車で4時間、オタワからは2時間のところにある小さな街です。しかし小さな街でも、OHL(メジャージュニア:NHLのひとつ下にあたるリーグの1つ)のチームが拠点とするホッケータウンです。
トライアウト期間は9月7日〜9月17日までの10日間でした。これから時系列を追って書きたいと思います。
9月7日
トライアウト1日目。
トライアウトにきた選手は私を含めプレイヤー5人、キーパー1人。
この日の練習はキャプテンを中心に練習をマネージメントする練習で、ゲームがメインの練習でした。私は緊張で足と手の震えが練習中ずっと止まりませんでした。泣 しかし、練習をこなしていくうちに自分の強みでもあるスケートとハードなプレーが通用する場面が所々あり、「ここで出来る。負けてない。」とトライアウト1日目で実感することが出来ました。
練習後、コーチからは ”Good skate” と評価をもらって1日目が終わりました。
練習中のふとした時には、選手が気さくに話しかけてくれて、名前を教えてくれるところから始まり、なんのメジャー(専攻)をとっているのかなど、みんないい人達そうだなあ。と感じました。
9月8日〜9日
トライアウト2、3日目。
この日もキャプテンを中心に練習が進み、コーチ陣は観客席から練習の様子を観察。
この日も自分の強みを継続しつつ、基本的なプレーの質をあげること、シュートの質にこだわること、バトル(1vs1、2vs2、3vs3)でのポジショニングを意識してプレーしました。
カナダでトップレベルのホッケーだけあって、スピード、パススキル、ゲームの作り方、みんな本当に上手い!そのなかでプレーするのが凄く楽しいと実感しました。
9月10日
トライアウト4日目。
この日のオンアイス練習は紅白戦、オフアイスではフィトネステスト(柔軟性)を行いました。
紅白戦でも意識することは変わらずに行いました。結果、3-1で勝利しG1 A1 で紅白戦を終えました。初めて一緒にプレーする選手と組むときには、シンプルに仲間のスピードを殺さないプレーや、パスを出す選手に対していいポジショニングを取ること、攻守の切り替えの速さ、シュートチャンスがあれば迷わずチャレンジする、本当に基本的なことだけどこれらを重要視してプレーしていました。
9月11日
トライアウト5日目。
今日は練習はありませんでしたが、オフアイスでのフィトネステスト(ジャンプ系とショートスプリント)がありました。
9月12日
トライアウト6日目。
オフアイスでのフィットネステスト(40mスプリント、yo-yo test:間欠性回復力テスト)
7月のスケーティング合宿にて、"速く走れる走り方" をストレングスコーチである石賀コーチにコーチングしていただいた成果もあり、自分でも驚くほど40mスプリントを速く走れました。笑(ありがとうございます。石賀コーチ!)
yo-yo test というのは、私は初めて行いました。サッカーのクラブや日本代表の合宿で器用されているテストで、全身の持久力を評価するテストです。
9月13日
トライアウト7日目。
今日のオンアイスではヘッドコーチによるメニューを行いました。トライアウトとは私のようなチームへの加入を目指している選手に対しての期間ではありますが、既にチームに所属してる選手もまた、オフシーズンにどのようなトレーニングやシーズンに向けた準備をしていたかを見られるため、特にトライアウト期間のアイスタイムではそれぞれが緊張感を持って練習を行っていました。
9月14日
トライアウト8日目。
この日のオンアイスの練習ではゲームやブレイクアウトの練習をメインに行いました。トライアウト期間中は1日目のように足が震えるほどではないですが、どうしてもプレッシャーと不安があっていつもドキドキしていました。そのせいもあってか、このたった約2週間で体重が3キロも減るという事態に。(早速プロテイン購入。)
トライアウトではゲームやバトル(5vs5から1vs1、2vs1)を多く行います。そこで私がより意識して行ったのは、コミュニケーションをとにかくとることです。ネイティブのように英語が100%流暢じゃなくても、氷上では関係なくて、自分から見た周りの状況を速く伝え、共有して、より良いオプションでプレーできるように、ラインメイトととりあえず沢山コミュニケーションを取るようにしていました。
9月15日
トライアウト9日目。
いつも通り、防具を取りにチームのロッカールームに行くと私の防具バックの中身がほぼありませんでした。”誰かに取られた!!”と思って探していると、ヘッドコーチから「ようこそ、私たちの家族へ」「welcome to our family」と言われ、
トライアウトに合格した!!
と確信しました。
この時は、本当に嬉しくて泣きました。
そして、私の防具たちは既に私のロッカーに収容されていました。
3年間、待ちに待ったこの時
心の底から嬉しくて
諦めず行動し続ければ、いつか実は結ぶ。と本当に実体験できました。
私に関わって、指導して、困った時は助けて、諦めそうになった時は背中を押してくれて、話を聞いてくれた、全ての人に感謝の気持ちで...
叫びました。(カナダ東部の空に)
ホッケーに限らず、多方面からこの3年間で人として成長させてくれ、一つの夢を掴むことができたこと、苦しい時の方が圧倒的に多いけど、誰でも経験できることじゃない、この挑戦ができていることに幸せだと感じます。
さて、トライアウト後も9月中はオフアイスでのフィットネステスト(ベンチプレス、スクワット、フルクリーン、懸垂、シャトルラン)やオンアイステストなどがありました。
更に11月のレギュラーシーズンに向けて、コンカッション(脳震盪)のベースラインテストやフィジカルテスト、ドーピングテストなどがありました。
フィットネステストはシーズン前を含め、3〜4回ほど設定されていて、ヘットコーチが決めたベースラインをクリアすることが目標とされています。チームのそれぞれのフィットネスのレベルも高く、みんなからの鼓舞のおかげで私もほとんどの種目で自己ベストを出すことが出来ました。
10月は11月5日から始まるレギュラーシーズンに向けての最終準備期間になります。そのため、10月23日を皮切りに4つのエキシビションゲームが現在予定されています。
新型コロナウイルスの影響により、私は1年間公式戦がなかったため、どんな試合になるかと、ドキドキとワクワクでとても楽しみです。
これからは、大学ホッケーでの Student Athlete として、勉強とホッケーの両立を頑張り、ホッケー選手としては勿論、人としても更に成長し、関わってくれた方々にいつか恩返しができればと思います。
いま、一つの目標を達成したとともに、次の目標へスタートしているので、謙虚に貪欲に、一時一時を大切に努力していきたいと思います。
最後に、この素晴らしいチャンスと経験をくれたチームとコーチ陣にも感謝です。これからは、このチームのためにできることを一つ一つ確実に積み上げていきたいです。
今まで、応援してくれた方々有り難うございました。
これからも引き続きよろしくお願いします。
藤森 晶
Nipissing Lakers のホームリンクとなる North Bay Memorial Gardens Arena
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