編集の仕事と仲間
今年の1月から約半年間、宣伝会議の「編集・ライター養成講座」に通った。表参道で毎週末、刺激的な講義を受けて修了時はへとへとになっていた7月の終わり。慌ただしい期間を終えて、夏休みに日光へ行った時のこと。車中でぼんやりとこの半年を振り返っていたら、ふと忘れていた記憶がよみがえった。
いまから20年以上前(昔のこと過ぎて恥ずかしい…)、大学生の私は就職予備校に通っていた。
当時は将来を深く考えず学生生活を送っていた。大学3年生になり、周りが進路を見据え行動していると知ったとき、急に焦り出したのを今でも覚えている。
「長く興味を持てる仕事は何か」「どんな環境で働きたいのか」を懸命に考えた末、本が好きだった私は出版社に興味を持った。「編集」という仕事を初めて知ったのもその頃だったと思う。ただ、調べても「編集」が何かはっきりしない。でもなんとなく気になる。そこで、出版社に内定していた先輩が学んだ就職予備校を紹介してもらい、通い始めた。
出版社や新聞社などマスコミは採用試験が特殊で、予備校では業界研究や筆記試験、面接の傾向と対策を学生に教えていた。
高田馬場にあるその予備校に通ううちに同じ業界を目指す知り合いができた。お気に入りの女性誌の分析を毎月欠かさない学生、文芸からスポーツまで幅広く学び今すぐにでも働けそうな学生など、さまざまな受講生がいた。彼らとは講義以外も時間を共にした。あるときは現役編集者を訪ねて一緒にOB訪問をした。大宅壮一文庫で気になる雑誌を閲覧して編集者気分を味わったこともある。仲間と一緒に採用試験や面接に備えながら業界を知るにつれて、私の中で編集の仕事が明確になり、「なんとなく気になる」から「やってみたい仕事」に変わった。
実際は選考倍率が高い出版社への就職はとても難しく、現実は厳しいものだった。予備校で知り合った仲間も苦戦していたし、私も不採用ばかり。ようやく、ある出版社から内定をもらい、アルバイトとして働き始めた。
あれから20年が経過したいま、私は編集の仕事を続けている。
編集の仕事を通して、形のないところから本を作り上げるおもしろさを知った。たくさんの魅力的な人に囲まれて働いた。飽きることなく目の前の仕事をひたすらこなしてきた。でもまだ何かが足りないと思い、宣伝会議の講座を今年受講した。
学生時代の体験が記憶のどこかにあったのかもしれない。真剣に取り組む誰かの存在が自分のエネルギーになることを私は知っていた。この半年を振り返って、今回の受講でもそれを確信した。
仲間、仲間と頻繁に口に出すのもなんだか恥ずかしいので、正直あまり強調したくない。ただ、同じ時間を丁寧に真剣に過ごした人はやっぱり大切で、それが「仲間」なのだと思う。今回も一緒に受講した仲間から多くのことを学び、支えられた。私はラッキーだ。
ここで学んだ経験と新たな出会いを糧にして、まだまだ成長していきたい。
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