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【人材定着の土台作り】その2 残業と休日編

今回の記事では、【人材定着の土台作り】その2 残業と休日 について述べてみたいと思います。今回の内容は、従業員数が、10名から100名程度、オーナー企業で、どちらかと言うと、労働集約型なザービスを提供している会社に参考にしてもらえそうな内容です。
大手企業や、上場を目指している、あるいは既に上場している会社ですと、残業と休日については、かなり社内体制が出来上がっていると思いますので、それほど参考になる内容ではないと思います。もちろん、大手企業にお勤めの方でも、ご興味のある方には、是非、ご一読いただければと思います。

人材定着の全体図

今回も最初に全体図を以下に示しておきます。私の持論ですが、人材定着については、個別の施策だけでは効果は短期的かつ限定的であり、以下の施策を総合的に、そして有機的に実践していくことで、確実に効果が出て、長期的に自社にとって優秀な人材が定着できると思います。ですから、今、どこの部分の話をしているのか?まずはご理解いただいてから、個別のお話を進めていくことが重要と考えているので、毎度おなじみの図を記載しておきます。

9つの内容について、まだ全体の解説をお読みになっていない方は、お時間あるときにでも、人材定着について思うところ を読んでみてください。

では、本日は、①②③の土台部分の ②残業と休日について 考えるべき8つのポイントを紹介していきたいと思います。今回も図解しています。
前回の記事と同様、左真中(労働法)から、時計回りに見ていきます。

 1.労働法

最低限、経営トップは、労働法については知っておいて欲しいと思います。人事担当の方には、お詳しい方が多いですが、経営トップの方で、実は、労働法について詳しくない方もいます。最近では、報道の通り、働き方改革ということで、労働法も改正されています。
労働基準法に違反してしまうと雇用者には罰則が科されます。大手企業だけではなく、中小企業でも、2020年4月までに「時間外労働の上限規定」、
2023年4月までには「時間外労働の割増賃金の変更」に対応しなければなりません。

 1-1.  時間外労働に上限の設定

一般的に「1日8時間、1週間40時間」を超過する時間外労働について、企業が「36協定」と呼ばれる協定を従業員との間で結んでいれば、従業員に時間外労働をさせることが可能になります。時間外労働については、特別な理由がある場合には「月100時間未満、年720時間以内かつ2〜6ヶ月平均80時間」を超えない範囲で時間外労働をさせることも可能になっています。
しかし、長時間労働の抑制を目的として、この特例を適用したとしても、月45時間を越えることができるのは、原則として年6回までとなっています。

このルールを破った場合、雇用者には「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」といった罰則が科されますが、これまでは、その罰則の対象が、大企業のみでした。しかし、2020年4月から中小企業も対象になっています。

 1-2.  有給休暇の取得義務

ある程度認知されていると思いますが、法改正により、年5日以上の年次有給休暇(年休)を取得させることが義務になりました。これは、年休を10日以上付与されている従業員が対象です。この年5日以上の年次有給休暇を与えなかった場合、雇用者には罰則として「30万円以下の罰金」が科されます。この罰則についても、中小企業に対して2020年4月から対象として施行されています。

 1-3. 時間外労働の割増賃金の変更

これまで休日や深夜に限定されていた割増残業代が、中小企業においても、2023年の4月以降に義務化されます。具体的には、月60時間以上の時間外労働を従業員におこなわせた場合の割増賃金が変更されます。現在、60時間を超えた残業時間には50%の割増賃金を支払う義務が既に発生していますが、中小企業には猶予期間が設定されています。しかし、2023年の4月をもってこの中小企業に対する猶予措置が終了し、完全に義務化されます。

私もですが、こうした細かい法改正については、ついつい、見落としがちですので、こうしたことを経営者も気にしておきながら、社内の制度やルールの改定を進めておくべです。

 2.沢山仕事をしたい人

中には、沢山仕事をしたい従業員もいます。お若い方に多くみられる傾向があり、また社内で優秀と評価されている方の中からも、もっと沢山の仕事がしたいと希望されるケースもあります。私もそのうちの一人ですが、人の倍の時間働けば、単純に考えれば、成果も倍になるので、成果を上げたい為に(仕事好きという事も含めて)、比較的、長い時間働くことを希望してくる人材もいます。決してダラダラということではなく、周囲よりも量をこなしたいという人です。経営者から見ると、こうした人は、仕事への意識も高いので、どんどん仕事を任せたくなってしまいます。でも、これもマズイと思います。
中小企業は人材不足なので、ついつい、こうした意識高い人材に仕事を頼みがちですが、経営者や人事担当者は、心を鬼にして、単位時間あたりの生産性を高めていくことを[優秀]と定義とし、決められた時間内での成果のみを評価していくことをお勧めします。
その上で、意識の高い人材には、量からの成果ではなく、仕事のクオリティと生産性を高めてもらうべく、インプットの時間をアドバイスしてあげてください。

上記は、人材エージェントとしての経験から、私が勝手に作ったハイキャリア人材を評価するときに活用している<ものさし>です。

実は、ハイキャリア人材に最も多いのが、業界特有の知識や経験を有している方ですが、それだけが高い人材の場合、業界全体が成長している時には、人材市場においても優秀と評価されますが、そうでない場合には、なかなか外部評価は厳しいものがあります。仕事量で高められる部分での評価には限界があるということをお伝えしたいという意味です。

他方、職種能力や多彩な人脈という点でも優秀な方は、本当の意味で優秀人材です。つまりは、こうした、普遍的なスキルを身につけてもらうためのインプットの時間に当ててもらうことを、経営者からもアドバイスしてもらうと良いと思います。一見すると、転職スキルを高めるように感じてしまうかもしれませんが、そうではなく、こうしたアドバイスは、会社への定着にも効果的です。自社の仕事を、体力勝負で量から成果を上げていると、先が不安になるよと伝え、ぜひ個人の時間を有効にインプットに使ってもらうことで、経営者にとっても優秀な人材を更に価値ある人材に育成することができると思います。

 3.仕事量の可視化

残業削減のためには、できるだけ、従業員の仕事量を可視化する必要があります。そもそも担当している仕事量が多いのに、No残業デーとか言われても困るという経験は、誰にでもあるかもしれません。そこで、各自の仕事量の可視化のアイデアとして、日報をお勧めします。
日報とは通常、1日の業務の終りに提出するものですが、それを、朝(業務開始前)に、本日の業務予定(午前中にやること、午後にやること)という業務予定を出してもらいます。そして、1日の終了定時(残業前)に、予定していた業務が完了したか?していないか?していない場合はその理由までを書いて提示してもらいます。すると、そもそも、予定している担当業務量が多いのか、仕事が遅いのか?がわかります。半日単位から、1時間単位とかに刻みを細かくしていきますと、もっと業務量が明確になります。

 4.時短支援

会社内で、どんどん業務効率(言い方を変えると、仕事量は変えずに楽をする方法)を共有していくことをお勧めします。私には、定着支援の仕事の他に、人材エージェントとしての仕事もあります。候補者との面接や、企業様への面接後のフォロー、面接の日程調整などを毎日行っていますが、これらは全て、テンプレート化されたメール文書を使っています。メール1通送信するにしても、文章を考える時間が短縮されるので、作業時間の短縮にはとっても効果的です。
こうした文章テンプレートや、提案資料のフォーマットなどは、会社内で共有できる環境をつくっておくとと良いです。ちなみに、メールは夕方にまとめて返信しましょう!などは、私の仕事のスタイルには合わなかったので、人によって、作業時間の短縮方法にも好き嫌いがあることも理解されておくと良いです。

 5.有給休暇

1.労働法のパートでもお伝えしましたが、法律で定められた取得義務があるので、従業員にはどんどん、有給休暇は、取得してもらいましょう。私もたまに休暇理由を聞いてしまうこともありましたが、これも止めたほうが良いです。
理由の如何に関わらず取得できるのが有給休暇なので、余程、仕事が忙しく、周囲の従業員に迷惑が及ぶ等でも無い限り、理由も聞かずに休ませてあげることが大切です。従業員からすると、いちいち理由を聞かれるので、申請したくない、休み辛いということは、現実にあります。

 6.面白休暇

誕生日休暇とか、勤続記念とか、各社によって様々なお休みが設定されていますが、これも適度に制度化しておくことをお勧めします。これを前述の有給休暇にカウントしようとすると、従業員との間でトラブルにもなりますので、ここは太っ腹なところを魅せて、年に1日か2日程度は、会社から強制的に休ませる制度があっても良いと思います。結果として、休む癖がついてくれたら良いので、休み辛い職場の雰囲気などを壊すためにも、会社から休日を作っておくことも一計です。

 7.無駄会議

どうやら、日本人は会議好きのようです。海外と比較しても会議時間が長いというデータもあるくらいです。責任の所在を分散するためにも、旧来は会議は合議の場として必要だったと思います。
しかし、リモートワーク、オンライン会議等が行われている今日、会議のやり方そのものにも変化が必要です。いい意味で、オンライン会議は、じっくりアイデアを出す会議には不向きなので、これからは、

・アイデアを出す会議
・情報を共有する会議
・時間内に決断する会議

と会議の種類や目的を分けて、あえてオンラインツールなども活用すると良いかもしれません。何も対面でじっくり話さなくても良いこともありそうだと皆様も感じているのではないでしょうか?

 8・凡事徹底

残業削減や有給奨励は、一日して成らずということをお伝えしたいと思います。ここまで記載してきた内容は、どれも大切なことと感じていただいたと思うのですが、これを実行するのが、実は大変難しいのです。日々の業務に追われる中では、どうしても後回しになりがちな分野とも言えます。
3.仕事量の可視化でお伝えした、朝の日報なんて、絶対に面倒くさくて、3日も続けば良いほうです。でも、そこを乗り越えないと、実現はしません。ついつい、お大声で、『今日はノー残業デーだから、早く帰りましょうー!』などと誰も聞いていない、忙しく働く従業員の背中に向かって話しかけている状態から、何も変わりません。
全てを同時に取り組む必要はありませんが、とても重要なことなので、小さなことから、コツコツとじっくり取り組んでいただくお気持ちを持ってもらいたいと思います。
外部コンサルの起用は、こうした改革への並走パートナーとして有効という側面もあります(営業っぽくてすみません)

まとめ

ブラック企業という単語が生まれてから、久しいですが、意図はなくても人材不足が故に、ブラック企業になってしまっているケースもあります。活躍していた人材に退職される → 人材不足になる → 従業員の残業が増える というお話は良く聞く話です。60時間を超えた残業時間には50%の割増賃金を支払う義務が発生することは先にお伝えした通りです。従業員一人が辞められて、残った従業員に割増賃金が発生すると、総人件費を押し上げる結果にもなりかねません。
これからは、全員定時(残業なし)が最も人件費効率が良いということを目指して、小さい改革を進めてほしいと思います。
結果として、優秀な人材の定着にも繋がり、採用コストも削減できること間違いありません!







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