VECDについての基本知識

皆様、ごきげんよう。
ゼネコンで建築営業をやっておりますアキです。
最近は忙しくなかなかnoteの執筆に時間を割けませんでしたが、時間ができたので少し実務についての話をしてみようと思います。

てことで、本題に入る前に最近の私の話を少しだけさせて下さい。
近接工事って皆様ご存知でしょうか?線路近くにて行う工事の事なのですがこれがまぁ大変なのですよね。
どうやって工事を行うのか、工期的にも技術的にも様々な関係各所との打合せも、、、
何とか乗り越えられたので大きな財産となりそうです。

私の話はこの辺にしておきましょうか。
この記事を読んで少しでも、知識を身に付けて業務に生かせる方々が増えれば幸いです。
さてそれでは行きましょうか!

VECDって何?

皆さんの中でVECDってあまり聞きなれない言葉なのではないでしょうか。多分知っているよって方は、デベロッパーや普段から建築に関わる仕事をしている方だと思います。なかなか聞く機会ってないですからね。

VECDとは、詳しく説明するとVE・CDと別の意味なんですね。併せてVECDと業務的には呼ばれているものです。また、VECDについてはゼネコン側から提案資料として提出するケースが多いですかね。見積もり段階でVECDの提案をデベロッパー側から求められるケースも最近は多くなっているように感じます。
一先ず、簡単にVECDの意味を記載するので概要を捉えて下さい。

VE(Value Engineering/バリューエンジニアリング)=性能や価値を下げずにコストを抑えることを指す用語となります。また、過剰に採用されているものの仕様や性能を下げることで、その下がった金額で他のグレードを上げることで建物全体としての価値を上昇させるという意味もあります。

CD(Cost Down\コストダウン)=その名の通り、コストを下げために行うものです。VEとは違い、仕様や性能が低下しても良いという前提の下で変更を行います。

どちらも違った意味だということに注意が必要です。建築営業として日々業務を行う中でどっちの意味も同じような意味だと勘違いしている方も多いのでしっかりと理解をした上でデベロッパーの方ならゼネコンと交渉をして下さい。理解しているだけでも、提案等を受けた時の考えられる幅が広がるはずです。

何のためにVECDってあるの?

そもそも何のためにVECDを提案をするのか、受けるのかについてを話をしておく必要がありますね。
VECDとは、率直に言ってしまえば金額を下げる提案です。(※建築費)
特に昨今は建築費の高騰もあり、VECD提案は非常に重要な役割となっています。必ずと言っても良い程、発注者よりVECD提案を求められます。建築費を抑えて着工できるに越したことはありません。
なので、建築費を下げるために行うものだということを頭に入れて次の項目に行きましょう。

また、補足ですがこのVECD提案にめっぽう強いのは長谷工さんになります。圧倒的でありながら素晴らしい企画力があります。
これは各ゼネコン見習っていかなければいけない課題です。

VE・CDって分けないの?

デベロッパーの方はわかると思いますが、VE・CDを分けた資料で提案することは基本的にありません。一纏めのVECD一覧表なるものを作成し、ゼネコン側から提出します。
何故分けないのかについてですが、金額を下げるための提案なので分ける必要がありません。逆に一纏めの資料として、最終的にどのくらいの金額が下げられるかわかりやすくするためでもあります。
ただし、ここだけの話でCDというと印象はあまりよくない為VE1・VE2のような形で提案されている場合もあるので、理解した上で各項目を見て欲しいと思います。(VEの項目でもCDのような変更の時もあります)

VECDの提案内容

どのようなものを実際に提案内容としているのか例を示しながら説明を行いたいと思います。
まず、提案資料の中に記載される内容として一般的なものを記します。
・変更前の内容(例:某指定メーカーUB)→変更後の内容(例:自社発注のUB)(杭の本数35本)→(杭の本数30本)(専有部玄関オレフィンシート)→(PB巻込み)
・変更後の金額(△いくらになるのか)
・採用、不採用かの項目(ゼネコンと発注者、設計者で協議しながら決めるのが一般的です。)
・備考欄(詳細を記載する必要があればここに記載)
・VECDすべて採用した場合の合計金額
・実際に採用された場合の金額
以上が実際に提案資料の内容として盛り込まれる中身となる。

ちょっとワンポイントでアドバイスをするなら、自分が住んでいる賃貸でも分譲でも内装やエントランス等でVECDっぽい名残を見つけることが出来ます。
例えば、吊り戸棚が1段だけだったりすると本来2段のところを1段にして住戸数減額にしたのかな?等が見えてきます。
これってVECD提案をする側も受ける側も能力アップに繋がるのでおすすめですよ。

予断を挟んだところで重要な話をしますね。
提案内容として重要なことは実際に金額としていくら下げることができるのかとなります。
ゼネコンとして優秀な企業な場合、VECDの提案がかなり上手いです。根本の構造から提案等できると金額も大幅に下げられるケースも多々あります。
しかし、その構造で成り立つのかどうかはまた別の話となるので金額だけではなく、その他のリスクについても提案を受ける側は注意深く考えて欲しいです。

VECDって実務どのように使われているの?

実務では、嫌という程VECDという単語には触れることになります。特にゼネコンやデベロッパー勤務の方は理解できている、いないでは大きな差となるのでしっかりと理解をして下さい。提案する側も提案を受ける側も必ず差が付きます。

実務での流れとしては、見積もり段階でVECD提案を受け、契約に向けてできるだけ金額を下げる。その後、契約。着工後も現場の金額増減としてVECDは継続して提案や発注者等の助言を受けながら採用不採用を記録し、現時点でどのくらいの金額が増減しているのか纏めることになります。(※これを増減管理表と呼んだりもします)(また、VECDの他に工事内容によって増となる金額もここには含みます)
竣工までずっとついてくる知識になるのですよ。なのでしっかりと理解をして下さいね。このnoteを読んだ皆様は、VECDの意味がしっかりと答えられるようにして下さい。

最後に

この記事を書こうと思ったきっかけが先日ありました。
ある日、デベロッパーの方と打合せをする機会がありその場に新人の方も同席していました。デベロッパー側の上司の方が部下へ「VECDってわかるか?」と聞いたところ「VECDってどちらも同じような意味ですよね。わかってます。」と答えている所を拝見し絶対わかってないなと感じたことがきっかけでした。
このnoteをきっかけに少しだけでも知識をつけて貰えれば幸いです。
就活生もこの話ができれば少しは他と差がつけられるかもしれませんよ!理解しているだけでも知ってるな?となると思いますよ。

では、今回はこの辺で失礼いたします!
ご安全に!

@アキ


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