見出し画像

ゼネコンにおける契約までの流れ知らないでしょ?

【多くの方は知らない】

ゼネコンの建築において契約から竣工までの流れを知っている方は多い。
しかし、契約までどのような流れを経て行きつくのか知っている方は少ないだろう。
不動産業界やゼネコン、工務店勤務の方から当たり前のことを書くなとお𠮟りを受けそうだが、しばし私の戯言に付き合っていただけると幸いである。

・基本的な流れ

まず初めに、基本的な流れを説明しておきたい。
ゼネコンにおいて契約締結までの流れとして、三つの段階を踏む。
1,概算見積(概略設計・基本プラン)
2,精概算見積(基本設計)
3,精算見積(実施設計)
上記の段階を踏んで、工事請負契約を締結することになる。
※()内は設計図の名称であり今回は深くは触れない。
尚、段階を踏むにつれて見積の精度は上がっていく。
※設計図書の精度も上がっていく。

尚、基本的な注意点として別途工事の欄や見積条件をしっかりと確認することをお願いしたい。ここで互いのすれ違いに繋がってしまうことも有ることから目を通した上で、わからない事や疑問点は担当者への質問を行っていただきたい。(※見積提出時にこの欄を説明しないのは論外です。)

上記の説明を踏まえた上でそれぞれ解説を行っていきたい。

・概算見積について

概算見積の役割としては、発注者様の事業予算の検討に使用する見積である。一言で言ってしまえば、「予算感を掴む見積」と言える。
その為、設計図の概略設計・基本プランも簡易的な物であり、デベロッパーさんの場合は、土地を購入する前段階で大雑把ではあるが建築費を把握する作業に使用する事が多いのではないだろうか。

この概算見積の段階で、ゼネコンから大体の工程表の提出をすることから発注者様としては着工及び竣工の期間から販売、賃貸の開始時期の算段に入ることができる。

注意していただきたいことは、概算見積の役目は初めにお伝えの通りで「予算感を掴む見積」である。
この段階で、精度が完璧な見積金額は出てこないと考えてもらいたい。
ゼネコンから提出する概算見積は、詳細まで記載されることは無く中項目までの場合が殆どだ。

また、現地調査を行わない中で見積を提出している場合も考えられることから、見積を受け取る側の皆様は「警察協議」・「役所調査」を行っているかについて確認することをお勧めしたい。
特に都内では、一方通行や狭隘道路がかなりの確率でネックとなる。
また、電柱や歩道及びバス停など様々な工事の支障となりえる要因が数多く存在する。
概算時に協議を行っていない業者の場合には、最後になって道路が使用できない為等見積金額が増えることも考えられる。
まず、できる限りの調査を行い概算見積を提出してくれる業者の方がしっかりと仕事をしてくれていると考えても良いと私個人は考えている。
その提案をしてこそ、ゼネコンの意義があるのではないだろうか。

数社に対して概算見積の提出をお願いすることが殆どであろう。
ここで、見積金額が安いと良い印象に映りがちではあるが、あまりにも安い場合は、見積に落としがあることも視野に入れたい。
落としがある場合、上記でも説明しているように最後には見積金額が増える場合があるので注意をしていただきたい。

・精概算見積について

概算見積の役割は、「予算感を掴む見積」であったが次のステップである精概算見積とはどのようなものであるのか予想はつくだろうか?

精概算見積とは、基本設計図書の作成も進み概算見積とは異なり、意匠図、構造図、設備図から概算見積よりも「精度の高いより詳細な金額を算出する事となる。」
設計図書の作成も進んでおり、ここまで来ればほとんど完成形に近いと考えてもらって構わない。(※精算見積時には、金額が上下する。)

多くの場合、この精概算見積時に業者選定をする発注者様が多いように感じる。尚、ここで事業予算の確定及び契約金額の確定を行うケースが殆どだ。
それだけ、精度の高い見積が求められているのが「精概算見積」となる。
精概算見積は、各々工事の明細まで金額を算出することになる。

ここで注意をしていただきたいことは、各々提出を行ってきた業者の見積明細まで目を通し、明らかに金額に差が出ている項目がないか確認を行っていただきたい。

理由についてであるが、まず考えられることが見積の落としである。
見積の落としがある場合、結局精算見積時か契約時の最終段階で高く修正をして見積提出を行ってくることが殆どだ。注意深く確認をお願いしたい。

もう一つ考えられることが、利益部分の上乗せである。
勿論、見積明細に自社利益の項目なんて物は作成できないので、各項目や単価の部分で利益分を吹かして提出をしている場合が殆どである。
ゼネコン側も、利益を出さねばならぬので仕方がないがあまりにも他社より高くなっている場合は理由を聞いた方が良い。
安くなる可能性は低いが、本気で請け負いに行く案件であるならば、次ステップであり最後の精算見積時に△利益にして提出をしてくることが考えられる。

以上の事から、明細までしっかりと確認をすることをおすすめする。
では、最後の精算見積についての説明に移ろう。

・精算見積について

ここまで来ればもうラストスパート。
契約前最後のステップである精算見積の説明に入ろう。

ここまで来れば皆さんも大体の予想はつくでしょう。
この精算見積の提出後、「工事請負契約を交わすことになる。」
設計図書も実施設計という必要な資料はすべて完成された図面の用意がされ、それを元に見積を作成することになる。
ゼネコンから提出される精算見積は、各工事の詳細な単価まで数量を出した金額にて提出をするので数社の見積を受ける場合、やはり出し金額よりも各項目にてどこで差ができているのかをしっかりと確認をしていただきたい。

この精算見積にて、施工業者を決定する場合かその前段階で施工業者のみ決定している2パターンが多いように感じる。
稀なケースとして、施工業者が決まっており概算→精概算→精算の段階を踏んで契約まで行く場合もある。
上記の場合は設計施工にて請け負うケースが多い印象だ。(ECI方式などもあるが今回は説明を避けたい。改めてこれは記事にしたいと考えている。)設計を進めながら施工業者と発注者様で相談をしながら一つの作品を作り上げる中で予算や最終金額を決めることができるメリットもある。

注意してほしいことは、精算見積で確定、契約した金額で竣工まで行くことは無いということ。
殆どの場合、工事期間中に価格増減があり最終的に設計変更契約という契約を交わし竣工前に金額を確定させる作業が発生する。
これは、地中障害物撤去工事による増、VECDによる減など、様々な要因が考えられるのでここでは契約金額のまま竣工まで行くということは殆どないということを頭に入れておけば充分であろう。

・契約について

最後に簡単ではあるが、契約の話をしたい。
これまで説明を行ってきた、見積の段階を経て契約を交わすことになる。
どうだろうか、契約まで行きつくのは概算から1年ほど時間はかかるだろうという印象を受ける。
発注者様には納得した形で契約を行ってほしいので、見積のどの段階においても妥協することなく要求は行ってほしい。
何故なら、できるだけ発注者様の要望に応え理想の形、予算で建築を行うことがゼネコンの仕事だからである。
遠慮することなく、金額面、設計面、施工面、工期など要望は出して欲しいと切に願う。

尚、今回説明を省いたが、見積が進むのと同時進行で設計も進んでいく。
概略設計・基本プラン(概算)→基本設計(精概)→実施設計(精算)の流れで進む。
上記の流れを頭に入れておいてもらえると参考にしていただけるのではないだろうか。

さて契約を交わすことになるが標準的な場合は、
民間(七会)連合協定工事請負契約約款にて交わすことになるだろう。
デベロッパーによっては、各々の約款及び契約書がありそちらの書式で交わすことも有る。

しかし、トラブルを避けるために約款はしっかりと注意深く確認をしていただけると良いのではないだろうか。
どれだけ信頼を寄せているゼネコンであろうと、昨今は施工不良の問題が数多く存在していることも事実としてある。
発注者様が損をしない為にも、普段から目を通しておくと良いかもしれない。

・最後に

ここまで読んでいただきありがとうございました。
文章力がなく読みづらい等様々なご意見があることは百も承知です。

昨今は、資材高騰もなどの要因もあり各見積提出時に金額の上下が激しい。
ゼネコン側も努力はしているが、どうしても高止まりしてしまっている印象もある。この価格帯のまま下がらないのではないかとも言われている。
そんな悲しい話題だけではなく、もっと皆様が幸せな未来を創造できる仕事をしていきたいと私個人は考えて取り組んでおります。

個人にて建築を考えている方やデベロッパーでゼネコンと交渉をする方など幅広い方々が私のTwitterから為になる情報を得ていただけると幸いです。
その為に、これからも精進して参ります。何卒、応援を宜しくお願いいたします。

それでは、最後にご安全に!









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?