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3/12(日)社説

 日銀の黒田総裁が、最後の金融政策決定会合を終えた。黒田総裁は2013年に登場し、アベノミクス「三本の矢」の中核を担った。国債を大量購入する異次元の金融緩和政策や、マイナス金利などを導入した。
 その結果、日銀が保有する国債は全体の半分を超え、債券市場の機能を著しく低下させた。昨年は、欧米の中央銀行が利上げに動く中で、日本は頑なに緩和策を維持し、物価高と円安の連鎖に拍車をかけた。更に、国債の利払い費が抑えられたことで国債発行が容易になり、2020年度だけで100兆円を超える国債が発行された。これが異次元の財政悪化を招き、将来世代へのツケを膨らませる要因となった。
 新総裁の植田氏は、黒田氏が行った金融緩和の検証から始めるべきである。そのうえで金融政策の柔軟性を取り戻し、正常化させる出口戦略を慎重に進める必要がある。

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