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成瀬貴良先生ハタ・ヨーガ入門講座録1

1 ヨーガをはじめる前に

ヨーガを楽しく学んでいくために、おおよそとなる目安を簡単にあげておきます。あまり厳密にとらえる必要はありません。楽しく行なうことが、ヨーガを長続きさせるコツなのです。

1−1ヨーガに適した場所

ヨーガは何の施設も道具も必要ありません。どんな場所でもできますし、広さも畳一畳分ほどあれば、ほとんどのポーズや呼吸法を学ぶことができます。
あまり風通しの悪い部屋や寒すぎる部屋では落ち着いてできません。明るすぎるよりも、少し照明を落とした部屋の方が落ち着くかも知れません。板の間やフローリングの部屋では、毛布などを敷いて行なうと良いでしょう。
 今日ではヨーガ・マットのようなヨーガ専門の敷物が売っていますのでそれを利用するのも良いでしょう。ただし、インドでは綿で編んだラグや毛布など、化学繊維よりも自然の素材を使うことが勧められています。
 ポーズによっては、回りに家具やら暖房器具などがあると、バランスを崩したときやコントロールを失ったときに危険なことがありますので注意が必要です。
 時には屋内から出て、太陽の下、大自然の中でヨーガを行なうのもたいへん気持ちの良いものです。インドでもよく庭や屋上などで行なうことがあります。ただし、あまり長時間にわたって太陽の下で行なったり、風の強い中で行なったりすることはかえって身体に良くありません。強い臭いや悪臭のあるような場所、騒音が気になるような所も避けるようにします。

1-2 ヨーガに適した時間
ヨーガはいつ行なっても構いませんが、なるべく決められた時間に行なうと習慣になってきます。これは、これからの長い人生において、ヨーガを自分の生活の中に取り入れるコツでもあります。
毎日、10分から30分でも結構ですが、できれば1時間程度できるようになれば理想的です。
朝は身体が堅くて、アーサナによってはやりづらく感じるものもありますが、朝行なうことによりその日一日をとても気持ちよく過ごすことができます。できるならば、朝行なうことをお奨めします。
インドでは伝統的に、ブラフマ・ムフールタ(ブラフマンの時間=朝4:00~6:00)と呼ばれる神聖な時間帯にヨーガを始めます。
午後や夜は、身体も少し柔らかくなっているので、アーサナも上手にできますが、 食事を摂った後すぐに行なってはいけません。エネルギーは食べたものの消化と吸収に使われなくてはならないからです。それに、お腹の中に食べたものが入っていると、気持ち良くできないばかりか、気分が悪くなることさえあります。ヨーガを行なうのは少なくとも食後二、三時間以上たってからにします。
夜、寝る前に行なうとぐっすりと熟睡できるという人がいる反面、中には反対に眼が冴えてしまいなかなか眠れなくなるという人もいます。
自分の生活の中で一番適した時間帯を選んでください。

1-3 ヨーガに適した服装
どんな服装でも構いません。なるべくゆったりとした楽な服装が良いでしょう。とくに胸や腹部を強く締め付けるような下着や服装は避け、スムーズな動きができるように心がけてください。部屋の中を暖かくして薄着で行なうと良いでしょう。
皮膚呼吸をスムーズにするためにも、人目が気にならなければなるべく薄着や肌を露出したものが良いでしょう。
今日のヨーガ・ブームのためでしょうか、今はヨーガ専門のおしゃれな衣装も売っていますが、伸縮の良い化学素材がほとんどです。できるならば、敷物と同様、身に付けるものも綿や麻などできるだけ自然素材のものが良いでしょう。
衣装の色については、インドではヨーガ修行者は白色や黄色の衣を着ています。また、スヴァーミーと呼ばれる出家者やヨーガ行者は通常サフラン色の衣を着ています。
日本でヨーガを学ぶわたしたちは、衣装の素材や色についてはあまりこだわらなくても良いと思います。どうぞ、常識を働かせて自分の判断でお決めになってください。ボタンやチャックが付いている服も、ポーズによっては邪魔になることがありますので、なるべく飾りのないものが良いでしょう。
指輪やネックレスなどの装飾品もなるべく外しましょう。メガネも不自由を感じない限りはずしましょう。

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