【エッセイ】金八先生と乗り越えた高校受験

ニュースで私立高校入試の映像が流れた。
未曾有のパンデミックで3年間あらゆる我慢を強いられてきた受験生たちの試験開始直前、机に向かっている背中はとてもたくましく大きくみえた。どんなに緊張していたことだろう。彼らにはまだ公立高校の試験が待っている。
受験生、15歳の人生の中ではじめての大きな試練に立ち向かっている…
というような台詞をドラマ「3年B組金八先生第4シリーズ」で聞いた覚えがある。
放送されていた96年は私が小6から中1にあがる頃だった。ドラマの中の中学生たちが少し大人にみえていた。これは以前書いていた「竹野内マジック」に通じるが今回の本題はそこではない。
(とかいいつつ一応貼っておきます)

私にとってオンタイムで彼らと現実を重ねられるシリーズが第4シリーズだった。次のシーズン5は99年だったので過ぎてしまった中3を振り返るにはまだ早すぎて、やはり第4シリーズが私が3年B組の生徒でいられるシリーズだった。
主題歌の「スタートライン」もとても思い入れが深くて前奏から歌い出しの

〽夜明け前の薄暗い道を〜

の、夜明けぇの「よ」がまた低音でいいのだ。
偏差値や学習塾、所謂過熱するお受験戦争もこのシリーズのテーマのひとつでもあった。
やがて己の身にもふりかかる現実を見せつけられているようだった。

これは余談であるが20歳ちょっとくらいだったか、東京で夏の短期シナリオ講座に参加した時、金八先生の原作脚本の小山内美江子先生が最終日の懇親会にいらっしゃったのだ。
私は記者のように先生にくっついて石川県の話や金八先生の話、その他にも色々なお話をさせてもらった。こういう時私はかなり図々しい。

金八先生であなたはどの世代?の話になり、タコ焼き御守りのシリーズですと答えたらば、あのシリーズはね…と、たった今執筆しているかのように細かく解説してくださった。何年経っても色褪せないで作品が先生の中で生きていることにただただ感動したし尊敬した。

都会では幼稚園や小学校からお受験で競争があるのだろうが地方では高校受験が人生ではじめての試験という試練なのだ。なので作中の台詞はとても突き刺さった。今、noteでこんなことを書いてる時も公立入試へ向けて気持ちを切り替えて机に向かっている中学3年生がいるだろう。

何も力にはなれないが良いコンディションで全力を出しきれるようにと祈ることくらいはさせてほしい。
もう少し。あと少し。乗り越えてください。

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