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【エッセイ】あるか?私の延長戦

朝目覚めた時から右のこめかみが痛い。
偏頭痛と呼ぶには軽めなので薬は飲まず様子をみている。
大抵左が痛む方なので、あら、珍しやとそんなことを考えているんだからわけないやと。

そんな微不調な一日のスタートと同時に体は自然とテレビの電源をいれている。
高校野球準々決勝の日。
今年は最後まで見届けると別に決めたわけじゃないけど、結果的にみてしまっている。
生まれてはじめてこんなに高校野球(甲子園)をみている。野球が好きなわけでも詳しいわけでもないのに、この夏の不思議ベストスリーに入る「なんで?」な出来事だ。

あぁ、あと一週間で三十代も終わる。

ここ数日前から夜になると虫の鳴き声が秋だ。

高校野球のカメラに蜻蛉が横切る。

右のこめかみがうずく。

こんなに会期中熱心に高校野球中継をみたことがなかったから知らなかっただけかもしれないが、それすら判断する基準や知識、常識、情報がない。

強豪校はやはり私立が多いのか。
野球部寮がある学校はそりゃあチームワークや練習量も差が出るだろうし。

ピンクレディーの「サウスポー」が一番使われてる(体感)
応援の曲選にはこれといった決まりはそうなさそう。わりと自由。

敗れたチームが甲子園の砂を持って帰らないこともあるというその発想がなかったから考えさせられた。

地元を応援するが敗退したのでモチベーションは自然と劣勢になったら劣勢のチームを応援するを繰り返す。両校ともに感情移入してしまう。

それでも特色はそれぞれにあるので頭の中でシナリオを勝手に描いてしまう。

沖縄(沖縄尚学)の球児たちの名前が鮮やかできれいだと思った。注目されているピッチャーの東恩納蒼(ひがしおんなあおい)くんは実力と愛嬌を兼ね備えていて、一言でいうと精神力がたくましい。しっかりしているなと感心してしまう。
ぶれないし、安定している。
投球のことなどは何もわからないが、その不動感。どんなピンチでも表情に出さない。
惜しくもベスト4進出は叶わなかったが涙はみせなかった。もちろん悔しいに決まってる。でもいい顔をしていた。無理に笑っているわけじゃなく、ナチュラルに砂を集めて去っていった。去った後、どこか見えない場所で涙しているかもしれないが、涙をどこかで期待している見る側が存在していることに気付かされた。
私もどこかで感動のエッセンスは山場であるそこで涙を流している姿を当たり前に待っていたように思う。反省した。

感動して泣きたい人の為に高校野球があるわけではない。
高校生の為の野球。
大人の為にあるんじゃない。

私はこの夏にかけて血の滲む努力を重ねてきた彼らの試合をみせてもらっているにすぎない。
中継とは罪だなとも思う。

北海道(クラーク)のどしゃ降りの演奏。敵味方関係なく沸き上がった拍手喝采。

その学校(チーム)に特色があること(個性といってもいい)が私にもわかった。
はてさて、高校野球とは毎年こんなドラマが生まれていたのか。
今年見入ってしまった高校野球だが、きっとプロ野球をここまで興味をもって見ることは今のところないだろうと思う。
高校野球だからこんなに熱くなれたのかもしれない。

まだ、終わってないが、もう今年の夏の高校野球が終わりに近づいてる。
少しずつクールダウンしながら蝋が溶けて自然に炎が消えて余韻を引きずることなく高校野球と「じゃ、またね」をしたい。
来年はもう少し冷静に傍観出来ていればいいなと思う。

少し右のこめかみの痛みもやわらいできた。

相変わらず熱中症警戒アラートの表示が画面左に出ている。

もう少し涼しくなったら富山にでも行ってみたいな…とか。
あと一週間で何が出来るか…かわるか…私の中で…私が決めないといけないこともある。

彼らの挑戦を遠目に私は覚悟をしなくてはいけない。
その覚悟の先に富山にでも…なんて言ってられるのかどうか。

好投手の精神よ、私にのりうつれ。

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