【エッセイ】結局どこかで砦を作ってる

ガウチョパンツ。

ある男性アイドルが昨年末の音楽番組で履いていたことでこのファッションアイテムを知った。
スコットランドの男性が格式高い伝統儀式の時に身につけているキルトなるものが浮かんだが、日本では日常のファッションで若者に流行っているのかしらとその時はぼんやりテレビを眺めていた。

都会だけの話かなーと思っていたがそうでもないらしい。
最近メンズファッションがここ石川県でも賑やかである。
女性のファッションより男性のファッションがトレンドにあがる。(盛り上がってる気がする)

先日ツイッターで呟いたUFO焼きそばの縮れ麺みたいなソバージュパーマも相変わらず本当よく目にする。
街を通り過ぎる若者男性のそれを目にしすぎて酔いそうになった。
量産型黒い三連星。
黒のウニャウニャの波。
もう胃もたれである。
イカスミスパゲティに見えてきてしまう始末である。
カチカチに整髪剤で固められたウニャウニャの髪の毛はギトっとてかり風にまった埃やなんか知らない小さな砂粒みたいなものがくっついている。
シャンプー大変だろうなーと大きなお世話をモヤモヤと焼くのである。

昨年見たガウチョパンツは進化してるのかもうそれはスカートだった。

まぁ、正確には股があるのでスカートではないのだが、丈も長く低いスニーカーだと完全に引きずっている。これで色んな場所行くんだから不衛生だなとまた余計なお世話を焼いてしまう。

私の悪い癖に思い出し笑い等々がある。
今はマスクで助かっているのだが、派生して想像(妄想)してニヤけてしまう。
それというのもその姿が浅野内匠頭と吉良上野介の松の廊下を、しかも志村けんと加藤茶のコントで脳内再生されてしまうからだ。
長い裾を踏んで志村けんが派手に顔面から転ぶ。

「殿中でござるー」がよぎる。

もう笑けてしまって顔を横にそむけてしまう。
江戸時代の武士の正装「長袴」。
飛躍しすぎだがそう出来てる思考なもので仕方ない。
ガウチョパンツはほぼスカートになっていたのでこれはもはやガウチョパンツではないのかも?とググってみた。

「メンズスカートパンツ」
「袴パンツ」
「スカンツ」
いくつか名称が出てきた。

一通り読んでみる。
…………
ふむふむ。

ざっくりいってロングスカートだ。

パンツという名前はメンズだからどうしても外したくないとこなのだろうか。
でも見た目ロングスカートなんでどう言ってもスカートじゃんとなる。
スケバン刑事のあの時代、ちょいワルな女子高生はとにかくスカートが長かった。
アムラー全盛期はミニスカが流行った。
時代で丈が変わる。
ファッションの何が興味深いかというと流行りの服を着たいとは思わないが(それと自分の好みが被ってしまったらあえて着ないを選ぶ天邪鬼)流行りに染まっていく群衆を眺めるのが好きだ。

愛おしいよね…
好きでやってるんだと思うけどデジャブ?ドッペルゲンガー?みたいなことが一日の中で何度も起こる。
やはり皆と一緒だと安心するんだろうなーと、人間のそんな心理が愛おしく感じるのだ。

あと、厚底もまた流行ってるのかな?(若者男子に)たまたまなのかな?
だが今のそれはアムラーの頃の厚底ブーツとも違うし、厚底サンダルとも違う。
厚底スニーカーや、厚底ローファーなのだ(なんか矛盾してるが)

青信号になっていざ歩き出す時意識して腿を上げないとつまずくぞってなくらい、ぶーーー厚いのだ。
10センチは有に越してた。
牛若丸や花魁道中の高下駄を思い出した(また時代が…)
あれははっきり言って疲れるぞ。
そしてなにより危ないぞ。
ファッション(おしゃれ)は我慢。というがそういう問題じゃない高さ(厚さ)だった。

ドクター中松のバネの付いた靴並の機能性。もう飛び跳ねた方がいいんじゃない?てな厚底だった。だが潔い堂々としたシークレットシューズではある!

イヤリングも流行ってるよね。金メッキのシャラシャラしてて長めのがユラユラしてる。眉毛も書いてたりリップ?も薄っすら明るい。ここ十年ですっかり街の顔が変わったな。

あぁ、そうそう。本来動物というのは雄は雌より派手なのだな。
孔雀もライオンもカブトムシも…
人間もそうなってきたのだろうか。
あれかな?韓流がものすごく影響してるんだろうな。
アニメは日本でファッションやグルメは韓国から。こんな需要と供給関係なのかな。
ショーウィンドウの硝子に写ると角度を変えお直ししてるメンズを度々目撃する。その横で女子はスマホをいじりながらだらんと待ってる。

今のメンズは美意識はめっちゃ高い。
悪いことじゃない。
というより良し悪しの問題じゃない。
好きな服は何に縛られることなく着ればいいし、好きなものを身につければいい。
かっこいいから選ぶんじゃなくてかわいいから選んだっていい。
そこには自由しかないのだろう。
ならば、ファッションに線引きがないと高らかにうたうのならば、これはスカートじゃない、パンツだから。股あるから。という砦を作り保険をかけないでほしい。スカート?スカート履いたら女じゃん。なんて、譲れないラインでもあるなら根本的にオシャレを見直したらいい。今まであげてきた格好を鏡で見てみればいい。それならスカートを履けばいいのに…と、言われても仕方ないのではないだろうか。
「スカンツ?」を好きで履いてるなら。
それをオシャレだと思うならもうパッと見もジッと見もそれはロングヒラヒラスカートなのだから。

流行りを全て取り入れた大勢の彼らを見て自然とそんなことを思うだいぶお節介が過ぎる華の83年組。
春までもう少し。

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