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タジキスタン・パミール再訪記1 〜準備編〜

2023年の4月下旬から5月上旬にかけて、タジキスタン・パミール高原を旅行した。タジキスタン・パミールに行ったのは今回が2回目で、前回の2022年8月からおおよそ8ヶ月ぶりである。

(以下のリンクは前回パミールを訪問した時の旅行記)

パミールの春

元々、昨年(2022年)にタジキスタン・パミールに行った時から、来年(2023年)もまたパミールに行きたいと思っていた。前回滞在したホログにもまた滞在したかったし、前回行けなかったワハーン回廊やムルガブにも行きたかった。特にワハーンでは、現地の言葉である「ワヒー語」に触れてみたかった。

ただし、昨年帰国した時点では、来年もまた夏頃に行くつもりでいた。お盆休みと組み合わせて長めの休暇が取りやすいと思っていたからである。8月以外では、9月の連休と組み合わせるという方法もあるかもしれない、ということも考えていたが、他の季節については時間的に無理だと思っていた。

そんな中、昨年パミールでお世話になったGさんに夏のパミール再訪計画を伝えると、「前回は夏だったから、今回は春がいいんじゃない?」と勧められた。最初にそう言われた時は、夏以外は時間的に難しいと思っていたが、そういえば5月にはゴールデンウィークがあることを思い出した。もう一つの懸念事項として、春、すなわち雪解けの季節はタジキスタンの首都ドゥシャンベとゴルノ・バダフシャン自治州(パミール高原地方)の州都ホログを結ぶパミール・ハイウェイが融雪で極めて危険な状態になると聞いていたが、Gさんによると、4月末にはドゥシャンベ・ホログ間についてはもう融雪による危険とは無縁になるらしかった。

航空券の購入

というわけで、ゴールデンウィーク前後にパミールに行くという計画はにわかに現実味を帯びてきた。ゴールデンウィーク前後でタジキスタン行きの安い航空券を、有給の日程も考慮に入れつつ探し、最終的にタジキスタン着が4月23日(日)、タジキスタン発が5月7日(日)と、タジキスタン国内にちょうど2週間滞在するチケットを購入した。私が海外に滞在する時間としては、高校生の頃に3週間ほどイギリスに滞在して以来の、今までで2番目(多分)に長い海外旅行である。

航空券は、例によって前回と同様に韓国(インチョン)、カザフスタン(アルマトイ)を経由するチケットを取った。ただし、前回はチケットを

  • 「日本↔韓国↔カザフスタン」

  • 「カザフスタン↔タジキスタン」

の2つに分けて買ったのに対し、今回は

  • 「日本↔韓国」

  • 「韓国↔カザフスタン↔タジキスタン」

と、やはり2つに分けたが、分ける場所を韓国にした。

前回、今回ともにチケットを2つに分けることになったのは、そのほうが安い、というのが最大の理由である。ただし、それ以外にも理由があった。

まず、前回はコロナ規制で韓国への入国が困難であり、韓国は入国せずにトランジットで済ませる必要があった。そのため、韓国入国が必要となる韓国でのチケット分割は事実上不可能で、カザフスタンでのチケット分割となった。

今回は、チケット購入時点で韓国への入国もだいぶ緩和されていたのだが、自分の中では念のため韓国は今回もトランジットにしておきたい、という気持ちもあった。しかし、私の見つけた韓国トランジットのチケットは、行きの韓国(インチョン)での乗り継ぎ時間がかなり短かった。

私は前回のタジキスタンからの帰国時、韓国(インチョン)でロストバゲージを食らってしまった。正確にはロストではなく、対応してくれたスタッフさんによると、インチョンでの乗り継ぎ時間が短かったために韓国→日本の飛行機に積むのに間に合わなかった、ということらしい。

前回は帰りだったので帰国後荷物が自宅に届くまで多少不便をする程度で済んだが、仮に行きだったとしたら? 私はインチョンからカザフスタンのアルマトイに到着した後、24時間以内に全く別のチケットでタジキスタンに行く予定である。万が一、ロストバゲージになったら旅程に極めて深刻な影響が出る。しかも、今回は乗り換え時間が短い(前回の行きは十分余裕があった)ので、ロストバゲージになる可能性は恐らくそれなりに高い。

そんなわけで、インチョンでの乗り換え時間の長いチケットが見当たらなかったので、「日本↔インチョン」と「インチョン↔カザフスタン↔タジキスタン」のチケットを、インチョンで十分時間を取れる形で買うことにした。具体的には、行きはインチョンで一泊、帰りはインチョンで6時間ほど滞在、という形になった。なお、カザフスタン(アルマトイ)でも、行きは一泊、帰りも10時間ほどの滞在となる。アルマトイでもチケットを分割すると更に安くなるかも、とも思ったが、調べてみた限りでは特にそういうことは無かった。

ビザ(またはパミール・パーミット)の入手

タジキスタンは日本のパスポートがあればビザ無しで入国可能である。ただし、ビザがあったほうがいろいろ都合が良さそうなので、前回は電子ビザを事前に取得し、今回も電子ビザを取って行くことにした。航空券はかなり早めに入手したが、ビザは出発がそれなりに近づいてからの手続き開始とした。

タジキスタンのパミール高原地方(ゴルノ・バダフシャン自治州)に行くには、「GBAOパーミット」あるいは「パミール・パーミット」と呼ばれる許可証が別途必要で、現地で入手しようとすると1日取られるのだが、電子ビザを申請する場合はパミール・パーミットを同時に申請可能である。私の中では、どちらかというとビザそのものよりパミール・パーミット目当てでのビザだった。

ただし、私は前回はパミール・パーミット付きのビザを拒否されている。昨年5月下旬にパミールで深刻な衝突があり、電子ビザ申請時にパミール・パーミットを申請するとビザごと拒否される(にもかかわらず申請ページ上ではパミール・パーミットの申請項目が選択可能なまま放置されていた)、という事態になっていたからである。そして今回も、ビザの有効期限的にその1周年となる時期が含まれている。何かあるかもしれない、と思った。

ビザ申請の数日後、タジキスタン外務省(のビザ担当課?)より、「航空券やホテルの予約情報をアップロードせよ」との案内が来た。前回は無かった指示である。とりあえず、5月8日にタジキスタンを発つことを示すのが重要だろうと思い、念のため韓国↔日本を含む全てのフライトの予約のスクリーンショットを撮り、ホテルについては予約していないので「Not reserved yet」と書いてアップロードした。数日後、申請は承認されパミール・パーミット付きのビザがメールで届いた。

その他準備

最低限必要な航空券とビザ(とパスポート)は揃った。後は服やら保険やらの準備をした。スマホも、持っているものの動作がいろいろ怪しくなってきだしていたので、新しいものを買った。行きのインチョンとアルマトイ、それから念のため初日のドゥシャンベでの宿も予約した。出発の数日前に、Gさんや他のパミールの知人へのお土産も購入した。

4月21日(金)、午後から半休を取った私は、帰宅後最後の荷造りを済ませ、一路パミールを目指し家を発った。

(続き)

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