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映画「かぐや姫の物語」を観ました

「ずるい映画だなあ…」などと思った。いや、悪いのは私だ。「竹取物語」のラストを、私が勝手に忘れていただけなのだ。なぜ忘れたかと言うと、この映画の人間描写の解像度の高さに、気を取られていたからである。
 誰でも読んだこと、聞いたことがある有名なお伽噺だろう。それを、超現実的視点で解像度マシマシに仕立ててあるのだ。妙にリアルな人間模様。美しいものは美しく、醜いものは容赦無いえぐみを。人間とはそういうものだろうと、突きつけてくる。そして、衝撃のミカド像…。ミカドきもい!!って口走ったの私だけすか??
 我々は一体何を見せられているのだろう? あれ、これ「竹取物語」なの? …終始そんな感じであった。脚色のボリューム感と迫力が凄まじいので、見入ってしまう中盤はすっかり忘れてしまうのですよ、これが「竹取物語」であることを。
 しかしラストはちゃんと、「あー、そういえばこれは『竹取物語』だったよね!」って思い出すのだ。私は勝手に期待しておりました、さんざん人間のえぐみを炙り出したのだから、何か結末が用意されているはずなのだと。
 ところが、お決まりのラストシーン。だから良いのだろう。慟哭する親の描写が、シンプルだからこそ、ぐっと来る。月の人々入場&退場パレードの音楽は、怖いくらいに明るくて、対比が効いている。
 脚本も演出も絵も劇伴も、鬼だった。
 面白かった。

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