見出し画像

「株始める若者急増」って本当?|調査結果からみるコロナ禍投資スタート事情①

先日、たまたまテレビをつけて知った、このニュース。

TBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター』(2020年9月19日放送)より、「株始める若者急増!投資がコロナ禍救う?」

報道内容は、「価格.comのテレビ紹介情報」から引用します。

投資をする若い世代が増えている。ある調査ではことし投資デビューした人の5割以上を20代と30代が占めていた。コロナ禍だった上半期はネット証券を中心に取引口座を開設する若い世代が増えたという。投資は「難しい」「怖い」などのイメージだったが最近はワンコイン投資やポイント投資などスマホで手軽にできるものが増えた。投資を行っている小学生もいる。父親は以前から投資をしていたが「あつまれどうぶつの森」がきっかけで投資に興味をもったという。そこで父親が息子が貯めていたお年玉などを使って投資デビューさせた。

海外投資アドバイザーのほかに、マーケティングリサーチャーも兼業している筆者。
コロナ禍で投資の注目度が上がっていることは知っていましたが、改めて裏を取ろうとググったところ(職業病です)、調査結果がたくさんヒット。
会社側としても、顧客側としても、本当に関心が高まっているのだと実感しました。

というわけで今回は、ネットで公開されている調査結果から、このニュースを検証してみます。

1.在宅時間が増えた投資関心層の約1割は実際に投資を始めた

そもそも、コロナ禍で消費者の意識はどのように変わったのでしょう?

株式会社ヴァリューズの「withコロナで変化する消費者意識調査」によると、「新型コロナウイルス感染拡大前(2020年2月頃)に比べ、全体の約70%の人に在宅時間の増加がみられた」そうです。

また、在宅時間が増えたと回答した人に対して、意識や行動の変化を尋ねたところ、「在宅時間を有意義に使いたいと思うようになった人が約7割(65.6%)」

在宅時間が増えて関心を持ったことは、1位「部屋や家の掃除・断捨離」(34.1%)、2位「自宅でできる運動(筋トレ・ストレッチなど)」(29.5%)、3位「料理・自炊」(24.2%)、4位「資格取得・勉強」(14.5%)、5位「投資」(14.2%)。

さらに「実践したこと」をみると、8.1%がコロナ禍で投資を始めたと読み取れます。

株式会社マネーフォワードの「コロナ禍の個人の家計実態調査」でも、「投資をこれまでしたことがない人のうち10%が『新型コロナウイルスの影響で投資を始めた』と回答」とあります。

MMD研究所の「2020年コロナ禍におけるビジネスパーソンの生活実態と副業に関する調査」でも「新型コロナウイルスの影響によって在宅時間が増えたことから始めたことは、『副業、ギグワーク、ポイント活動』が10.5%で4位」という結果が出ています。
※この調査では「副業、ギグワーク、ポイント活動」に「投資(株・債権・投資信託)」が含まれる

各調査は回答者の属性など細かな条件が異なるものの、おおよそ同じ傾向を示しているので、在宅時間が増えてかつ投資に関心のある全国20歳以上(70代くらいまで?)の男女のうち、約1割がコロナ禍で投資を始めたと考えても、実態から著しく乖離することはなさそうです。

画像1

2.投資関心度は男性が高めだが、女性が低関心なわけではない

株式会社ヴァリューズの「withコロナで変化する消費者意識調査」結果に話を戻します。

在宅時間が増えて実践したことを性別でみると、男性は「投資」が12.8%で4位。
対する女性は上位5項目に入っていないので、男性の方が関心が高いことがうかがえます。

確かに、投資家と聞くと男性を想起される方が多いのではないでしょうか?

しかしながら、ソニー銀行の「女性の資産形成に関する興味アンケート」で「投資(資産形成・資産運用)に興味があると答えた女性は全体の約4割」という調査結果も出ているので、女性にとっても投資は興味の対象と言えそうです。
※それぞれの調査は回答条件が異なるため、同列で比較することはできません。

3.まとめ

以上、各社のアンケート結果からの考察ではありますが、
・投資に関心のある全国20歳以上(70代くらいまで?)の男女のうち、だいたい10人に1人はコロナ禍の在宅時間増加で投資を始めたと推定できそう
・投資関心度は男性の方が高い傾向だが、女性にとっても身近になりつつあるかも
という話でした。

……すみません。
長くなったので、本題(株始める若者急増の検証)に入る前ですが、今回はここでいったん終了します。
次回に続きます!

この記事が参加している募集

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?