見出し画像

2020年、今ホテルで起業するということ

こんにちは。Linnas Designの松下秋裕です。

2020年、ホテルの運営・プロデュースをする会社、「株式会社Linnas Design (リンナスデザイン)」を北陸の金沢で起業しました。
新型コロナウイルス感染症が拡大したことで観光業は大ダメージを受け、国境も未だ以前の状態には戻っておらずインバウンドの需要もほとんど見込めません。そんな状況下でなぜ今、ホテルというジャンルで起業しようと考えたのか、簡単に書きたいと思います。

そもそものホテル業を始めたきっかけ

僕は東京に支社を置く、アメリカ本社の不動産会社で社会人としてのキャリアをスタートしました。学生時代から旅が好きで、旅先のリアルな場での出会いに面白さを感じていたことから場を創る仕事に興味を持ったからです。スタートはオフィスビル/商業ビルを主に扱う部署にいたのですが、旅と直接結びつくアセットタイプ、ホテルについて学びたいと思い、社内のホテルコンサル事業部の方からまずは話を聞くことにしました。それが現エンブレムホテル株式会社代表の入江洋介さんとの出会いでした。

画像3

(右からエンブレムホテル代表洋介さん、ディレクター瑞希さん、私。3人とも同じ会社出身のメンバー。)


 ちょうど僕が連絡した頃、洋介さんは新たにホテル/ホステルを運営する会社の起業準備をしているところでした。「人と人とが出会い、旅人同士とも地域の人とも繋がるホステルを作る」というコンセプト、事業内容を聞いて、不動産という切り口からホテルについて学ぶのではなく、運営の当事者としてホテルブランドを0から一緒に創りたい!と強烈に思ったのを今でも覚えています。それがホテル業をはじめたきっかけです。

画像1

(エンブレムホステル西新井、オープニングパーティーの時に撮った記念写真)

1号店のエンブレムホステル西新井の立ち上げ時から関わり、現場の責任者、新規ホテルの立ち上げ、マーケティング、採用、運営統括など、エンブレムホテルのディレクターとして、幅広い経験を5年間でさせていただきました。


新型コロナウイルス感染症が拡大

エンブレムホテルが運営する東京、金沢、箱根の施設にもその影響が直撃しました。緊急事態宣言が全国に発令、全施設一時休業を余儀なくされ、今までエンブレムが取り組んできた「繋がり」「コミュニティ」創りは一時停止せざるを得なくなってしまいました。

また、個人としては、東京拠点で定期的に金沢と箱根を訪れるという1+2拠点生活を続けてきたのですが、コロナがきっかけで「東京に本拠地を構える必要はないのではないか」と考えるようになり、生活のメイン拠点を金沢に移すことにしました。

(始めはー軒家を期間限定で借りてお試し移住、その後正式に移住と段階を踏みました。金沢移住に関してはまた改めて書きたいと思います!)

事業として、そして個人としての環境の変化も重なり、世の中の全てが一度ふりだしに戻ったように感じられた時、「どうせふりだしに戻ったのなら、これからの時代に必要なサービスや体験をゼロから考えよう、そして、新たなブランドを作ろう」と決心しました。

画像2

(金沢、浅野川の近くで)

なぜホテルなのか?

大きく2つあります。
1つ目は旅、そして旅先の宿泊先が世の中のニーズとしてウィズコロナの時代にもあるという確信が持てたこと。前述の通り、コミュニティづくりが一時停止した時は「エンブレムのようなリアルな、社交性の高い場は暫くの間は人々に求められることはないのではないか」という不安ばかりが募っていました。しかしながらGo Toトラベルキャンペーンが開始し、人々が少しずつ旅を再開する世の中の動きを見る中で、こんな時だからこそ「旅すること」で明るい気持ちになれるんだと思いました。

今は国内旅行が中心ですが、段階的にグローバルに動きが活発になっていくと考えています。人々が今までのように、いや、今まで以上に世界中を旅する時代が訪れた時に旅人とその地域を繋ぐ玄関口となるような「ホテル」を創っていきたいと考えています。

画像4

(時々僕自身がバーに立ってゲストと交流することもありました。)


2つ目は僕個人の夢。『世界展開するホテルブランドを創る!』という夢を実現するため。自分自身、旅先での原体験があってこそ今の自分があると思っています。旅先で人と人とが繋がり、新たな発見をし、人生観が変わり、世の中が1ミリでも良い方向に動く。そんなロマンが旅には、そしてホテルにはあります。

画像6

(2019年にはスリランカへ一人旅へ。バワ建築を巡る旅をしました。この旅でもたくさんの出会いがあり、その後の考え方にも影響を与えています。)

なぜ今なのか?

「宿」という切り口でコミュニティをつくる仕事をしてきて早5年。コミュニティは時間をかけてつくられていくものだと知りました。数年後、世界中の人が旅をする時代が戻ってきた時に、すでに居心地の良いコミュニティがある状態にしておきたいと考えています。そのためには今からでも運営をスタートしていく必要があると考えました。


そして一番はエンブレムホテルが金沢から撤退するという苦渋の決断をしたこと。
今や金沢はホテル激戦区、コロナウイルス の流行がなくても厳しいホテルマーケットです。エンブレムは独自の世界観を集中的に創っていくため、金沢拠点であるエンブレムステイ金沢が2020年11月30日をもって撤退することとなりました。僕自身3年弱エンブレムステイ 金沢のコミュニティづくりには関わってきたこともあり、どうしてもこのコミュニティをこのままなくすことはできない。エンブレムが「独自の世界観」をこれから創っていくように、ここ金沢のコミュニティをより「独自化」させ、オンリーワンの場を創っていきたい。そう強く思うようになりました。

画像7

(エンブレムステイ金沢を立ち上げた時のメンバーと一緒に)

LINNASの名前に込めた想い

LINNASには2つの意味があります。1つはエストニア語で「街の中で」という意味です。2つ目は「凛と為す」という言葉。これから世界中のユニークな街の中で人々のHUBとなり、その地域に関わる人々が誇らしく凛とした気持ちになれるような場を創って行きたい、という想いが込められています。


2021年4月、LINNAS Kanazawaとして生まれ変わります。

画像8

エンブレムステイ金沢は11月末で終わりとなりますが、LINNAS Kanazawaとして生まれ変わります。ただ単に宿泊する金沢観光の拠点ではなく、「衣食住働遊」の要素が詰め込まれた「地域の小さな複合施設」として、街の外と中の人が垣根を超えて繋がる拠点、HUBとなっていきます。

これまでエンブレムステイが培った地域のコミュニティを引き継ぎながらも、人との出会いだけでなく、訪れる人々が心身共に豊かになれるようなサービスを提供する、より一層温かい空間にしていく予定です。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?