新型コロナで全て白紙になった ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境1

個人的な所感を書き連ねていきます。お気を悪くする方がいたら申し訳ありません。何も考えずに思いついた順に書いていますので、読みづらかったらすみません。



去年2020年2月、札幌ではそこそこ知名度のある札幌演劇シーズンというイベントにありがたくも参加することができた。
その公演の最終日間近に、「受付の人は必ずマスクをつけてください」との通達が(確か札幌市から)きた。

その公演は(感染症の点では)特に問題なく終演したが、そこから約2週間後の2月28日に札幌市で「緊急事態宣言」がなされ、札幌で予定されていた舞台公演が続々と上演中止になった。
僕も3月に舞台があり、その責任者だったため、舞台を中止するかどうかの判断に迫られた。
今までは上演中止なんて絶対に許されないことだと思っていたので、上演を中止することがどういうことなのかよくわからなかった。
上演中止にしたら赤字はどうする? しかし上演しても観客が入らずどっちみち赤字なのでは? この雰囲気で知り合いに「観に来てください」とは言いづらい……。劇場で感染者が出たらどうする? 自分たちのせいで感染が拡大してしまったら? そんなリスクを背負ってまで舞台を上演する意義は……?

結局その舞台は上演中止とすることにした。さいわい規模の小さな公演だったので、赤字は大きくはなかった。(といっても、規模の小さな団体は傷を負うものだ)

その後5月には、自分たちにしては規模の大きな舞台を上演する予定だった。冬も越して感染も落ち着いているだろうとたかをくくっていた。
既に企画の準備はかなり進みいくつか支払いも済ませていた。ここまで準備して止めるわけにはいかないと思った。
しかし、仮に上演中止の判断をするなら今しなければいけなかった。このまま企画が進み稽古が始まれば、更にかなりの費用がかかる。

計算した。上演中止の場合は約70万の赤字、上演して満席(といっても感染症対策で客席は半減)でも約45万の赤字、本番前日に上演中止が決定という最悪のシナリオの場合は約130万の赤字。

中止にした。

私たちの苦しい状況を慮ってか、多くの方の配慮で、赤字は想定の半分程度におさまった。感謝しきれない。


その後も6月、8月、10月、11月、12月に舞台があるはずだった。
ひとまず6月の舞台に向けて稽古を始めた。しかし、感染状況が今より良くなるだろうという展望はもてなかった。なにより、この先ずっと、上演できるかどうかわからない舞台の稽古をすることがしんどかった。この年の全ての舞台を白紙にすることにした。

演劇をやめて見えてきたもの ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境2

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