詩「じかん」
白い部屋にこどもはいて
画用紙にひとつの家を書く
「これがぼくたちのいえってことね」
そこには椅子も机もなく
タンスも皿もフォークもなく
ベッドもタオルも時計もないから
次々と線は書き足されていく
「スプーンもいるよ」
輪郭だけを持つそれらは
色を持たない
この部屋も白いから
どこまでも線を書き足せた
表出した途端に消えるそれらは
やがて時計を動かすだろう
かきまぜる
スプーンで
色を掬いながら
気がつくと
白い画用紙だけがある
白い部屋にこどもはいて
書き足された鳥が
窓の外へと羽ばたいていく
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