【一週一筆】その1 私の仕事は
一人で来た、はずなのに。誰かの顔が浮かぶ。
そんなとき、ありませんか?
ご褒美というより、小さな打ち上げ。
慰めというより、「とりあえず落ち着こうか…」
そんな気持ちで、時たま私は、仕事帰りに飲食店へ立ち寄る。
コーヒーの香りに引き寄せられたカフェだったり、Googleマップに「行ってみたい」のピンを立てていた居酒屋だったり。
『孤独のグルメ』というドラマが大好きだけれど、このときの私の頭には、孤独の「こ」の字も浮かばない。グルメの「グ」の字さえない。
(井之頭さんもきっとそうなんだろうけど……)
慣れたそぶりで店員さんに「一人です」と人差し指を見せ、颯爽とカウンターや小さなテーブルに座る。
……まぁ、この店はじめてなんだけど。
慣れた手つきで、メニューをめくる。
……そして、長いこと固まる。ひどいときは10分ぐらい悩む。店員さんの視線を感じる。優柔不断はこういうときに困る。
例えば先日、取材帰りに立ち寄った、五反田のとあるパン屋さん。
ここも、Googleマップに「行ってみたい」のピンを立てていた場所。
自家焙煎のコーヒーを求めて入ったら、ハードなパンでクリームを挟んだレーズンバターサンドがまたおいしそうに並んでいた。
これは迷わなかった。即決した。コーヒーだけじゃ済まなくなった。
(レーズンバターサンドを撮り忘れたのが悔やまれて仕方ない)
ラムの香るクリームは、こっくりしていて、程よく甘くて。この優しさがよく染みるのは、きっと歯応えあるパンがしっかり包み込んでいるからだなぁ。
思わず目をつぶる。取材でしゃべり倒して疲れた脳が、じんわりと回復するような心地。
なんて、一人で感動していたんだけど。
「お母さんも好きそうだな、今度買っていこう」
ふと母の顔が浮かんだ。
ラムレーズンとか、レーズンバターサンドとかのおいしさを、私に教えてくれたのは母だった。母も気に入ってくれるかも、と思ったのだ。
一人で来た、はずなのに。誰かの顔が浮かぶ。
そういうことが、私にはよくある。
私の仕事って、こういうものなのかも。
自分が愛したものを、誰かにも伝えたくなる。取材ライターやコピーライターの仕事をして、私はこう思うことが多くなった。
だって実際に、企業やお店や商品を取材すると、好きになってしまうから(笑)。
「こんなに身も心も満たされる料理、絶対に知ってもらわなきゃ……!」
「こんなに素敵な人ばっかりの企業、私が求職者なら入社したい……!」
こうやって愛が溢れたまま、取材現場をあとにすることは珍しくない。
好きなものを伝えたり広めたり……。いわゆる“布教”って言葉もありますが。これを成功させるのが、プロのライターなのかもしれない。
これぞ!という魅力を、グッとくる伝え方で、もっとぴったりな相手の“心”に届ける。
その言葉を引き金に、動いてもらう。見てもらう、味わってもらう、聞いてもらう、体感してもらう。そして、その人にも愛してもらう。
そうやって、誰かの幸せな時間を作れたら、私もどんなに嬉しいか。
でもこれって、すごく難しい。控えめすぎたら相手に届かないし、ひとりよがりや内輪盛り上がりでは、響かない。
でもそれを実現させるのが、ライターなんだ。
捉え方や言い方はひとそれぞれかもしれないけれど、私はこう思う。
ライターという仕事とは、愛を伝えること。
この使命感を胸に、そして楽しみながら、私は、私の仕事を全うします。
こんな感じで、「一週一筆」はじめます。
私を知ってもらうためにも、そして私の心の記録としても、「この一週一筆」を続けていきます。
毎週投稿できたら……いいな(゜゜)これからは、もっと文章量は少ないと思います(笑)。
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【追記】
今回の記事の見出しは、好きな音楽の歌詞の一節から拝借しました。
私の仕事/NakamuraEmi
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