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なぜ男は女の格好をしてはいけないか?

なぜ男は女の格好をしてはいけないのでしょうか?

オシャレな女性はうまく男性物を取り入れてコーデを考えたりします。メンズ物のニットやジーンズはもとより、ワイシャツやネクタイを身に付けたところで、それはそれで人によってはオシャレで通用します。

ところが男性はどうでしょうか? おしゃれな男性はうまくレディース物を着こなしたりしますが、せいぜいニットとかTシャツとかジーンズどまりです。

もっとフェミニンに女性っぽい要素を取り入れようとスカートやワンピースを着てもおかしくないと個人的には思いますが、一部の職業やセンスの持ち主たちを除いては、それは社会的に許容される範囲ではないとされています。

女装を禁止する法律はない

たまに誤解している人がいますが、男性の女装は法律で禁止されているわけではありません。

表現の自由は基本的な権利として憲法ですべての国民に保障されている以上は、だれがどんな格好をして街を歩こうが基本的には自由です。

法律論としては、男性の女装は女性の男装と何ら意味するところが変わりません。

女性がメンズ物のスーツに身を包んでダンディーに振る舞おうが、男性がワンピースを着て清楚なオシャレを楽しもうが、公序良俗に反したり、軽犯罪法に触れるようなケースでない限りは、何の問題もありません。

女装がタブーとされたのは明治以降

日本では伝統的に女装はタブーとされてきたと考える人もいますが、それも正しくありません。

事実、平安時代や江戸時代には、半ば公然と女装する人たちが存在しており、平和な時代の象徴として身分の高い男性たちは華美な衣装を謳歌しており、少なくとも社会的な非難の対象とはされることはありませんでした。

逆に戦国時代や明治時代以降のように、戦乱につぐ戦乱の時代には、女装は社会的なタブーとして認識されるようになります。

戦国時代には討ち取った敵方の大将の首級に化粧を施すことで、勝者が敗者を威圧したり軽蔑する意思を表現しました。

明治時代には軍国主義の潮流の中で男性と女性の社会的な役割分担が明確にされる中でいわゆる異性装禁止令が発布され、女装自体が反社会的な行為だと認知されるようになります。

明治以降の男女の役割分担の意識が現在にも色濃く残っており、それが女装をタブー視する価値観として私たちの意識の根底に置かれていると考えられます。

女装してはいけない理由はない

結論からいえば、女装してはいけない理由はまったく見当たりません。

法律的にも、制度的にも、歴史的にも、文化的にも、現在においてこれを禁じる規範は存在しないからです。

ましてや令和の時代は、男は男らしく、女は女らしくという古典的な価値観のみに支配される時代ではありません。

動機が健全であって、周囲に不快感を与えないどころか、美しく可愛らしく振る舞うことができるのであれば、TPOを弁えた女装はむしろ社会的にも受入れられる土壌ができつつあると思います。

実際に生身の女性に匹敵するくらいの美を兼ね備えたクオリティーの高い女装男子が、今の時代には全国にたくさん存在します。

これらを旧来の価値観のみに支配されて社会的な規範を逸脱する存在だと決めつけるのは、もはやそれ自体がアナクロニズムだと言わざるを得ないでしょう。

前向きな美意識と自己表現としての価値を持つ女装、そして男女平等、女性活躍推進の時代だからこその時流にかなった女装。

令和の時代には、こうした潮流がより鮮明に本格化していくように思います。

学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。