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組織に流れる「空気」を打破し、新しい「空気」を醸成させることは難しいが、その変革は大きな可能性を秘めている

私はよく言えば空気を読むのが得意、悪くいえば空気に流されやすい性格であると自覚しています。

空気の存在に対して敏感で、そこに対して及び腰になって挑んでいけない自分を悔しく思うこともよくあります。

大人数での会議などでも、意識をしないと、その場を流れる空気を無意識に読んで発信しようとしてしまったりします。

そんな問題意識があって出会った本の中で、何度も読み返している本があります。

『「超」入門空気の研究』という本です。

その内容も踏まえつつ、自分がチェンジマネジメントに携わる中で
感じていることと関連して今日お話ししたいことは、

組織に流れる「空気」を打破し、新しい「空気」を醸成させることは難しいが大きな可能性を秘めている

ということです。

「空気」という結論ありきの検討では実質何も変わらない

「空気」が結論を決める
組織=共同体には「空気」が流れています。

例えば、これをするのは良いことあれはしないほうが良い
などの人の行動を決めるようなものです。

「常識」や「固定観念」とも言い換えられます。

職場においても人はその組織の中に流れる「空気」という前提の中で仕事をします。

「空気」は「結論」を支配する

例えば、現場のオペレーションで問題点があるという場合。
具体的な例で、過去からの慣習で手書きで月末に数十枚の書類を書かなければならないという問題があったとします。

問題があるがそれが長らく手を付けられず放置されている場合には
チーム内には、しょうがないこれはまだ取り組まなくていい
という「空気」が流れています。

今回の例でいうと、あの手書き業務は面倒ではあるが仕方ない、という空気です。

この状況下では「どう改善できるか?」という議論をしようと
いくら理論的な検討がなされても、
前提としての「空気」が実質的な結論を決めてしまいます。

結果、議論では変えられない理由が述べられたり、
表向きは検討しようとするものの、
前提に支配されてアイデアが出てこない。
結果、改善が実行されることがありません。

そして結果的にやっぱりそうだよね
空気は強化され、更に組織に根付いていきます。

「空気」を打破することが難しいのは「トレンドへの信奉」と「前提への警戒のなさ」

なぜ「空気」という前提から脱却することが難しいのか、本の中では以下の理由が述べられています。

  1. 時代のトレンドや方向性を、多数派の考え方で判断してしまいがち。集団の多数派を占める意見を「自然発生的なトレンド」と捉えてしまう。

  2. 言葉の裏に隠れている前提に、往々にして無頓着であること。隠された前提を「押し付けられること」に警戒心が働かない。

「空気」は思考停止を生むだけではなく、思考強制も生む

これは本の内容ではなく私の考え方ですが、

「空気」は本で書かれている我々を思考停止させる側面もありますが、
逆に我々に特定の思考を強制させる作用もあるのではないでしょうか。

例えば、DX推進ということを例にします。
「DXを推進することは是だ」という「空気」が醸成されて、
DX推進を後押しする「空気」です。

DX推進は重要なことで、取り組むことは結果的に必要になりますが、
他のビジネスアジェンダを含めた中での優先順位は会社により異なります。

本来先に検討すべきことがあるにも関わらず、
「空気」を読んでDXを優先して取り組むといった具合です。

「空気」を打破するには?「溶かして、変えて、固める」

https://leadershipyoda.com/kurt-lewin-three-stages-of-change/

Lewinのチェンジモデルという考え方があります。
それは変化のプロセスを3段階に定義しています。

1.Unfreeze(溶かす)
2.Change(変化する)
3.Freeze(固まる)

この理論に基づくと、
「空気」をいきなり変化させようとするのではなく、先にあることを行います。

それは「溶かす」ことです。

どういうことでしょうか?

例えば、人が「空気」の中で抑え込んでいた、違和感や疑問を引き出す問いを投げかける。

例えば、組織の外の世界を見ることで、自組織の現状を客観視する、などです。

そうすることで、凝り固まった「空気」という土台の足元がぐらつき、
変化をさせやすくなります。

その後、実際の変化させる取り組みを行い(「2.変化する」)、
その経験や結果を通じて、
新しい「空気」を組織に浸透させていきます(「3.固まる」)。

適応性の高い経営=アジャイルな組織運営

今組織に流れている「空気」を打破して、環境の変化に合わせて適応できる組織運営にしていくことはそのままアジャイルな組織運営を目指すと言い換えることができます。

そこに向けて組織を変えていく取組みがアジャイルトランスフォーメーションです。

それは、時間をかけて企業の全体的な運営方法を変革する取り組みです。

人材、チーム、既存の組織構造→顧客中心、より効率的、協力的な組織にする実践過程を経ます。

レガシーなアプローチとマインドセットからの脱却は、アジャイルを企業文化に根付かせる上での最大の課題です。

最後に

今日は組織における「空気」という存在にフォーカスを当てながら、
どう変えていくのかということをお話しました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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