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サカナクションの魅力をなぞる名曲たち

週末の夜、ひとりぼっちで布団にくるまって泣いている人はいないだろうか。
そんな人にこそサカナクションを聴いてほしい。

サカナクションで夜を乗りこなせ


私も元々、ひとりで発泡酒を飲みながら鬱々とすごし、酔いと寂しさで22時前に寝てしまうような「ザ・ぼっち」であった。
今も正直その状況自体は変わらないが、メンタルはだいぶ丈夫になった。というか、サカナクションの音楽によっていわゆる「夜を乗りこなしている」民なのである。
今回はそんなあなたに向けて、まずはこの3曲を聴いてほしい、というような「ザ・サカナクションてきな3曲」を選んでみた。

デビュー15周年!驚きと興奮をもたらし続けるサカナクション

5人組ロックバンド、サカナクション。

2005年に札幌で結成し、2007年にデビューしてから15年以上の間、エンターテインメントを追求してきた彼らは、もはや日本の音楽シーンに必要不可欠な存在となっている。

月並みな言葉でいうと「勢いのある」サカナクション。
自主レーベル「NF Records」や新会社「株式会社NF」を立ち上げたり、ファッションやアートなどを音楽と組み合わせた「新しいエンターテインメント」を発信している。

正直、サカナクションを一言で表すのは容易ではないが、彼らが気になったら、まずはこの3曲を聴いてみてはいかがだろうか。

ナイトフィッシングイズグッド

デビューした2007年に配信限定でリリースされた楽曲。クイーンの楽曲「ボヘミアン・ラプソディ」の曲展開に影響されて作られたものとしても知られており、ファンの中でも人気。

冒頭だけを聴けば、多くの人が「スローテンポの楽曲だ」と予想するはず。しかし6分18秒あるこの楽曲は、終盤、ロック・ダンスミュージックへと変化し終わる。

この「予想のつかなさ」こそ、サカナクションが多くの人を惹きつける魅力のひとつ。

予想のつかないものこそ知りたくなる。
冒頭からゆったりと聴いていると突然、ピアノの同音連打に変わり、何かが始まることを予感させる。それをきっかけにテクノ、合唱と曲調が移り変わっていく。そしてドラムの音が響くロック・ダンスミュージックとなり、曲を終える。

その様子は、まるで物語を体験したかのよう。ひとつの映画を見終わったような満足感が得られるのがサカナクションの良さ。

またタイトルにある「ナイトフィッシング」は「夜釣り」という意味だが、サカナクションの活動の中でキーワードとなっている。

サカナクションの楽曲はしばしば「夜の曲」といわれる。
タイトルや歌詞に「夜」という単語が多く登場したり、夜を彷彿とさせるような曲調が多いためだ。

そういった意味でも、ナイトフィッシングイズグッドはまさに、サカナクションの活動の根幹にある曲だといえる。

アイデンティティ

サカナクションの定番曲1、2位といっても過言ではないアイデンティティ。初の武道館ライブを成功させた2010年にリリースされた楽曲。

この楽曲はタイトル通り「自分らしさの探求」について歌っている。苦悩や自意識を素直に表現しているのも、サカナクションの良さなのだ。

「自分らしさとは?」
いつの時代も誰しも一度は持ったことがあるはず。そういった内面に寄り添ってくれることで、多くの人がサカナクションに惹きつけられてしまう。

「好きな服はなんですか? 好きな本は? 好きな食べ物は何?
そう そんな物差しを持ち合わせる僕は凡人だ」

私はこの歌詞に図星をつかれてドキッとした。サカナクションの歌詞にはしばしばハッとさせられ、自分事となる。
しかしこの曲、「アイデンティティがない」とただ悶々としている楽曲というわけではない。
冒頭からたびたび登場するコンガのリズムやサビはとてもエネルギッシュで、「力強く生きていこう」という前向きなメッセージも感じるのだ。

新宝島

ポップかつキャッチーな曲調が印象的な新宝島は、映画「バクマン。」の主題歌。数々の賞やランキング上位を獲得し、サカナクションの「時代とともに変化し続ける姿勢」を体現した楽曲となっている。

この楽曲のポップさはそれまでとは一線を画している。

新宝島はキャッチーなメロディと歌詞で、一般の幅広い層にも刺さるように構成されている。
冒頭のシンセサイザーの新鮮さに引き込まれ、ツーステップを踏んでノれるようなイントロとAメロが高揚感をあおり、飛び跳ねてしまうようなサビに移っていく。
サビの「このまま君を連れて行くよ」など語りかけるような歌詞も、幅広い人を惹きつける理由だろう。

それまでサカナクションの楽曲のターゲットは、コアなファンが中心だった。
これまであまりサカナクションの音楽を聴いてこなかった人の中には、そんな「難しさ」や「敷居の高さ」を感じていた人もいのではないだろうか。

しかし、新宝島はどんな人にも素直に刺さるような「シンプルに楽しい曲」になっている。

新宝島がリリースされた2015年は、ベースの草刈愛美さんの産休による一時活動休止や、自主レーベルの立ち上げなど、バンドにとって変化の多い一年でもあった。

「次もその次もその次もまだ目的地じゃない」

変化を恐れず、挑戦し進み続けようという前向きさが詰まった一曲。
実際に、2015年以降には「多分、風」や「モス」など幅広い人を惹きつけるポップミュージックが誕生している。新宝島は、サカナクションの転機になった曲のひとつともいえるのだ。

3曲が刺さったあなたは、サカナ沼まっしぐら

今回挙げた3曲が心に刺さったという人は、もうすでにサカナクションの世界観にハマり始めているだろう。

彼らのエンターテインメントは、つねに驚きと興奮をもたらす。
その背景には、変化を恐れず、挑戦を続ける彼らの姿勢があるが、その姿勢自体にも刺激や勇気をもらえるのは言うまでもない。
それが日本のエンターテインメントを引っ張っている理由なのだろう。

今回の3曲をはじめ、サカナクションが制作した楽曲は全てストリーミング配信されているので、ぜひ他のたくさんの楽曲を体験してみてほしい。
あなたの音楽生活が豊かになり、夜を乗りこなせることを祈って!

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