【不妊治療】授かった娘は25歳になりました。
平成6年、私の不妊治療は始まりました。
私が不妊治療を始めたのは、今からかれこれ29年も前です。
3年半に及ぶ『不妊治療ならびに体外受精(顕微授精)』を体験し、
思った事・感じた事を手記としてまとめたものを再び公開させて頂こうと思います。
平成6年から始めた不妊治療・・『3度目の顕微授精』により
平成10年11月に娘を授かる事が叶いました。
母にならせて頂いて25年。あらら・・私は56歳になりました。
時の流れは速くなるばかりです。
さて・・私の不妊治療とその頃のことについて
10組にひと組が不妊症カップルと言われた時代です。
実のところ、3年半と言う治療期間は当時不妊治療を行っている人から見れば比較的短く平均的、成功率は3割の時代でしたから、3回、顕微授精をして妊娠も平均的・・と言う時代です。
まして子供が無事に産めた私はまだ良い方なのです。
いまから20年以上前に遡りますが、当時治療の合間に書き綴った日記を基に手記として「明けない夜はないから・・」という自身のHPで公開しておりました。
当時は不妊症・不妊治療・人工授精・体外受精・顕微授精・男性不妊など、生殖医療に対する情報も少なく、国や市町村の助成など一切なかった時代です。あぁ、そうそう健康保険もきかない時代です。顕微授精にかかる費用は1回100万円近くかかりました。
今ほど「不妊症」「不妊治療」に対する理解がなく、公に語ることなどタブーのように思われていました。不妊治療に臨むことを親が反対するような時代です。「試験管ベビー」なんて言葉を知っている方はおそらく私と同年代ですね。
しかし同じ悩みを抱える人たちは今と変わりなく、たくさん居たのです。
不妊治療の生の情報が欲しい、そう思っても個人のHPはまだ少なく、
個人のHPが有っても「現在治療中」の方が運営管理しているHPばかりでした。
なので、その管理者である治療中のご本人が「妊娠した・流産した・治療に失敗した」となるとそこを訪れる人たちまでもが一喜一憂していました。
私は、3年半の不妊治療の結果、子供を一人授かることが出来、その後2年くらいしてから「明けない夜はないから・・」というHPを立ち上げました。
HP「明けない夜はないから・・」は、またたく間にYahoo!のサイトの中でも検索上位で多くの方が観て下さる「不妊症サイト」に成長しました。
某有名妊活本にも掲載されたこともありました。
手記の内容は「とある看護学校」のテキストとして提供を求められることもありました。
私は、自分の不妊治療の経験手記をHPで公開して後、医療従事者でもないのに、懸命に勉強し日本不妊カウンセリング学会の認定のカウンセラーになりました。勉強中にはなぜか「婦人公論」の取材をいただいたことも。
10年ほど不妊カウンセラーをしておりました。
当時は「ピア(同じ体験をして同じ気持ちを共有できる)カウンセラー」としてカウンセリングルームを設けたこともあり、再び某有名妊活本に掲載されることもありましたが、どんどん進化していく生殖医療に私の経験が追いつかず「ピア」ではなくなってきて、このさき無責任なカウンセリングをすることはできない・・と思いその看板をおろしました。
いまも実際に不妊治療に苦しむご夫婦は多いでしょうし、大変なご苦労をされている事と思います。
当時と比較すれば、生殖医療の世界は日々進歩があり私が治療した頃よりも
確実に前進しているかもしれませんが、金銭的負担、身体的負担、そして何より女性が受ける精神的負担や屈辱的な治療、それに伴なう疲労はいつまでたっても変わらないと思います。
女性が当たり前に仕事をする時代でもあるし治療のために仕事を休むのも負担のひとつですね。
そして、同じように不妊に向き合うご主人の気持ちも変わる事は無いと思います。
そして現在は6組にひと組、違うデータでは3組にひと組が不妊症カップルと言われる様になりました。
晩婚化が原因のひとつと言われて久しいですね。
今も、私が治療した頃に比べても足元にも及ばないほど苦労されている方がいらっしゃるでしょう。
不妊治療に関しては、さまざまな考え方や、意見の相違もおそらくあることと思います。
100組の不妊に悩むご夫婦がいれば100通りの治療法と結果、100通りの不妊症に対する考え方があるでしょう。
そして、不妊の状況・その治療の難度・条件の違いなども、さまざまでしょう。
ですが、『子供が欲しい・・・けど、出来ない』という事で、苦しんだり、悲しんだりする事は、同じなのではないかと思います。
そう言った方々に私が体験した事が少しでも参考になれば、幸いです。
25年前より今の方が断然マシじゃない・・と思ってくれると、いいなぁ。
プロローグ
手記の内容は、私が不妊カウンセラーになる以前のものなので、具体的な治療法や投薬された薬の名前などは、ほとんど記しておりませんので、あらかじめご了承下さい。
また、内容は『文章』でのみ構成されておりますので、非常に長く読みづらい点もあろうかと思いますが、その点もふまえて覚悟して読んでください。少しでも、皆さんのお力になれるといいのですが・・・。
今、現在不妊治療されている方、そしてこれから不妊治療をされようとしている方・・迷っている方、決断した方、不妊治療を卒業した方、同年代の方も・・
『そうそう、私も同じ事を思ったわ!』、『同じ経験をしたよ!』とか、
『こんな事を思うんだ~』とか、『こんなに悩まなくてもいいのに・・・』
などなど、人それぞれ思う事はさまざまだと思います。
そして、不妊治療と言うものを、知らない方々は『不妊症の人ってこんな些細な事もこんなふうに思うものなんだ~!?』って、
少しだけでも、私達≪不妊症≫の人の気持ちを理解して頂けるといいなぁ・・・と思います。
そして『私はそうは思わない!』とか『全然違う!そうじゃないよ』とか・・・反対意見もあるかもしれませんね。それもまた然りです。
でも、不妊治療をしている(または、しようとする)方々の思いは一つ。
やはり≪赤ちゃんが欲しい!≫なんだと思います。
どうか、1日も早くその願いがかなう事を、私もここから応援させて下さいね。
では次回・・第1章『不妊症』の宣告【長い夜の始まり 1】をお届けします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?