旅のこだわりは「予想外のできごとを全部楽しむ」
私が旅行に行くとき、こだわるのは
「予想外のできごとを全部楽しむ」
ことだけ。
むしろ、予定調和よりも、想像もしていなかったできごとが、後になって一番の旅の思い出になったりするのが、私は好きだ。
5月に母と伊勢神宮参拝に三重県に訪れた。
私が今の会社に勤めて5年経ったので、会社の勤続表彰で
「家族と旅行に行く旅費負担3万円」が贈呈された。
現金じゃないのか~と思ったけれど、これが案外いい機会になり、
私は母と初めての2人旅をすることになったのだ。
日ごろのお礼も込めて、旅行プランなどは私主導で立てることに。
母も私も、ハンドメイドが好きという共通点があったので、参拝にプラスアルファで、「真珠の取り出し体験&アクセサリー作り」というのを計画に盛り込んだ。
体験をする「三重県真珠」は、JR伊勢市駅から電車で4駅の「松下駅」が最寄だ。
田舎は電車の本数も少ないだろうと、私は事前に電車を調べたところ、やはり40分~1時間に1本。
なにかあってはいけないと、伊勢うどんを食べて、伊勢神宮の外宮をさっくり参拝して、早々に伊勢市駅から電車に乗り込んだ。
電車に乗りながら、そういえば松下駅より一駅手前の「二見浦駅」から、バスが出ていると聞いたことを思い出した。
私は意気揚々と、「お母さん、二見浦で降りるよ!」と言って、下車。
そして、バス停の時刻表を見て、愕然とした。
バス、1時間 来ない!
今思い出しても、アホなのだが、思い付きで行動してしまい、バスの時間をネットで調べておくのが抜けていた。
タクシーは?と思ったけれど、田舎すぎて呼んでもいつ来るかわからない。
電車は次が来るまで約1時間。ちなみに、駅員さんもいないタイプの田舎駅だ。
残された移動手段は、「徒歩」のみ。
「お母さん、歩こう!そういえば、二見浦には観光スポットあるらしいし!」
しょげても仕方ない!
こういう時こそ、楽しもう!!
私がそう提案すると、お母さんも「いいよ」と言ってくれた。
そして、
「あんたは絶対何かしでかすと思った。今までが順調すぎた(笑)」
と突っ込まれた。
さすが母、よくわかっている。
徒歩約40分。目的地の「三重県真珠」まで、Googleマップ便りに歩いていく。
二見浦にある商店街が観光スポットと聞いていたが、あまり栄えた様子はなく、人も少ない。
やらかしたなぁ、と思いながらもどんどん進んでいった。
すると、松林が見え、その奥に海が広がっていた。
「え!海!10年以上ぶり!すごい~~!こんな広いのほんとに久々!」
母、大喜び。
「この旅行で海見れると思ってなかった」と言って感動している母に、私も「わかる!!」と同意。
そのまま、観光スポット「夫婦岩」もうっかり参拝できてしまった。
早めに出ていたのと、私たち親子の歩行速度が思った以上に早かったこともあり、目的地までゆったりする時間があった。
近くに砂浜があったので、「貝殻拾いしよ!」と提案。
母は貝殻ではなく、自分好みの緑青カラーの小石を拾って
「私この色好き~」と大変満足そうであった。
時間5分前に、ちょうど目的地に到着。
真珠取り出し体験は、真珠の中からプリっと出てくるのがかわいらしい。
色や光沢は真珠によって全然違うので驚きだった。
貝の外観からは、真珠のサイズもクオリティも全く予想できないので、リアルガチャという感じで楽しかった。
ネックレスづくりはパーツを選べて、2人とも満足のいくできあがりだった。
帰りは、当初の予定通り「松下駅」へ。
人が誰もいない単線は、「遠いところに来たんだな」と感じる、旅行ならではの景色だった。
2日目、伊勢神宮参拝や、おかげ横丁を楽しみ、なかなかボリューミーな旅行でとても充実した2日間だった。
母にあとから「旅行で一番たのしかったのは?」と聞くと、一番最初に上がったのは、うっかりミスから始まった冒険。
「海が見たり、石拾ったりかな?」
「見れると思ってなかったから、びっくりしたし嬉しかった」
満足そうな母を見て、私もとてもうれしかった。
旅は、トラブルがつきものだ。
私は特にトラブルメーカー。
普段は、ミスが起きたら落ち込むし残念な気持ちになるけれど、
旅先でだけは「予想外のできごとを楽しむ」気持ちを大事に持っていきたい。
旅の思い出を深くするのは、予定通りだったことよりも、いつだって自分の想像を超える出来事が起きたときだと思うから。